スイスのバー火災、責任は誰に?
スイス南部ヴァレー州クラン・モンタナのバーで発生した火災で40人が死亡した事件から4日が経ち、スイス国内各紙はこの事件の法的責任がどこにあるのかについて報じている。
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火災はなぜ起こったか
クラン・モンタナにあるバー「ル・コンステラシオン」で1日未明、大規模な火災が発生し、40人が死亡。119人が火傷などの重軽傷を負った。
州警察の発表によると、出火原因はいわゆる筒形の花火「フォンテーネン(Fontänen)」を店内で使用したことが関連している。Fontänenは花火を内蔵した火金属製の筒形カプセルで、地面に置いたり、スタンドに取り付けたり、手に持ったりして使う。
現場にいた人が撮影したとみられる画像によると、火災発生時は、店内にいた複数の人物がこのFontänenをシャンパンボトルに取り付けて使っていた。その1人が火花を天井に近づけすぎ、そこから火災が発生したとみられる。
州警察が入手した目撃者の証言によれば、天井から発生した火は短時間で急速に燃え広がった。大量の煙と強い熱波が発生し、局所的な火災が急速に燃え広がる「フラッシュオーバー」が起きた可能性が高いとみられる。
経営者2人に対する捜査を開始
州検察庁はバーを経営するフランス人夫婦に対し、過失致死、過失傷害、失火などの容疑で捜査を開始した。逃亡、証拠隠滅のおそれがないと判断し、身柄は拘束していない。
安全基準は十分だったのか?
バーの構造は防火基準を満たしていたのか?ヴァレー州政府参事・州保安責任者ステファン・ガンツァー氏は記者会見で、消防当局が検査で不備を発見したとの情報は得ていないと述べた。防火検査についても実施されたと想定されていたという。
防火検査は通常、年1回実施される。だがオンラインメディアwatsonは、バーの経営者が「過去10年で検査は3回しか受けていない」と語ったと報じた。防火検査の管轄主体はクラン・モンタナの自治体だ。
クラン・モンタナの首長ニコラ・フェロー氏は自治体に過失はなかったとしている。仏語圏のスイス公共放送(RTS)に対し「(自治体側に)怠慢はなかったと確信している」と述べた。
クラン・モンタナの自治体は、バーの経営者に対する刑事訴訟の原告の立場でもある。自治体が責任を問われる事態となれば、自体は複雑さを増す可能性がある。
許可なしの改装?
火災は地下1階のバーで発生した。
現在の経営者は2015年、「ル・コンステラシオン」の経営を引き継ぎ、その際に自ら店舗を改装した。地元メディアのブリックがソーシャルメディアから入手した画像(削除済み)によると、地下のバーから1階へ続く階段が改装中に狭まったとされる。今回の火災発生時、地下にいた客が逃げる際に障害となった可能性がある。
バーの内装改修に関し、当局の許可が降りていたかは定かではない、と独語圏の日刊紙NZZ日曜版は報じている。同紙によれば、ヴァレー州の公報には過去11年間、改修申請の掲載がない。建築許可申請は通常、公報への掲載が義務付けられている。
ただし、改修が軽微とみなされた場合、建築許可が不要だった可能性もある。同紙によれば、ヴァレー州の規制ではこうした例外が認められている。
燃えやすいパネルを使用?
スイス国内のメディアは、現場の天井に使用されていた防音パネルの材質について報じている。NZZ日曜版は、この防音パネルが安価で燃えやすい素材だった可能性があると推測した。独語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングが取材した2人の専門家は、現場の写真を見る限り、この防音パネルが適切に設置されていなかったと述べた。
州検察は「この材料が(安全)基準を満たしていたかどうかは調査中」としている。
避難口に不備?
火災発生時、利用客の大半が正面出入り口から避難したことについてもスイスメディアが疑問を投げかけた。
オンラインニュースポータル「20 Min.」によれば、100人以上を収容する施設には最低3つの出口が必要で、出口までの避難経路の最大長は35メートルを超えてはならない。この規定が遵守されていたかは不明だ。
州保安責任者のガンツァー氏は2日の会見で、「火災発生時に大半の人が正面出入り口から避難したように見えるが、出口は1つだけではない」とし、バーには少なくとも別の出口が1つあったと述べた。濃い煙で視界が悪化したため、別の出口を見つけられた人はごく少数だった可能性があるという。
出口の表示が不十分だったか、施錠されていたか、あるいは塞がれていたかは現時点ではっきりしていない。クラン・モンタナ首長のフェロー氏は20 Min.に対し、建築計画を含む全ての関係書類はヴァレー州検察庁に提出済みだと述べた。
未成年がバーに入店?
今回の火災が特に注目されたのが、犠牲者の大半が未成年者だったことだ。死者の最年少は14歳だった。
未成年者のバーやクラブへの立ち入りについて一律に定めた連邦法はない。そのため、各州が青少年を保護するための独自の規制を設けている。
ヴァレー州の宿泊、飲食、アルコール飲料小売業に関する法律では、「午後10時以降、16歳未満の青少年は、法定後見人または法定後見人から許可された第三者の成人の同伴がある場合に限り、施設内への立ち入りが認められる」「営業許可証の保有者は、入場者の年齢確認を行う責任を負う」と規定されている。
ベアトリス・ピルー州検事総長はRTS外部リンクに対し、「現時点では、14歳の少女がバーに入る許可を得ていたのか、あるいは誰かに付き添われていたのかは分からない。捜査で明らかになるだろう」と述べた。
編集:Marc Leutenegger 、英語からのDeepL翻訳・追記、宇田薫
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