スイス金融市場監督機構(FINMA)は1日、組織再編を発表した
Keystone-SDA
スイスの金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)は1日、監督体制を強化するため組織を再編したと発表した。クレディ・スイス危機への反省から、立ち入り検査機能を増強する。
このコンテンツが公開されたのは、
おすすめの記事
おすすめの記事
「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
スイスの主要メディアが報じた日本関連ニュースの要約をメールでお届けします。日本の国内報道からは得られにくい、国際的な視点も含んでいます。登録無料。
もっと読む 「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
FINMAは声明外部リンクで、組織再編は「将来的な課題に備えるため」だと述べた。組織横断的な部署として「統合リスク専門知識部」を新設。「市場部」と「資産運用部」を統合する。1日から新体制が始動した。
「金融市場の顧客と機能を保護するという使命をより効果的に果たす」ことができるようにする。統合リスク専門知識部は、FINMAが金融・非金融リスクに関する専門性を引き上げ、立ち入り検査の強化など「より綿密・直接的に」監督できる体制を目指す。銀行や保険会社、資産運用会社をより効果的に監督できるようになる。
リスク専門部隊
スイス第2の銀行だったクレディ・スイスは過大投資やスキャンダルなどから経営危機に陥り、2023年3月にUBSによる救済合併を余儀なくされた。FINMAは経営危機に対して適切な警告を発せず対応が遅れたとして、厳しく批判された。
政界ではFINMAの監督強化の議論が進む。FINMAが罰金を課す権限を持つことや、経営陣の個人責任を問う「シニアマネージャーレジーム(SMR)」などが提唱されている。
新設された統合リスク専門知識部は流動性や資本、ストレステスト、信用リスク、マネーロンダリング(資金洗浄)、持続可能性など広範な分野にわたるリスク管理を一括して監督する。立ち入り検査も同部署が担当する。
同部を率いるのはマリアンヌ・ブルゴス・ゴルジュ前資産管理部長。ジュネーブ州立銀行など複数の銀行でリスク関連業務に携わった後、2022年にFINMAに入庁した。
統合した「市場・資産運用部」のトップには2014年から市場部長を務めていたレオナール・ボル氏が就く。
早期に対応
シュテファン・ヴァルター長官は声明で、新体制によりFINMAは予防的な監督を強化し、監督される組織への影響を最大化すると述べた。昨年4月の就任以来、ヴァルター氏は問題を早い段階で特定し、「火が燃え上がってから消すのではなく」、できるだけ速やかに介入することが重要だと主張している。
FINMAは同日、ビルギット・ルティシャウザー副長官兼保険部長が4月末で退任すると発表した。同氏はクレディ・スイス危機後に引責辞任したアーバン・アンゲルン長官の後任として2023年10月~24年3月に暫定長官を務めた。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府のイグナツィオ・カシス外相は19日、ウクライナ情勢を巡る和平交渉について、スイスはロシアとウクライナの首脳会談を開催する「準備は万全」と述べた。
もっと読む スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
おすすめの記事
職場
スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの時計大手スウォッチはつり目ポーズのモデルを使った広告を謝罪し、撤回した。中国を中心に人種差別的だとの批判が出ていた。
もっと読む スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
おすすめの記事
世界貿易
トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスに対し39%の関税を発表する前日の7月31日、ドナルド・トランプ大統領がカリン・ケラー・ズッター大統領との電話会談で、米国への「投資」ではなく直接的な金銭支払いを要求していたことが分かった。大衆紙ブリック日曜版が報じた。
もっと読む トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
おすすめの記事
文化
ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部で開催されたロカルノ国際映画祭で、三宅唱監督の「旅と日々」が最高賞にあたる金豹賞を受賞した。
もっと読む ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
おすすめの記事
宇宙研究
国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
このコンテンツが公開されたのは、
日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。
もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
おすすめの記事
スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)が、新フラン札のデザイン案12点を発表した。来月7日まで、インターネット上で一般投票が行われる。
もっと読む スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
おすすめの記事
気候適応
ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。
もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
おすすめの記事
スイスで記録的暑さ 政府が警告
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。
もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
おすすめの記事
文化
知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。
もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
おすすめの記事
貿易政策
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。