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はちみつ色のクリスマス

キャンドル作りで世代間交流 swissinfo.ch

クリスマスの足音が聞こえだすとキャンドル作りが盛んになる。この伝統の発祥地はチューリヒ湖に面したビュルクリ広場 ( Bürkliplatz ) に建つ小さなパビリオンだ。

このコンテンツは 2007/12/09 15:26

寒さが一段と増すころ、このパビリオンは青いテントでぐるりと覆われる。中に一歩足を踏み入れると、そこにはゆったりと時間の流れる心和む空間が広がる。

ビュルクリ広場は「バーンホフ通り」の湖側の端に位置する。キラキラと派手なイルミネーションが輝くチューリヒの高級通りを後にパビリオンに足を踏み入れると、視界がふっとはちみつ色に変わった。同時に、甘酸っぱいような不思議な香りが鼻腔をくすぐる。

始まりは非行少年の更生促進

誰でも訪れることができる「チューリヒのキャンドル作り」が始まったのは今から39年前。当時、チューリヒ市の余暇施設を率いていたソーシャルワーカーのミヒャエル・ブロンスさん ( 71 ) は、世間からはみ出した青少年の心を解きほぐすために何か意義ある活動はないかと考え、キャンドル作りを思いついた。

最初は相手にしなかった若者たちも、クリスマスが近づくと「やっぱりお母さんにキャンドルをプレゼントしよう」と考えるようになる。始めてみると、キャンドル作りに夢中になった。その後、ブロンスさんは一般の人も自由に参加できるキャンドル作りを始めた。それまでは、キャンドル作りは職人の仕事で、人々は出来上がったキャンドルを買うに過ぎなかったのだ。

世代間の交流、平穏、瞑想

キャンドル作りはまず子どもたちに広がった。普段は大人から情報を貰い受けてばかりの子どもたちが、今度は大人にキャンドル作りを伝えることになった。また、さまざまな障害者施設でも人気となった。こうしてキャンドル作りはビュルクリ広場からチューリヒ州の各地へ、そして州の外へとどんどん広がり、今や「若き伝統」のステータスを獲得している。

「チューリヒのキャンドル作り」ではミツバチの巣から採れるみつろうしか使わない。自然の恵みを使い、1人静かに思いにふけりながら、あるいは見知らぬ人との会話を楽しみながら、それぞれが好きなときに好きなだけ時間をかけてはちみつ色のキャンドルを作る。

作り方は簡単。芯を好きな長さに切って片端を丸め、その端を持って芯をぶら下げて、溶かしたろうの中に静かに入れる。すぐに引き上げて少し乾かし、同じ動作を繰り返す。そうすると、上部は少し細め、下部ほど太くなるキャンドルが少しずつ形作られていく。

ブロンスさんは
「朝7時から夜10時まで働き続けたこともありますが、それ以上のものを来訪客の皆さんから返してもらいました」
と無邪気な笑顔を満面にたたえる。

本来のクリスマス

チューリヒ市に住むカロリン・チュミさんは4年前から毎年「チューリヒのキャンドル作り」に通っている。今日は2日目、長さ60センチ直径4~5センチメートルのキャンドルを2時間かけて作った。キャンドル作りを始めたきっかけは
「彼に誘われたの」
と、少し離れたところで何本もキャンドルを作っているニクラウスさんを指す。
ローラント・ニクラウスさんは子どもの頃にキャンドルを作ったことがあった。毎年、3~4キログラムのキャンドルを作っては自宅で火をともしたり、プレゼントしたり。贈られた方は「時間をかけて作ってくれた」ととても喜んでくれるという。

マリウス・メジンゲン君は8歳。ろうのカスをくっつけてデコボコしたキャンドルを作っている。母親のヨハンナさんは20年来のお得意さんだ。今日はもう1組の母子と一緒。
「携帯電話の使用が禁止されている空間で、静かな音楽に耳を傾けながら過ごすクリスマス前の時間は素晴らしい」
と語る。チューリヒのキャンドル作りは確実に世代を超えて受け継がれている。

swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )

補足情報

<チューリヒのキャンドル作り>
- 1969年ソーシャルワーカーのミヒャエル・ブロンズさんが開始。

- パビリオンの中は寒い。体が冷えたときのためにカフェも併設されている。

- 出来上がったキャンドルに、切り模様をつけてもらうこともできる。

- 利益は社会福祉団体や高齢者・障害者施設、救援組織などに寄付される。

- 「チューリヒのキャンドル作り」から生まれた会社「エクサゴン ( Exagon ) 」がキャンドル作りのワークショップを開催している。

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キーワード

2007年は10月31日から12月19日までオープン ( 毎日10時~20時 ) 。

入場無料。1回で作りきれないときは預かってもらうことができる。出来上がったキャンドルを持ち帰るときに、みつろう100グラムにつき4.50フラン ( 約440円 ) を支払う。

入場者数は年間延べおよそ2万人。

みつろうの使用量は年間約6トン、芯は約50キロメートル。

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