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アウトドアウエア製造企業に調査の手

過酷な環境にも耐える衣料品は劣悪な労働条件下で作られていることが多い Keystone

「アウトドア・スポーツウエアはフェアな労働条件下で製造されるべき」。スイス国内外の企業に対する非政府組織「ベルン宣言」の最新評価はこのように下った。

このコンテンツは 2009/07/16 15:25

憤りの原因は、最低限の生活にも足りない給与など、悲惨な労働環境がいたるところで横行していることだ。たとえば、「ザ・ノースフェイス社 ( The North Face ) 」の縫い子が受け取る報酬は、ヤッケ1着につきわずか1フラン ( 約86円 )。これは販売価格176フラン ( 約1万5000円 ) の0.56%にしかならない。

中小企業を新たにフォーカス

「ベルン宣言 ( Erklärung von Bern/EvB ) 」がコーディネートしている「クリーン・クローズ・キャンペーン ( CCC ) スイス」は、フェアな環境での衣料品製造を促進するためのキャンペーン。批判の目は流行ファッションのみならず、アウトドアウエアやスポーツウエアにも向けられた。

キャンペーンで行われたアンケート調査の対象となったのは、スイスで製品を販売している合計29社のアウトドア企業。大企業が16社、小企業が13社を数えた。だが、ベルン宣言のメンバーでCCCのコーディネートを担当しているクリスタ・ルギンビュール氏は「結果はさっぱり」と肩を落とす。自社の製造基準や企業に課された責任をどう実現していくかという質問に回答した会社は半数にも満たなかった。

アンケート調査にあまり協力的でなかったのはスイスの中小企業だ。
「しかし、これらの会社は驚いた様子でした。これまでこのテーマと向き合ったことなどなかったのです」

中小企業は納入会社に対して大企業ほどの影響力を持たないが、それでもやはり製造基準に対する責任から逃れることはできない、とルギンビュール氏は言う。「LKインターナショナル社 ( LK International ) 」などは4000万フラン ( 約34億円 ) もの売り上げを上げている。

「フェアネス ( 公正 ) 」は企業の規模とは関係ありません」
とルギンビュール氏は強調する。公正な労働環境を作るために努力しているスイスの中小企業は、「ベルクシュピッツ社 ( Bergspitz ) 」と「シェルパ・アウトドア社 ( Sherpa Outdoor ) 」の2社にすぎない。残りの11社は、努力しなければならないことにすら気がついていないという。このような会社には「無知」というランクが付けられた。

スキー・スイス代表チームのサプライメーカー

世界的なアウトドア企業では、10社が「無知」とランク付けされた。期待が持てる会社は6社あった。その中には、独立したコントロール機関の「フェア・ウェア基金 ( Fair Wear Foundation ) 」にすでに加入している「マンムート社 ( Mammut ) 」や「オドゥロ社 ( Odlo ) 」の名前も見られる。

スイスのスキー代表チームに装備を提供している日本の「デサント社 ( Descente ) 」は、透明度の高い企業に属していない。しかし、ルギンビュール氏はスイスでデサントの製品を販売している「ハイ・トレード社 ( Hi Trade AG ) 」の最高経営責任者 ( CEO ) レト・フラー氏の努力を認める。

フラー氏は
「デサントの製造基準は高く、日本には検定を行う部署もある」
と説明する。そして、アンケート調査やその内容は改善につながると評価しているものの、今回のやり方は少々攻撃的だと感じたと言う。
「日本人の文化はこことは異なり、アンケートはあまり好まれない。CEOの給与や企業秘密に抵触する質問に関しては特にそうだ」

ハガキ攻勢

スイスの19の開発協力組織と援助団体が行っているCCCでは、スポーツ分野とアウトドア分野でこれからも活動を続け、意識の高い消費者に期待をかけていくつもりだ。一方ではまた、「腰を上げよう ― 透明性を確保しよう」と印刷されたハガキを企業に送って、労働環境に関する透明性について学んだり、行動基準を設けたり、またそれを実行に移したり、さらには外部からの検査を受け入れたりするよう働きかけている。進歩の度合はアンケート調査で評価される。

2008年末には、「フェア・ファッション? スイスのアパレル企業の比較」と題したファッション業界の企業アンケートが公表された。また、スイスのCCCではヨーロッパ全土で企業アンケートも行っている。目標はファッション企業100社のプロフィールを公開することだ。

フィエラ・マラフ、InfoSüd/swissinfo.ch
( ドイツ語からの翻訳、小山千早 )

クリーン・クローズ・キャンペーン ( CCC )

グローバル化したテキスタイル産業の労働環境を改善することが目的。

ヨーロッパ12カ国、世界の250の組織を結んだ国際的なキャンペーン。

スイスでは、非政府組織 ( NGO )「パンをすべての人に ( Brot für alle ) 」「ベルン宣言 ( Erklärung von Bern/EvB ) 」「四旬節の供物 ( Fastenopfer ) 」が1999年に開始した。今日では19のNGOが参加している。

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ビルマの水準は高い?

ベルン宣言は、「ザ・ノース・フェース社 ( The North Face ) 」以外にも国際的な企業の中から悪例を紹介している。

ドイツの「ファウデ社 ( Vaude ) 」はミャンマー ( ビルマ ) でコレクションの一部を製造しており、アンケート調査で「現地の基準はアジアの水準から見ればかなり高い」と答えた。

しかし、国際連合 ( UN ) 人権理事会は現地の組織的な人権侵害を確認している。

ほかの分野では模範的な企業「パタゴニア社 ( Patagonia ) 」も、ベルン宣言によると、社員に対して最低の生活を保障する賃金を支払っていない。

また、ヨーロッパの拠点をジュネーブに置く大手「コロンビアスポーツウェア社 ( Columbia Sportswear ) 」はこのアンケートをまったく無視した。

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