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自然と都会を身近で感じる 〜 湖畔の我が町

朝焼けに包まれたチューリヒ湖畔 swissinfo.ch

澄みきった冬の空気が漂う中、眼前に広がる美しいアルプスの朝焼け。この風景は私の住むチューリヒ州湖岸の町に広がる朝の景色で、冬から春先にかけての晴れた日にのみ眺められる特有の湖畔の冬景色でもある。とは言え、この独特な空と風景は、年間の季節を通じて一度たりとも同じであった事はなく、一分一秒ごと、またとは目にする事のない幻想的な世界が広がる。

 日本とスイスとの国交樹立150周年を迎える2014年の幕開け、自分にとってもスイスに住んでちょうど10年を迎える記念すべき今年、ご縁があり、スイスインフォの公式ブログ「もっと知りたい!スイス生活」のライターのひとりとして仲間入りさせていただく運びとなった。

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 自らの自己紹介もかね、ここで私が住むチューリヒ州の町について簡単にご紹介してみようと思う。我が家の家族構成はスイスの製薬会社に勤務する英国人の夫と私の二人暮らしで、現在住むチューリヒ湖畔の町は人口が約1万人を少し越える程の小さな町。この町に移り住んでからは約7年。スイスでの最初の3年近くを同じくドイツ語圏のバーゼルで過ごし、その後チューリヒ州へと転居し現在に至る。

 細長い三日月型のチューリヒ湖岸の両側には、同じような規模の町が点在する。チューリヒ地区で「ゴールド・コースト」と呼ばれている湖の沿岸では、他地域に比べると日照時間が長い等の理由により、古くからワイン造りが盛んで、春から夏にかけての湖岸はその葉を茂らせた緑いっぱいのブドウ畑の景色が美しく眩しく、秋にはそれらは光に包まれ金色に輝き、そして冬には降り積もった雪で真っ白に覆われる。

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 私の住む町はチューリヒ市内から車で約20分、バスと電車を乗り継ぐと30分程の郊外で、チューリヒからは充分な通勤圏内のため、沿岸の各町はいわゆるベッドタウンとしても発展を続けている。路面電車(トラム)の路線が網羅し、多くの人々が行き交うチューリヒ市内の中心部を思い浮かべると、その風景の相違には、住んでいる自分にも驚かされる事が多々ある。

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 湖畔の町では、なだらかなブドウ畑や、小高い丘の上の牧草地を散策するのが人々の日課。住居と動物たちの住む牧場が隣接している郊外では、人なつこく近くまで駆け寄って来る牛や馬、羊たちが草を食みまどろむ姿を眺め、反対側にはアルプスの壮大な山々見渡しながら、春はモクレンに桜、夏にはりんごや藤の花が咲くのどかな散歩道で、季節の移り変わりを肌で感じながら歩く。

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 これが私の住む町の、動物と自然と、人々が共存する日常生活の光景である。都会の騒音とは相反し、近所の家の庭から山羊の鳴き声が聞こえて来たりする事もしばしば・・・。高級ブランドショップが軒を並べ、金融の中心でもあるスイス最大の都市チューリヒからほんのわずか離れた郊外の町には、豊かな自然いっぱいの光景が広がる。

 私がスイスでの生活を続けている中で、「凄い!」と感じさせられる事はいくつもあり、それらは順を追ってこのブログの中でもご紹介をしていこうと思っているのだが、身近な日常生活において、日々すごいと感じているのがスイスの公共交通である。スイス国内各地には電車・バスの路線、トラムはもちろん、湖上を行き交う船なども網羅されている。そして、それらのほとんどはほぼ時間ピッタリにやってくる。ダイヤの組み合わせは緻密で、通常駅では、電車を降りれば乗り継ぎのバスやトラムが駅前で待機しているのが普通。各駅での乗り換えも容易で、町の外れから山のてっぺんまで、各地へは公共交通を使用して行けない場所は無いと言っても過言ではないだろう。

 チューリヒは、旅行ガイド “ロンリープラネット”2014年版の訪問すべきおススメ10都市にも選ばれており、景観ばかりではなく、旅行者へも推薦される食と娯楽と文化交流の整った都市。これから先、このサイトにて自分が担当をさせていただくブログ記事では、チューリヒの「都市の顔」の部分と、郊外の「自然」の美しさの両サイドをいろいろな角度から着目しつつ、私の視点で感じるスイスでの人々の生活風景をお伝えしたいと思う。

 みなさま、どうぞよろしくお願い致します。

 

スミス 香

福岡生まれの福岡育ち。都内の大学へ進学、その後就職し、以降は東京で過ごす。スイス在住10年。現在はドイツ語圏のチューリヒ州で、日本文化をこよなく愛する英国人の夫と二人暮らし。日本・スイス・英国と3つの文化に囲まれながら、スイスでの生活は現在でもカルチャーショックを感じる日々。趣味は野球観戦、旅行、食べ歩き、美味しいワインを楽しむ事。自身では2009年より、美しいスイスの自然と季節の移り変わり、人々の生活風景を綴る、ブログ「スイスの街角から」をチューリヒ湖畔より毎日更新中。

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