富裕層マネー、中東情勢の悪化でスイスに照準
イラン戦争は金融センターとしてのスイスに棚ぼた効果をもたらしている。湾岸地域の経済・金融への影響を恐れ、一部の顧客はスイスへの資金移転を検討し、既に移した顧客もいる。
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コンサルタント会社プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)スイスの金融サービス部長パトリック・アキキ氏はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)で「資金移動は始まっている」と語った。
ただ規制強化により、スイスでの口座開設には従前より時間がかかっている。「資金移転を進める前に、スイスの銀行は、案件がコンプライアンスに適合しているかどうかを確認しなければならない」
他の匿名希望のコンサルタントも同様の見解だ。ほとんどの銀行は公式コメントを拒否した。紛争に便乗しているという印象を持たれたくないためとみられる。
スイスの再評価
湾岸地域を頻繁に訪れるジュネーブの資産アドバイザー、ロレンツォ・ロマノ氏は、戦争勃発時、ドバイで足止めを食らった。ロマノ氏はここ数日、「スイスのどの場所がお勧めか、義務教育の仕組み、不動産の買い方、貸し方、一括課税の仕組みなどを説明してほしい」という依頼を何件も受けているという。同氏によると、「湾岸諸国がパニックに陥っているわけではないが、明らかに様子見姿勢が強まっている。将来の住まいを見直す富裕層が増えている」。
スイスはこれまでも、湾岸諸国の顧客にとって目ぼしい移住先の1つに挙げられてきた。デロイトによると、スイスで管理されている資産のほぼ4分の1は湾岸諸国に由来する。ロマノ氏は「スイスは少し退屈な国だと思われがちだが、湾岸諸国のように緊張・分断をはらんだ情勢になると、このやや単調な一面が紛れもない利点であることに多くの人が気づいている」と話す。
揺らぐ成長モデル
湾岸諸国の成長モデルが今、揺らいでいる。アキキ氏は「安全保障、教育水準、医療支援、生活の質の高さを売りに発展してきた」と説明する。だが多くの家庭が、むしろスイスのように中立的で、生活の質が非常に高く、過去10年間で非常に回復力があることを示した国に戻った方がいいのだろうか、と問い直しているという。「フラン相場の上昇は、市場の信頼の高さを反映する」
住まいをめぐる富裕層の不安に対し、湾岸諸国は懐柔策を打ち出した。ドバイは一括課税に関する規則や居住日数を緩和した。紛争が長引くほど湾岸金融センターは不利になり、他の投資先を利することになるためだ。
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仏語などからのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
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