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チョコファンに警告:カカオ豆の価格が上昇中!

コートジボワールは世界一のカカオ豆生産国 Keystone

カカオ豆の価格が上昇している。その影響は消費者にまで及ぶかもしれないと、スイスチョコレート業者は警告する。

7月初旬、カカオ豆がロンドン市場で4年ぶりの高値を記録した。世界最大のカカオ豆生産国、コートジボワールの首相の乗った飛行機が攻撃を受けた直後のことだ。

 国際ココア機関 ( ICCO、本部ロンドン ) によると、カカオ豆の価格は年末年始以来上昇を続けている。7月3日のロンドン市場の終値は1トン当たり2149ドル ( 約26万円 ) 。1月平均の1702ドル ( 約21万円 ) に比べると、26%もの上昇率だ。

ネスレの思惑

 チョコブランド「カイエ ( Cailler ) 」や「キットカット ( KitKat ) 」の製造で有名なスイスの食品大手「ネスレ ( Nestlé ) 」は、同日、「今の価格上昇はチョコレート業界に大きな影響を与えることはないだろう」と発表した。

 ヴヴェイ ( Vevey ) に本社を置く多国籍企業ネスレは、コートジボワールに2つの工場を持っている。今年必要とされるカカオ豆はほぼ確保しており、2007年のオーガニックグロース ( 自律的成長 ) の目標も5〜6%のまま修正の必要はないという。

 しかし、広報担当のフランソワ・ザヴィエ・ペルー氏は、このままカカオ豆の価格が下がらなければ、ネスレのチョコレートが値上げされる可能性もあることを示唆する。「強力なブランドでは、原料価格の上昇分をいくらか消費者に転嫁することはよくあることです」

不安定な天候

 一方、世界をリードするチューリヒのチョコレートメーカー「バリー・カレボー ( Barry Callebaut ) 」の見方はこうだ。「カカオ豆の価格がいつか上がることは目に見えていました。西アフリカ諸国のほとんどは二期作を行っていますが、1回目の収穫の間、天候がとても不安定だったのです」

 広報担当のジョジアン・クレマー氏は続ける。「そうすると、収穫量が減り、品質も落ちます。そして、最終的にカカオ豆の価格が高騰することになります。2回目の収穫期も同じような状況なので、カカオ豆の価格は1トン当たり1100から1200ポンド ( 約27万円から30万円 ) に留まり続け、この高騰は長期的なものとなるでしょう」

 バリー・カレボーもコートジボワールに工場を2つ持っている。コストが上がれば、その影響は必ず小売価格に現れるという。だが、現段階では、どの程度値上がりするかはまだわからない。

 「リンツ&シュプリュングリ ( Lindt & Sprüngli ) 」はカカオ市場の詳細な分析を行っているところだ。しかし、やはり商品の値上げについてはまだ何とも言えないという。

カカオ不足

 スイスチョコレート製造連盟「チョコスイス」 ( Chocosuisse ) のフランツ・シュミット会長は、カカオ豆の価格がこの先も上昇を続けるようであれば、業界はしかるべく対応を迫られるだろうとみている。つまり、小売価格の上昇は避けられそうにないのだ。

 国際ココア機関は5月末、カカオ市場の四半期報告を発表した。世界生産量は7.4%減の344万トンに落ち込み、反対に需要は1.8%増の355万トンに増えるという。今年はどうやら、世界的なカカオ豆不足に見舞われそうだ。

 国際ココア機関のシニア統計学者であるローレント・ピピトーン氏は、「供給不足が価格高騰を招いていることは明らか。だが、カカオの未来をめぐる金融市場の『ポーカーゲーム』もそれに油を注いでいる」と言う。

 カカオ豆の価格は上昇し続けるのか、それとも逆に下降するのだろうか。そんな中、2008年は余剰が生まれるという見通しも立てられている。

swissinfo、アダム・ボーモント 小山千早 ( こやま ちはや ) 意訳

- カカオ豆の生産大国はコートジボワール、ガーナ、インドネシア。生産量の9割近くは栽培用地5ヘクタール以下の小自作農が供給している。

- 世界ココア機関 ( ICCO ) の調査によると、カカオを栽培している小自作農は世界に250万戸ある。

- 「チョコスイス」によると、スイスのチョコレートメーカーは昨年、輸出が増加したことから売上総額15億3000万フラン ( 約1551億円 ) を記録した。

2002〜03年の内戦のあと、国内は反政府勢力が支配する北部と政府が治める南部に分裂。今年3月、和平プロセスを進めるための合意が成立した。

違法行為の見張り番「グローバル・ウィットネス ( Global Witness ) 」は6月に発表したレポートで、コートジボワールの政府と反政府勢力は戦争費用として総額およそ9000万ドル ( 約11億円 ) をカカオ業界から略奪したと報告。和平プロセスが頓挫すれば、この略奪が繰り返される恐れがある。

スイス人で国連 ( UN ) の国内避難民人権担当事務総長特別代表を務めるヴァルター・ケーリン氏は、つい最近、5日間のコートジボワール視察を終えた。

彼は現地の政府に対し、何千人にも上る国内避難民の安全かつ持続的な帰郷を保証するよう迫った。

ケーリン氏はまた、国際社会や寄付者に対し、帰郷者を再び普通の生活に順応させるための計画支援を呼びかけている。

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