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「安全な国」スイスのイメージに試練 クラン・モンタナのバー火災、海外報道は過去最多に

連邦外務省「プレゼンス・スイス」のアレクサンドル・エデルマン代表
連邦外務省「プレゼンス・スイス」のアレクサンドル・エデルマン代表 Keystone / Anthony Anex

スイスは安全な国――スイス南部ヴァレー州のスキーリゾートのバーで1日発生した火災は海外メディアで大きく報じられ、そんなスイスのイメージを大きく傷つけた。スイスのイメージ戦略を司る連邦外務省「プレゼンス・スイス」のアレクサンドル・エデルマン代表は、スイスのイメージと評判を回復するための手立てが必要だと語る。

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クラン・モンタナのバー「ル・コンステラシオン」で発生した悲劇的な火災から約3週間が経ち、メディアの圧力はやや和らいだ。死者、けが人には隣国から来ていたリゾート客が多数含まれていたこともあり、海外、特にイタリアからの批判は依然激しい。こうした状況を受け、スイス外務省の広報担当機関であるプレゼンス・スイスは、ミラノ・コルティナで開かれる冬季オリンピック期間中に予定されていた2つの夜間イベントを中止した。

スイスインフォ:クラン・モンタナの悲劇を受けて、スイスは海外から厳しい批判に直面しています。これはプレゼンス・スイスでのあなたの仕事にどのような影響を与えていますか?

アレクサンドル・エデルマン:(火災発生後の)1月1日の朝から、世界中のメディアがクラン・モンタナでの出来事を報道し始めました。私たちの仕事の一つは、こうした報道を「測る」こと、つまりスイスについて何が語られているかを評価し、分析することです。スイスに関して、ここ数年で最も多く報じられた出来事だと言えるでしょう。

この悲劇の国際的な影響を、太陽寺院の集団死事件や1990年代のスイス航空111便墜落事故など、スイスの対外イメージに影響を与えた他の出来事と比較できますか?

当時はプレゼンス・スイスがなかったので、比較するためのデータはありません。しかし、確かなことが一つあります。それは、海外メディアにおけるスイスの認知度を測定し始めて以来、クラン・モンタナの出来事が最も多く報道されているということです。

クラン・モンタナでは報道陣の数が当初よりも減ったが、イタリアのメディアでは依然大きく報道されている
クラン・モンタナでは報道陣の数が当初よりも減ったが、イタリアのメディアでは依然大きく報道されている Keystone / Jean-Christophe Bott

イタリア国内では、クレディ・スイスが破綻したとき(2023年3月)も1、2日間ほど、メディアの注目を集めました。しかし、スイス連邦政府の銀行救済策は、国のイメージではなく、金融機関のイメージを損なうものでした。

一方、クラン・モンタナの火災は、前例のないほどメディアの関心を集めました。これは、この悲劇の普遍性、状況、死者数、犠牲者の年齢の若さ、そしてスイスが持つ安全な場所というイメージとの乖離に起因していることは間違いありません。

安全の模範とされる国でこのような悲劇が起きたことに、多くの人が驚いています。こうした批判は、スイスのイメージにどのような影響を与えるでしょうか?

これほどの規模の悲劇と、安全な国というスイスのイメージとの乖離は、確かに問題です。この認識が永続的に損なわれるかどうかはまだ判断できません。一方で、イメージ挽回のための取り組みは必要になるでしょう。何もなかったかのように振る舞うことはできません。

スイスにはこうであってほしいという期待が寄せられています。我々は何が起こったのかを調査し、理解しなければなりません。スイス連邦政府とヴァレー州政府のトップが述べたように、責任の所在を明らかにしなければなりません。そして、犠牲者の方々に最大限の敬意を払いつつ言えば、スイスが世界で良好なイメージを保っている理由の多くは、まだ失われたわけではありません。

スイスは、「カネが絡むと見て見ぬふりをする」と非難されてきました。スイスは海外からの不正な富が集まる避難所という評判を払拭しようとしていましたが、今回のことでスイスのイメージが損なわれるリスクはあるのでしょうか?

一般的に言えば、人々の認識という点では、銀行秘密法の廃止(2009~2010年)以降、「見て見ぬふり」批判は減少しています。実際、クラン・モンタナの悲劇に関して、たとえ実際に「見て見ぬふり」が存在したとしても、最も広く聞かれる批判ではありません。それより多くの疑問を呼んでいるのは、火災が発生したバーで安全検査が行われていなかったことや、その理由についてです。

この悲劇に関するメディア報道は、ほとんどの国で下火になっていますが、イタリアでは依然注目度が高く、特に批判が激しいです。このイタリアの反応について、どのように考えますか?

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スイス以外で最も影響を受けている(犠牲者数が多い)のはフランスとイタリアです。当初、両国のメディアの注目度は同程度でしたが、イタリアではすでに強い批判が出ていました。また、イタリアを除くすべての国で、この問題に関する報道が減少していることがわかります。これは、いくつかの要因が考えられます。まず、クラン・モンタナとイタリアの間には長い歴史があり、このリゾート地はイタリアで高い評価を得ています。そのため、今回の衝撃はより大きく、その感情は当然のものです。

次に、この悲劇は政治問題でもあります。イタリアのジョルジャ・メローニ首相はスイスの安全管理体制を強く批判し、犠牲者を見舞い、追悼式典を開催しました。最後に、メディアの報道内容や論調は国によって異なります。

スイスのイメージが永続的に損なわれることを懸念すべきでしょうか?

第一に、イメージの失墜は主要な問題ではありません。何よりも重要なのは、この悲劇の人間的側面です。そのうえで、問題となっているものがある以上、私たちは警戒を怠ってはなりません。しかし、スイスのイメージが全面的に、あらゆる分野で損なわれるとは思いません。

しかしながら、観光分野では、クラン・モンタナの自治体が深刻な課題に直面しています。メディアは、短期休暇のキャンセルが相次いでいると報じています。当面は、他の観光地への影響はないと思われます。しかし、この悲劇が実際にどのような影響を与えるかは、時が経てば分かるでしょう。

この悲劇が国の評判に及ぼす影響を最小限に抑えるためには、何をすべきでしょうか?

まずは捜査が適切に行われ、またそれが法的基準を満たし、さらに情報へのアクセスを確実に保証することです。今は対話ではなく、正義が求められる時です。

スイス外務省が大使館と協力してできることは、入手可能な情報が正しく伝達され、誤解がないようにすることです。関係各国と犠牲者の遺族に情報を伝える必要があります。特にフランス、イタリアにいるプレゼンス・スイスの職員たちは、この分野で積極的に活動しています。

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担当: Rigendinger Balz

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編集:Pauline Turuban、英語からの翻訳:宇田薫、校正:ムートゥ朋子

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