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原爆投下から80年、10代は核問題をどう見る?

10代は核問題をどう見る
原爆の平和祈念式典を翌日に控えた2025年8月8日、長崎市の平和公園でろうそくを手にする若い女性 Keystone

広島と長崎への原爆投下から80年が経った。日本では戦争体験を直接聞いたことのない若い世代が増え、記憶をどう後世に繋げていくかが課題になっている。

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日本では被爆者、戦争体験者の高齢化が進む。人口の9割は戦後生まれだ。被爆者の平均年齢は86歳を超え、その数は今年初めて10万人を下回った。

戦争の記憶を直接聞く機会が限られてきていることは、日本赤十字社が今年初めて実施した「平和や核兵器に関する意識調査」でも示されている。国内に住む10〜60代以上の男女1200人を対象に実施した同調査で、「戦争体験(被爆体験以外を含む)を直接聞いたことがある」と答えた人は過半数をわずかに上回った。10代に限ると、その数は半数を割り込む。

上の世代が祖父母ら身内から話を聞く・聞いた経験がある一方で、10代が戦争体験を知る手がかりは、今や数の限られた語り部に頼る形となっている。

>>「私たちが被爆者から直接話を聞ける最後の世代」ーージュネーブで非核を訴える日本の高校生たち

わずかながら世代差がみられたのは、核兵器に対する価値観や、自国が戦争の当事者になるかもしれないということへの不安だ。

調査では、若い世代ほど「将来日本が戦争の当事者になるかもしれない」という不安を強く抱えていた。

また、核兵器を保有も使用もすべきでない、という意見には全ての年代で過半数が賛成したが、「自衛のための保有は致し方ない」と考える人の割合は、10代が32%と最も高かった。

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調査を担当した日本赤十字社事業局国際部の大山啓都次長は「核兵器の廃絶に多くの人が関心を持つ一方、その使用や保有に対する考え方には葛藤していることが見て取れる」と話す。

2022年に行われた別の調査外部リンクでは、アメリカによる原爆投下を「正当だった」と考える割合は年齢が若くなるほど増え、10代では最も高かった(25%)。核軍縮が国際社会の安全に役立つという考え方も、若い世代ほど支持が少ない。

>>日本で育った記者が感じた国外との温度差

また調査では、世代を超えて8割以上が「戦争の記憶を伝える必要がある」と答えた。

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編集:Virginie Mangin /gw

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