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スイス航空銀行救済策受け入れ

クロス航空機(手前)とスイス航空機(奥)。ジュネーブ空港で。 Keystone

170億スイスフランの赤字を抱える上、米同時多発テロの影響による旅客激減で資金繰りがさらに悪化していたスイス航空は1日、銀行の救済策を受け入れた。スイス航空は系列の地域航空会社クロス航空の持ち株70%をUBS銀行とクレディ・スイスに売却、両銀行がクロス航空を事実上買収しスイス航空の主要路線をクロス航空に移行する。

スイスエア・グループ役員、銀行関係者、閣僚らは日曜、ベルンで4時間の緊急会議を開き、スイス航空の救済策について話し合った。スイス航空の赤字経営は、独自の国際連携を形成しようと経営不振の外国の航空会社を買収した過去の拡張政策の失敗に遡る。昨年30億スイスフランの赤字を出した上に、9月11日米同時多発テロ事件以降、旅客は通常の40%から60%に落ち込み資金繰りはさらに悪化、緊急資金注入をしなければ社員の10月分の給与も支払えない。スイスエアのマリオ・コルティ会長は、スイスエアが倒産したらスイス経済への打撃は甚大だとして、倒産を避けるための救済策が検討された。

コルティ・スイスエア会長が1日チューリッヒの記者会見で発表したところによると、同グループが受け入れた救済策は、スイスエア・グループは保有するクロス航空株の70%をスイスの2大銀行、UBS銀行とクレディ・スイスに2億6、000万スイスフランで売却する。スイス航空は、主要欧州路線と長距離路線をクロス航空に移行する。さらに、全体で2、560人(うちスイス国内で1、750人)の人員を削減すると発表した。スイスエア・グループは国内21、000人、全体で72、000人の従業員を抱える。社名は当面「クロス航空」のままだが、「スイス航空」に変更する事もあり得るという。が、航空評論家のゼップ・モサー氏は、スイス航空のブランド価値は失われたとして、社名変更しない方がよいという。救済策が今後スイス航空に及ぼす影響は明らかではないが、モサー氏は「すでにスイスエアは死に体だ。グループ解散の過程にある。救済プランの狙いは、クロス航空を将来のスイスの航空会社の核として生き残らせることだ。」と見る。

一方、カスパル・フィリガー蔵相は1日、ベルンで記者会見を開き、スイスエア・グループ社員が蒙る痛みを遺憾に思うが、クロス航空の財政に政府が介入する必要はないと語った。また、UBS銀行のマルセル・オスペル議長は、救済策はスイスの航空業界のフレッシュなスタートとなるだろうとし、「スイス社会、スイス経済、そして世界の金融センターとしてのスイスにとって、スイスの旗をつけた航空機が国外で飛ぶことに意義がある。スイス航空の現状にあたって、他に実行可能な手段はない。」と語った。さらに、UBS、クレディ・スイスの両銀行は、クロス航空株の購入は金融投資としており、経営はクロス航空に任せるという。

スイス証券取引所は1日と2日、スイスエア、クロスエアの株取引を停止している。また、スイス航空の予約カウンターでは旅客に対し、今週のフライトは保証できないと予告している。

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