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スイス発レール間太陽光発電システム 実証プロジェクトで成果

ヌーシャテル州ビュット村で公開されたサンウェイズの鉄道向け太陽光発電システム。2025年4月24日撮影 
ヌーシャテル州ビュット村で公開されたサンウェイズの鉄道向け太陽光発電システム。2025年4月24日撮影  Keystone / Jean-Christophe Bott

スイスでレール間太陽光発電システムの試験運用が始まってから約1年が経過した。安全・運用面で一定の成果が示され、ヨーロッパやアジア諸国でも導入への機運が高まる一方、技術的課題も残る。

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「鉄道運行の安全性と発電の両面で、我々は目標を達成した」。スタートアップ企業サンウェイズ(Sun-Ways)の創業者ジョセフ・スクデリ氏は、スイスインフォの取材にこう語った。同社によると、これまでにソーラーモジュールの上を通過した列車は1万1000本に上る。この設備が「きわめて安定かつ安全」であることが運用実績によって実証されたという。

同社は2025年4月、スイス西部ヌーシャテル州ビュット村の鉄道支線に全長100 mのソーラーモジュールを設置した。モジュールはレール間の枕木の上に敷設されている。

このモジュールの特徴は、鉄道インフラの保守作業時に容易に撤去できる点にある。こうした機能を備えたレール間太陽光発電システムは世界初だ。

>>スイス発の革新的なレール間ソーラーモジュールの仕組み:

実証プロジェクトの成果

モジュールで発電した電力は、地域の送電網に供給される。降雪や計画的な技術作業に伴う約1カ月間の停止期間があったものの、2025年5月20日の稼働開始以降、発電量は1万6000 kWhを超えた。これは、一般家庭3~4世帯分の年間電力消費量に相当する。

サンウェイズによると、スイス国内の鉄道路線はトンネルや日照条件の悪い区間を除くと約5320 kmに及び、年間最大10億kWhの発電が可能だ。これは年間電力消費量にして30万世帯分、スイス全体の電力需要の2%に相当する。

今回の実証プロジェクトでは、ソーラーモジュールの清掃という課題についても解決策を得た。同氏は当初、パネル表面に堆積するほこりを取り除くため、列車の端に円筒形のブラシを取り付ける構想を持っていた。

「しかし実際には、列車が通過するたびに気流が発生し、すべてのほこりを吹き飛ばすことが分かった」。この支線を走行する列車の最高速度は90 km/hに達する。

また、モジュールを容易に撤去できることも実証された。専用機器を使用すれば、3つの部品で構成される全長6 mのモジュールを約10分でレールから取り外し、送電網から切り離せるという。「これは、枕木の交換やレールの溶接作業が必要となる場合に極めて重要となる」

>> スイスインフォは2025年、サンウェイズがプロジェクトを立ち上げた際にも取材した:

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鉄道運行との両立

ビュット村の支線を運営するヌーシャテル州の州営交通事業者TransNによると、レール間太陽光発電システム導入による通常業務への影響はない。

同社の広報担当アリーヌ・オド氏はメールでスイスインフォの取材に応じ、「インフラや保守作業、列車の運行に支障はない」と説明した。

また、この種の設備で懸念される運転士への反射光についても、運転士からの報告はなく、問題は確認されていない。

一方、スイス国内の鉄道網の大部分を運営するスイス連邦鉄道(SBB)は、このプロジェクトの進展を注視しているものの、参画はしていない。同社はレール間ではなく、駅舎や防音壁、整備基地などの建造物にソーラーシステムを設置する方針だ。

フランスとイタリアで導入に向け協議

サンウェイズの鉄道向け太陽光発電システムは、スイスのイノベーション促進機関の支援を受けており、開発当初から国外でも注目を集めてきた。

2026年2月には、フランスの国有鉄道SNCFがサンウェイズとの技術提携契約を締結したと発表した。

SNCFのプレスリリースによると、同社はこの提携により、試験運用で得られた貴重なデータや知見に加え、サンウェイズが蓄積した技術評価にもアクセスできるようになる。目的は、レール間太陽光発電システムが保守作業に与える影響の調査だ。

スクデリ氏は「SNCFは重要なパートナーだ。フランス市場には大きな可能性があるだけでなく、スイスでの事業の注目度向上にもつながるためだ」と話す。SNCFは約2万8000 kmの鉄道路線を管理しており外部リンク、フランス有数の電力消費事業者でもある。同社は2030年までに、使用電力の20 %を太陽光で賄う目標を掲げている。

スイスの鉄道保守大手ショイヒツァーは、レール間ソーラーモジュールの設置や撤去に使う専用機器を開発した 
スイスの鉄道保守大手ショイヒツァーは、レール間ソーラーモジュールの設置や撤去に使う専用機器を開発した  Keystone / Jean-Christophe Bott

同氏はまた、イタリアの鉄道インフラを管理する国有企業RFIとも協議を進めていることを明らかにした。「年内にも実証プロジェクトを立ち上げたい」と述べたが、詳細については触れなかった。

同氏は、今は協議を進める好機だと話す。同社が鉄道送電網に大量の太陽光発電電力を供給することを目指し、駅周辺における太陽光発電施設の建設を進めているためだ。

ただし、建設用地の確保には時間と費用がかかる。これに対し同氏は、レール間に直接モジュールを設置する方式であれば、そうしたプロセスを回避できる可能性があると指摘する。

韓国で実証へ、インドネシアも関心

サンウェイズは韓国やインドネシアの企業とも提携を結んでいる。韓国では「韓国鉄道太陽光発電プロジェクト(Korea Railway Solar Power Generation Project)」が2025年9月、忠清北道の五松駅近郊へのソーラーモジュール設置について、政府の承認を取得した外部リンク。2年間の試験運用を行い、その後の全国展開も想定している。

インドネシアでは、太陽光発電事業を手がけるMutitron Automaがこの技術に関心を示している。同社のディレクター、ディーター・ナピトゥプル氏はスイスインフォに対し、「この技術の実用性を評価するには、さらなる実地試験が必要だ」と語った。同氏は2025年、ビュット村で開かれた実証プロジェクト開始の記念式典にも参加している。

普及に向けた技術的課題

鉄道や道路、水路といった線形インフラへの太陽光発電設備の導入を研究する西スイス応用科学芸術大学(HES-SO)のユリアン・プージェ助教は、発電した電力の蓄電や送電が課題だと指摘する。

同氏は日刊紙24 heuresの取材に対し、「500 mを超える区間では現在の技術を適用できないため、専用の電気システム設計が必要になる」と説明した。主な課題は、長距離送電を実現するための高電圧化だという。

この課題に対する解決策の一案は、8月にパリで開かれる国際大電力ネットワーク会議で発表予定の科学論文で示される。この論文は、プージェ助教をはじめとするHES-SOの教授らと、サンウェイズのスクデリ氏による共同研究の成果だ。

一方スクデリ氏は、連邦運輸省交通局(BAV/OFT)が3年間と定めたビュット村での実証プロジェクトについて、期間を短縮して早期に最終承認を得たい考えだ。「当社はレール間太陽光発電システムの安全性を実証してきた。最終承認が早まれば、国外の提携先もより早く次の段階に進める」

この技術が承認されれば、何千kmもの鉄道路線を新たなエネルギー源として活用できる可能性がある。

編集:Marc Leutenegger、独語からの翻訳:本田未喜、校正:宇田薫

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