ヴッフリ元UBS会長が報酬を放棄
スイス最大手のUBS銀行に大損害を招いたマネージャーたちは、これまで数億円に上るボーナスを懐に入れてきた。世論は今、その返却を求めている。週末、その中から1人がこれに応じた。
元UBSグループ役員会会長のペーター・ヴッフリ氏は11月9日、1200万フラン ( 約10億円 ) の報酬を放棄すると発表した。これでUBS銀不振の大きな責任を負うといわれるマルセル・オスペル元会長に対する圧力が一段と高まりそうだ。
連帯意識
ヴッフリ氏は11月9日付けの日曜新聞「NZZ・アム・ゾンターク ( NZZ am Sonntag ) 」の紙上インタビューで、報酬を自発的に放棄し、UBSの幹部や社員に対する連帯意識を表明したいと話した。そして
「企業が非常に困窮した状態にあるというのに、そこを退く上層部の人間に高額の報酬が支払われるということは正当化できることではない」
とその理由を述べた。
UBSからもヴッフリ氏のこの意思表示に対する確認が得られている。ヴッフリ氏はこれまでに支払われたボーナスや給与を返還するのではない。2007年に会長職を退任してあとにも契約で報酬額が定められており、ヴッフリ氏はその中の一部を放棄したということだ。
「元UBS幹部が受け取った報酬に対する世間の怒りはよく理解できる。変革させるべき点は幾つかある。だが、少なくともボーナスを受け取るだけではなく、業績いかんで賞与を減らされるシステムももうずいぶん前に導入されている。例えば、わたしに割り当てられた、まだ換金することのできないUBSの株は、2007年以降およそ5000万フラン ( 約42億円 ) 値下がりした」
とヴッフリ氏。
ヴッフリ氏の報酬の放棄は、報酬問題に新たな展開をもたらすかもしれない。特にUBSのマルセル・オスペル元会長にかかる圧力は増す一方だ。
swissinfo、外電
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