スイスの大企業役員たちは、かかとだけでなく財布もすり減らしているようだ
© KEYSTONE / GAETAN BALLY
スイスの大企業の役員報酬が大きく減少している。2017年の大手20社の中央値は3割近く下がり、金融危機直後の2009年以来の低水準になった。
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国際会計企業プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)が27日発表した役員報酬リポート外部リンクによると、スイス株価指数(SMI)外部リンクに算入される20社の最高経営責任者(CEO)の年収は、中央値が550万フラン(約6億3千万円)と、前年の770万フランから29.5%減った。
SMIに算入される企業は時勢により入れ替わるが、ロシュやノバルティスなどの製薬大手やUBS、クレディ・スイスといった金融機関、ABB、ネスレ、スウオッチグループなどの多国籍企業が常連。中央値は、それ以上稼ぐCEOとそれ以下のCEOの人数が等しいことを指す。
中型株の指数SMIM外部リンクに算入される企業のCEOの年収は330万フランと、前年比7.6%減った。ただ09年比では54%高い水準にある。
一方、小企業では140万フランと3.5%増えた。09年比では12.7%多い。
ドイツよりは控えめ
PwCは今回初めてドイツ企業の役員報酬と比較した。ドイツ株式指数(DAX)算入企業の役員報酬は680万フランと前年より1割超増え、スイス大企業を24%上回った。
ドイツの小企業も160万フランとスイスより多かった。中企業だけはスイスの方が多く、ドイツの中型株MDAX算入企業は300万フランだった。
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