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FTX破綻による仮想通貨危機はスイスに利益をもたらすか?

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FTXの経営破綻の余波が懸念されている Copyright 2022 The Associated Press. All Rights Reserved.

仮想通貨交換業の世界的大手FTXトレーディングの経営破綻によって、仮想通貨業界は今までにない危機に面している。

スイスの企業は、短期的な損失は避けられない現状と、スイスはブロックチェーン業界の国際的ハブとして強みを増し、危機を切り抜けるとの見通しのはざまで、予断を許さない状況に立たされている。

バハマを本社とするFTXグループは最近まで、世界でも特に安定し、革新的な仮想通貨企業と見なされていた。

FTXグループは米国で破産法適用を申請。多数の国で詐欺の疑いで捜査を受けている。

氷山の一角

FTX破綻の余波はスイスにも及ぶに違いないが、実際の被害規模が明らかになるまでには数週間かかるだろう。

スイスの仮想通貨融資プラットフォームCLSTのミヒャエル・グジック最高経営責任者(CEO)は「これはおそらく氷山の一角にすぎない」とswissinfo.chに語る。「仮想通貨市場への信頼は完全に失われてしまった」
スイスの仮想通貨銀行シグナムのマルティン・ブルクヘア最高顧客責任者(CCO)は「スイスの仮想通貨業界に対し、FTXの破綻がどれだけ深刻な影響を与えるかを見積もるのは難しい」と話す。「我々は、その影響は世界全体の仮想通貨業界にとって深刻なものとなり、まだ明るみに出ていない、重大で連鎖的な影響を更に及ぼすものと予想している」

ビットコイン・スイス、デジタル・ファイナンス(Digital Finance)、21シェアーズ(21Shares)、また仮想通貨銀行のSEBAやシグナムといった複数のスイスの仮想通貨企業が、崩壊したFTXと一緒に転落する危険はないとするプレスリリースを発表した。

ビットコイン・スイスは、同社資金の「最低限額」が、凍結されたFTXの取引所に預けられたままになっているものの、財務健全性に実質的な影響を与えない程度のものだとする。FTXグループ傘下のアラメダ・リサーチはSEBAに投資していたが、SEBAによるとその持株比率は1%未満で、議決権も付与されていなかった。

仮想通貨関連ファンドを運用するクリプト・コンサルティング(Crypto Consulting)は、投資家の資産の一部がFTXに預けられたままになっているが、それらの資産がどのように、またいつ頃回収できるかを示す明確な指標はないとコメントした。

FTXグループは今年、仮想通貨を専門とするスイスの法律事務所の買収を皮切りに、スイスでの事業を築き始めたばかりだった。スイスに欧州中東事業の本部を置く狙いがあった。

同部門担当の幹部たちは現在、自身のソーシャルメディアのプロフィールをFTXから距離を取った形に書き換えており、コメントを求めるswissinfo.chの電話にも応じなかった。

しかし、自らを「クリプト(暗号)国家」として世界にアピールしているスイスは、FTXの崩壊から長期的な利益を得ることを期待する。

キャスパー協会のラルフ・クブリ取締役は、swissinfo.chの取材に「オフショアセンターはその魅力を失いつつある」と指摘する。「自身の評判を気にする機関投資家は、オフショアセンターに設立された企業とは取引をしたがらないだろう」

シグナムのブルクヘア氏は、FTXの破産は「スイスにとっては、自らを『先行きが不透明な時代において、投資家にとって安全な避難場所』と位置付けるための更なるチャンスを与える」と推察する。

スイスは既に、ブロックチェーン金融に適応するために会社法・金融法を改正済みだ。また、スイスの規制当局・連邦金融市場監督機構(FINMA)も、仮想通貨業界と他業界との細かな差異にはすっかり慣れている。

FTXとその創業者サム・バンクマンフリード氏は、最近まで、仮想通貨業界の中でも特に注目を集める存在と見なされていた。

世界第2位の仮想通貨取引所や投資部門アラメダ・リサーチを含む、FTXグループ(本社:バハマ)の時価総額は320億ドル(約4兆4900億円)だった。

2022年11月2日、メディア報道により、同グループの財務に深刻かつ隠された欠陥があると判明。数日後、ライバルの仮想通貨交換業者バイナンス・ホールディングスが備蓄していたFTXトークン(FTT)を売却し、その価格が暴落した。同トークンは、アラメダ・リサーチの融資を支え、仮想通貨取引所FTXの取引を補助する役割を担っていた。

FTXが騒動の対処に苦戦する中、バイナンスはFTXの買収を提案したが、その後撤回した。

11月11日、FTXは米国で破産法適用を申請。多数の国で同社の活動に対する捜査が始まった。

FTXはハッキング被害を受け、多額の資産が別口座に移されたとみられる。

FTXの破産手続きのために任命された破産管財人は、同社の状況を「企業統治の完全な失敗であり、信頼できる財務情報がすっかり欠如している」と表現する。

からの翻訳:アイヒャー農頭美穂

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