
レダラッハ創業の宗教学校での児童虐待、調査は「必要ない」

スイスのチョコレートメーカー、レダラッハの元社長ユルク・レダラッハ氏が共同創立した宗教学校での児童虐待疑惑について、ザンクト・ガレン州教育局はこれ以上の調査を行わないことを決めた。その代わりに被害者専用窓口を設ける。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)が9月21日、同州カルトブルンにある福音主義の宗教学校「ドミノ・セルヴィテ」で体罰が行われていたというドキュメンタリーを放送。ザンクト・ガレン州教育局のシュテファン・ケリカー局長はスイスの通信社Keystone-SDAに対し、放送後、さらに4人の被害者が名乗り出たと語った。

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ドキュメンタリーの中で、元生徒たちはレダラッハ氏本人にもベルトで殴られ、恐怖の中で生活していたと語っている。学校は「クリスチャンスクール・リントゥ」に改名している。
ユルク・レダラッハ氏は9月、Keystone-SDAに対し、子供や若者を殴ったり虐待したりしたことは一度もないと回答した。
ザンクト・ガレン州政府は11日、当時の学校検査部局は公立学校でのこうした疑わしい事例は適切に調査していたとの見解を発表した。
当時、調査が成功裏に終わらなかったことは説明のつくものであり、新たな調査は必要なかったとした。ケリカー局長は「州による追加措置が必要となるような新たな発見もなかった」と付け加えた。
ケリカー氏は、25年前の宗教的なコミュニティーの中では生徒の親と学校職員がお互いをかばい合っていたため、検査部局にとって調査は困難だったと説明。教育局は被害者とされる人たちをサポートする専用窓口を設けるとした。
窓口の目的は、元生徒同士が接触できる機会を設けること、また希望者には専門家のカウンセリングやサポートセンターを紹介する。教育局は学校法の全面改正の枠組みの中で、公立学校の監督範囲をさらに拡大することも検討すると発表した。
英語からの翻訳:宇田薫
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