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デュレンマット生誕100周年「女性に男性のような思考は必要ない」③

白ワインの入ったグラスを手にするフリードリヒ・デュレンマット。1990年撮影 Keystone / Str

誰もがうらやむ名声を手にしたフリードリヒ・デュレンマット。しかし著名女優との結婚、その後の女性関係は波乱に満ちたものとなった。

このコンテンツは 2021/01/07 06:00
Sven Michaelsen, Tages Anzeiger

フリードリヒ・デュレンマットの生誕100周年を記念し、DAS MAGAZIN誌に掲載された同インタビュー・モンタージュ記事の最終話です。第1話はこちら、第2話はこちらです。

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Das Magazin:あなたは1946年、17歳で「スイス最年少の映画スター」としてセンセーションを巻き起こした女優、ロティー・ガイスラーと結婚しましたが、その後、彼女はあなたのためにキャリアを断念し、アルコールや薬物依存症だけでなくうつ病にも悩まされました。結婚していた36年間、あなたは不倫をしましたか?

デュレンマット:もちろん。ただし、ごくまれに。そうでなければ自分の神経がズタズタになってしまう。私は夫婦問題があるとひどく落ち込んでしまい、長くは耐えられない。浮気をしたらいつもすぐに妻に話しました。隠せなかったのです。そういった時には、いわゆるけんかはありました。

Das Magazin:けんか?あなたが若手女優との不倫を告白した時、彼女はカミソリの刃で手首を切りましたよ。あなたの娘、ルートはその現場を目撃し、何年も悪夢に悩まされました。

デュレンマット:恐ろしいことですが、私は自分自身を欲しい物でいっぱいの巨大な幼児として見ています。自分の中にはたくさんの幼児性や幼稚さがあり、性についても同じ。人間には相反する2つの努力の方向性があり、一方はどんな美女とも一緒に寝たいと思うように制限を嫌ってバイタリティへ向かおうとする努力、もう一方は生産的でいるために自制しようとする努力です。

Das Magazin:あなたなら結婚を発明しますか?

デュレンマット:すると思います。結婚とは秩序であり、人間には秩序が必要です。私は妻のいない生活など想像できない。

Das Magazin:良い結婚によって解決される問題とは?

デュレンマット:問題のある人間は結婚するべきでない。

Das Magazin:女性と哲学について語らいますか?

デュレンマット:哲学はどちらかと言えば男性の領域です。哲学者に女性はほとんどいない。女性は考え方がまったく違います。女性に男性のような思考は必要ない。作品を生み出すための芸術の必要性もはるかに少ない。女性は生物学的には「土壌」であり、肉体との結びつきがより強い。男は結局、ある意味余計なものであり、途方もない自然の浪費です。男はそうした欠陥を精神的労働で補おうとしているのです。

Das Magazin:あなたの妻は1983年、63歳で亡くなりました。当時、あなたの生きる意思は崩れようとしていました。

デュレンマット:大いなる無意味さが私を襲いました。それ以前の私は私でしたが、それからの私は私を演じました。可能な限り。人生は馬鹿げたものになりました。私は脱線した機関車のように無意味に蒸気を出し続けていたのです。

Das Magazin:8カ月後、あなたのうつ状態は多幸感に変わりました。マクシミリアン・シェルがその理由を次のように説明しています。「しばらくして私は、フリッツが涙の谷を乗り越える手助けをしようと決めた。そして徐々に、彼が魅力を感じそうな、一定の年齢以上で独身の女性の知人たちを紹介し始めた。その中には、女優で映画監督、ジャーナリストとして評判のシャルロッテ・ケールも含まれていた」

デュレンマット:シャルロッテは神と俗世を知っている。私は神しか知らない。それもほんの少しだけ。

Das Magazin:奥さんの死から16カ月後の翌年5月、ケールとあなたは結婚し、タブロイド紙の見出しを飾りました。片や傲慢で癇癪持ち、結婚式にビキニ姿でポーズを取り、病人の世話は自分の役目ではない、使用人がやることだと言い放つ、華やかな世界に生きるドイツ人美女。片や酒宴に溺れがちでよれよれのシャツを好んで着る、のっそりと控え目な肥満体のスイスの国民的作家。なぜあれほどすぐに再婚したのですか?

デュレンマット:愛があったからです。そして1人でいるのが耐えられないから。一人暮らしは冒険ではない。人間の冒険で、結婚は今もその最たるもの。失敗するにも2人の方が1人よりもまだ名誉なことです。一匹狼の人間は、エコーも響かない真空の中で1人喋り続けるという生活を送ります。人の運命を決めるのは一緒に暮らせるか、暮らせないか、です。

Das Magazin:最初の妻を思う時、罪悪感を覚えますか?

デュレンマット:ロティーのことは一生忘れません。私が残りの人生を迷える羊のようにさまよい、草地をたった1匹でよろめきながら孤独のあまり身を持ち崩すことを彼女が望んでいるとは思いません。私には妻が必要です。

Das Magazin:結婚が時代遅れの形式ではないかと考えたことはありますか?

デュレンマット:同居なら誰でもできます。結婚は国家を建国するように精巧に作り上げるもの。私にとって結婚は創造的行為なのです。何かを作り出し、それを維持しようとする。同居なら裏口もある。私は嫉妬深い人間だが、ただの恋人なら嫉妬する権利があるのかも怪しい。オセロもやはり結婚していました。結婚は嫉妬を正当化します。

Das Magazin:あなたはケールに17回プロポーズしました。承諾の返事をどう受け止めましたか?

デュレンマット:私は君を征服した。チンギス・ハーン。

Das Magazin:結婚して2年後、あなたはケールにマッターホルンとアイガー北壁を2人で巡るヘリコプター飛行をプレゼントしました。この手のアウトドアの冒険はあなたらしくないのでは?

デュレンマット:若い女性をパートナーに持つ老人の悲劇です。相手を自分の流れに無理矢理引っ張り込むか、こちらが若い方に飛び込むか。しかしその場合、並んでは泳げない。

Das Magazin:死後の生命を信じますか?

デュレンマット:何もないかもしれない。もしかしたら海の波のような意識はあるかもしれない。死に向き合うことは文化の根源です。死への恐怖から人は死後の世界を発明し、神々と神を発明しました。全ての文化は死に抵抗するために構築されています。しかし、我々は死を必要なものとして理解すべきです。死がなければ進化はないのだから。もし私たちが不死身なら、地表には分裂し続ける単細胞生物の塊があるだけです。

Das Magazin:あなたは何を信じていますか?

デュレンマット:知識の限界と想像力の力です。最も素晴らしいのは人間の脳です。その脳から生まれた神よりも素晴らしい。

Das Magazin:そして、いつか神の前に立つことになったら?

デュレンマット:もし神がいるとしたら、その神は無限のユーモアのセンスを持っているに違いないでしょう。嬉々として世界を吹っ飛ばし、ブリキの兵隊で遊ぶ子供のように、ただこのスペクタクルを楽しんでいる。そして、クリエイティブな人間も無意識のうちに同じことをしているのです。

※著者のスヴェン・ミカエルセンはフリーランスジャーナリスト。

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(独語からの翻訳・フュレマン直美)

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