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魅力は無限大!ニキ・ド・サンファルの大回顧展開催中

ニキ・ド・サンファルの「守護天使」
チューリヒへようこそ!ニキ・ド・サンファルの「守護天使」が、チューリヒ中央駅を行き交う通勤客を見守る Keystone/eddy Risch

チューリヒ美術館では今月15日までニキ・ド・サンファルの作品をたたえる回顧展を開催中だ。包括的な内容ではあるものの、サンファルの芸術が持つ冒険心や公共の場にふさわしいスケールは、展覧会という限られたスペースでは存分に伝えきれない。

米仏の両国籍を持つ芸術家ニキ・ド・サンファル(1930〜2002年)のスピリットは、今もチューリヒ中央駅を通行する旅行者、観光客、通勤客の上に生き生きとしたカラフルな影を投じる。駅の中央ホールでは、天井からつり下げられた高さ11メートルの豊満な守護天使の彫刻が彼らを出迎える。鮮やかな色彩と形状は、サンファル作品のトレードマークだ。同作品は「守護天使」は「ナナ」シリーズの1作で、サンファルにとって大切なシンボルだった「節制」のタロットカードに描かれる、水を一方から一方に注ぎ流す1組の杯を手に持つ。カードが象徴するのは、バランス、忍耐、節度だ。

チューリヒ中央駅の「守護天使」は、1997年にスイス連邦鉄道(SBB/CFF)の150周年を記念して、警備会社セキュリタスから贈呈された。以来、同作品はチューリヒの風景に陽気な雰囲気を加えるモニュメントとして常設されている。この「ナナ」シリーズは、時をさかのぼって60年代、喜びに満ち解放された女性の象徴として、また到来しつつあった女性優位の時代の前触れとして構想された。

展覧会は、サンファルの芸術の軌跡を年代順に紹介する構成になっている。だが、いかに入念に企画された展覧会でも、サンファルの作品が持つスケールは四辺を壁に囲まれた美術館には収まりきらない。50年を超えるキャリアを経てサンファルが死後に遺した作品は、公共空間に設置され、そこに息づき、絶えずそして永久に人々と相互作用を生みだすよう意図されたものだった。

展覧会の来場者が垣間見ることができるのは、前衛芸術家・サンファルと、その作品の裏に隠れた暴力的な感情のほんの一部だ。その多くは、ブルジョワという窮屈な環境から自分を解放し、性的虐待から癒そうとする探求に突き動かされたものだった。

カンバスにライフルを向けるニキ
「背が高い男も、低い男も、太った男も、痩せた男も、父も、兄弟も、すべての男を銃で撃った。楽しくて、最高の気分にしてくれたから――絵画が血を流し、死んでいくのを見るのが好きだった。私は芸術のテロリストになった。絵を描く行為は犯罪。私は絵画を殺した」 Bw Only

サンファルの作品は、キネティック・アート(動く芸術作品)で知られるスイス人芸術家でサンファルの長年の恋人だったジャン・ティンゲリーとのダイナミックなコラボレーションでもある。同展覧会でも2人の芸術上の関係が詳しく紹介されている。

2人の共作に関する現時点で最も包括的なドキュメンタリー「ニキ・ド・サンファル 美しい獣」(1995年)を制作したドイツの映画監督ペーター・シャモニ氏の言葉を借りれば、サンファルとティンゲリーはアート界の「ボニーとクライド」だった。シャモニ氏は2011年に亡くなったが、06年に独語圏のスイス公共放送(SRF)のインタビューで、このカップルの長期にわたるコラボレーションについて語っている。

動画の全編は こちら外部リンク(英語)

編集:Virginie Mangin、英語からの翻訳:アイヒャー農頭美穂

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