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W杯、トランプ人事、Meta…スイスのメディアが伝えた米国のニュース

サッカーW杯は11日に開幕する。スイスメディアはどう報じたのか?
北中米開催のサッカーW杯は11日に開幕する。スイスメディアはどう報じたのか? keystone

スイスの主要メディアが6月4日~6月10日に報じた米国関連ニュースの中から①W杯②トランプ人事③Meta、の3件を要約して紹介します。

サッカーに興味がないなら、今後5週間は別の予定を組んでおくことをおすすめする。北米で開催される2026年ワールドカップ(W杯)の話題を避けるのは難しいからだ。ピッチ内外での出来事が、多くのニュースの見出しを飾ることになるだろう。ここでは、スイスメディアがこの一大イベントをどう報じているかを見ていく。

2025年9月2日、米ホワイトハウスで、記者の取材に答える連邦住宅金融庁(FHFA)のビル・パルテ長官
2025年9月2日、米ホワイトハウスで、記者の取材に答える連邦住宅金融庁(FHFA)のビル・パルテ長官 Copyright 2025 The Associated Press. All Rights Reserved.

独語圏日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、ドナルド・トランプ米大統領が実業家のビル・パルテ氏を国家情報長官代行に任命した件を取り上げ、「悪名高いルール破りに対しては、新しいルールも役に立たない」と指摘した。

9日付の分析記事で「ビル・パルテはこれまでの人生で、安全保障問題とは一切関わりがなかった。一切だ」と評した。「彼は不動産管理業者だった。それが今、米国の諜報機関の長になろうとしている。なぜなのか?その答えを知っているのはドナルド・トランプだけだ」

その理由は、実のところトランプ氏がトップポストに「代行長官」を据えることを好むからだ。例えば、内国歳入庁(IRS)は、トランプ氏の2期目が始まって以来、6人の代行長官が歴任した。トランプ氏はこの体制を好んでいる。2019年の1期目に批判を受けた際、代行により「より柔軟性」が得られる、と説明している。

「トランプがここで意味するのは、上院が承認しないかもしれない人物を任命できる能力だ。国益ではなく、自身の利益に奉仕する人物を」とターゲス・アンツァイガーは指摘する。「パルテ氏の場合、彼が情報機関を利用してトランプの敵を迫害するのではないかという懸念がある」

同紙によると、現在、新たな規則案が浮上している。「保守系シンクタンクのカト研究所は、代行長官は自身が率いる機関の出身者でなければならないと提案している。これにより、パルテ氏がその職に就くことは防げるかもしれないが、ICE(移民関税執行局)のデビッド・ベンチュレラ代行長官は対象外となる。彼には関連する経験があるからだ」

問題は、いかなる憲法や法律も、大統領が規則を迂回したり、乱用したり、無視したりすることを防ぐことはできないという点にある。その規則がいかに精巧なものであってもだ。「規則は、それを遵守する意思のある当事者に対してのみ機能する。少なくとも原則的には、だ。ドナルド・トランプにはその意思がない。[…] これは、従来の問題解決手法が機能しないことを意味する」と同紙は記した。

「大統領を抑制できる唯一のものは、自陣営内からの反対だ」と同紙は結論づける。「数人の共和党議員がパルテ氏について控えめな批判を表明した際、ホワイトハウスは『トランプ氏への強力な支持』と題した声明で応酬した。そこには、この人事について肯定的な発言をした共和党議員の言葉をすべて引用していた。これもまた、トランプ氏がルールを破った際に、議会の共和党議員が多数で彼に従うことを拒まない限り、新しいルールについて議論しても意味がないことを示している。それらは無意味なのだ」

兵士
2026年6月9日、メキシコ・グアダラハラで、FIFAワールドカップの試合が開催されるスタジアム外で警備にあたる兵士 Copyright 2026 The Associated Press. All Rights Reserved

2026年サッカーワールドカップ(W杯)は11日に開幕するが、スイスのメディアがどれほど盛り上がっているのかは測りづらい。

「トランプ政権の入国手続きの混乱がW杯の盛り上がりを冷ます」――オンラインメディア「ブリック」はそんな見出しで、104試合のうち78試合を開催する米国(カナダとメキシコはそれぞれ13試合を開催)への渡航において、多くの選手やファンが直面した困難を報じた。

ブリックは、入国許可が直前で「不許可」された多くのスコットランド人ファン、ビザを取得できなかったヨルダン人ファン、米国到着時に数時間に及ぶ尋問を受けたイラク人選手とセネガル人選手、そしてマイアミ到着後に退去を命じられたソマリア人審判オマル・アルタン氏などのケースを報じた。スイスのスターストライカー、ブレール・エンボロも、ESTA(米国の電子渡航認証システム)申請が渡航直前で再審査となり、チームメイトより2日遅れて米国に入国した。

仏語圏日刊紙ル・タンは、2026年のワールドカップは「この大会に対する私たちの認識を大きく揺るがし、熱狂よりもむしろ懸念の方が強まっている」と皮肉った。同大会ではチケット価格がほぼ完全に自由化され、転売も認められている。さらに、決勝戦のハーフタイムには大規模なコンサートが開催されるほか、全104試合において前後半の途中で3分間の水分補給休憩が設けられる。「これは広告収入を増やすためだ」

「(FIFA会長の)ジャンニ・インファンティーノにとって不可能なことは何もない。彼は自らを国家元首と見なしているが、実際には多国籍企業のCEOのように振る舞い、ひたすら収益拡大に奔走している」とル・タンは指摘する。「開幕戦を待つ中、サッカー界がそこから何を得られるのか疑問に思う」

ただ、独語圏日刊紙ノイエ・ツュリヒャー・ツァイトゥング(NZZ)の論調は若干肯定的だ。9日付の記事で「大会が始まれば目を背けるつもりだという人もいる。しかし、その方法で意味のあるメッセージを送ろうとする者は、失敗に終わるだろう」と記した。

「なぜなら、メキシコシティで開幕戦の笛が鳴った瞬間から[…])、この巨大イベントに不快な影を落とす可能性のある事柄の多くは、最初のタッチとともに背景へと消え去るからだ。ボールが転がり出せば、いかなる大統領もそれをゴールへ導くことはできず、いかなる大金もその方向を変えることはできず、いかなる軍事介入もボールの軌道を乱すことはできない。ボールは選手たちのものだ。そして、ひとたび試合が始まれば、全世界が魅了されてそれを見守るだろう」

マーク・ザッカーバーグ氏
2024年9月に開催されたMeta Connectカンファレンスで、マーク・ザッカーバーグ氏がOrion ARグラスを着用した Copyright 2024 The Associated Press. All Rights Reserved

「マーク・ザッカーバーグとそのディストピア的な計画から目を離すな」と警告したのはル・タンだ。同紙は、Meta社がスマートグラスに組み込む顔認識機能の開発を進めていると報じ、公共の場で個人が特定される懸念が再燃していると伝えた。

「マーク・ザッカーバーグは顔認識機能を廃止すると約束した」とル・タンは続け、2021年にMetaがFacebook上の自動IDシステムの終了と、約10億件の顔データ削除を発表したことを振り返った。

しかし、米誌「Wired」の調査によると、Metaは同社のMeta AIアプリに、Ray-BanおよびOakleyのスマートグラス向け顔認識機能と連動するコードを組み込んでいた。ル・タンによると、社内で「ネームタグ(NameTag)」と呼ばれるこの技術はまだ有効化されていないが、すでに5000万回以上ダウンロードされているアプリに組み込まれている。「Metaは単なる『検討』だと説明しているが、懸念は高まっている」と同紙は報じた。

Wiredが明らかにしたこのシステムの仕組みについて、ル・タンは「くらくらする」と皮肉る。メガネが顔を撮影すると、アプリがそれを生体認証用の指紋データに変換し、スマートフォンに保存されたデータと照合する。一致した場合、その「人物」が認識されたことを示す通知が表示される。「Metaのメガネはもはや単に世界を撮影するだけのものではなくなる。そこを歩く人々の名前を特定できるようになるのだ」と同紙は報じた。

ル・タンは、誰もが利用できる顔認識技術が、すぐにでも追跡ツールになりかねないと警告する。「Metaのメガネを使えば、そのリスクはさらに高まる。検索エンジンに写真をアップロードする必要すらない。ただ相手を見るだけで済む」

次回「スイスのメディアが報じた米国のニュース」日本語版は6月18日(木)配信予定です。

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