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救助犬先進国スイスに学ぶ 地震大国日本で、災害救助犬が十分に活躍できない不思議

REDOGベルン訓練施設 

スイス救助犬協会レドッグのベルン野外訓練場を視察するNPO法人災害救助犬ネットワークのメンバー4人。チューリヒ空港に到着した3時間後には、オレンジ色のレスキュースーツに着替え、ベルン市内にある野外訓練施設での視察を始めていた。(2019年9月9日撮影)

(swissinfo.ch)

スイスのボランティア組織・救助犬協会レドッグ(REDOG)と日本のNPO法人災害救助犬ネットワーク(DRDN)は7月、日本国内の救助犬ネットワークの整備促進を図る協定を結んだ。DRDNはこの協定をきっかけに、地震大国でありながらも災害救助犬が十分に活躍できていない日本の現状打破を目指す。世界屈指の救助犬先進国スイスのレドッグは、このようなノウハウ伝授を通して国際的プレゼンスを維持する。

日本の救助犬団体とスイスの救助犬団体が協定を結ぶのはこれが初めて。救助犬先進国スイスのレドッグ他のサイトへは、約50年にわたる国外での災害救助活動で得たノウハウと専門知識をDRDN他のサイトへに提供し、必要に応じて日本に人材を派遣する。

スイスのレドッグは1971年設立。全国に12支部があり、現在ボランティア750人と救助犬580頭で構成している。1981年からは国外での大規模地震災害の救援活動に特化した官民組織「スイスレスキューチェーン他のサイトへ」のメンバーとして、24時間体制で緊急事態に備える。連邦政府の要請に応じ最大16匹の救助犬をすぐに派遣できる体制を維持している。

日本のDRDNは、民民・官民連携の救助犬ネットワーク構築を主な目的として2007年に発足した全国組織。26都道府県で活動に取り組む。現時点で実働に耐える救助犬は15頭程度といい、DRDN理事長の津田光さんは「能力も実践イメージとはズレがあり、24時間即応できる体制もできていない」と話す。

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日本が抱える問題

災害救助犬は優れた嗅覚で生存者や行方不明者を見つけるが、初動段階で現場にいち早く派遣できなければ、力を十分に発揮できない。迅速な派遣には民民・官民の連携とネットワーク構築が欠かせないが、日本では救助犬の登場から27年経った今でも整備されていない。

日本には今、41の救助犬組織があるが、DRDN理事長の津田さんは、「スポーツドッグのような感覚で、趣味の延長線上として訓練を行っている人も多い」こと、また訓練は平日行われることも多く、ボランティアの多くが仕事などを理由に参加できないなどを理由に挙げ、現場で捜索に当たるのに必要な組織間の共同訓練が全くできていないという。

津田さんはまた、災害対策本部が置かれる自治体の救助犬に対する認知の低さにも触れ、「これまでの災害現場で、救助犬が能力を存分に発揮できるような配置がされてこなかった」と悔しさをにじませる。日本内閣府も2017年の広報誌「ぼうさい」秋号他のサイトへで「災害初動段階で災害救助犬という有効な一種の資機材を活用出来ていない状況にある」と改善の必要性を挙げているが、目立った対策は取られていない。

救助犬の要請や配置をする上で欠かせない認定基準も統一されないままだ。津田さんは統一基準がないと「作業の仕方、犬、ハンドラーの能力、日常の訓練なども(各団体で)全く異なる。(組織同士の連携もないため)互いを信頼して作業できない」と話す。

津田さんは民民、官民の連携がなかなか進まない日本の事情をこう分析する。「日本の救助犬の歴史は人命救助とは関係なく、救助犬訓練を純粋に楽しむ人、反対にそれをビジネスにする人(訓練士)の活動によって発展してきた。だからこそ創生期の普及は早かったが、認知が進むと(お互いの見解に)矛盾が出てきた」

スイスが日本に伝えるノウハウ

スイスのレドッグは、1991年のコスタリカ地震をはじめ、2011年の東日本大震災など国外の大規模災害で活躍してきた豊富な経験を持つ。協定にはノウハウ提供のほか、日本の視察団の受け入れも盛り込まれた。レドッグにとっては、このような協定を結び日本のネットワーク構築を支援することで、人命救助に貢献できる。また「災害発生初期は、国外の救助隊はまだ現地入りできないため、このような取り組みはとても理にかなっている」と話す。

協定に先立ち、レドッグとDRDNが協働したのが「群馬県モデル」と呼ばれる官民連携の仕組みだ。レドッグとDRDNは今年4月、群馬県庁を表敬訪問。県の担当部署や地元消防本部に救助犬への理解を呼び掛けた。

さらに協定の一環で理事3人を含むDRDNのメンバー4人は今月9日~15日、スイス入りし、レドッグのベルン救助犬訓練所、ジュネーブの救助犬の認定試験(MRT)、軍施設、リサイクルセンターなどの訓練施設を視察した。

ベルン市内とジュネーブにある野外訓練施設の視察

視察メンバーの古川祥子さんはベルンの野外訓練場で「どのレベルの犬の訓練にも合わせられる作りになっている。難しいかもしれないが、このような訓練施設を日本で実現したい」と話す。また、八木澤一郎さんは「スイスは救助犬先進国。発展途上の日本が学ぶべきところはたくさんある」と視察への意気込みを語った。

ジュネーブでは工場やリサイクルセンターを借りて訓練が行われた。DRDNは11日「工場は廃工場ではなく現役の工場で、救助犬の訓練は営業時間後に始まる。ボランティアの方々も協力的だが、災害救助犬に直接関わる人ではない、住民らが当然のように協力してくれるところは日本にも広まって欲しい」とコメント他のサイトへした。

レドッグの海外支援隊長で、2011年の東日本大震災では被災地で救助活動にあたったリンダ・ホルニスベルガーさんは、日本の現状についてこう話す。「考え方はそれぞれあるが、私たちの真の使命は命を救うことにある」

▲2011年、日本東北地方での活動を終えて帰国したリンダ・ホルニスベルガーさんはスイスインフォの取材にこう答えた。「人は絶望しているとき、海外から駆けつけてくれると1人ではないと感じられる。それが大切だ」。映像は2011年制作。日本語字幕付き(Raffaella Rossello/swissinfo.ch)


阪神淡路大震災がきっかけ

災害救助犬は今から約25年前、1995年の阪神淡路大震災でスイス救助犬チームの到着が遅れたと報じられたことをきっかけに、日本で広まった。当時の日本は救助犬の認知度が低く、日本側の受け入れ体制が整わなかったことなどが遅れた理由だった。

地震大国である日本にとって災害救助犬は、がれきの下など、足場の悪い場所や人がアクセスできない場所で生き埋めになった人たちを探すのに最大の効果を発揮する。日本ではその後、救助犬団体が次々と設立され、今では40団体以上を数える。

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レスキュードッグ スイスの災害救助犬、国外派遣は減少 協力体制構築に尽力

長引く災害、膨れ上がるニーズ、より多くの支援団体による関与― 近年、人道支援をめぐる環境は劇的に変化した。スイスの人道支援はこのような変化に対応していかなければならない。人道支援のシンボル的存在、災害救助犬を訓練するボランティア組織の生存者探索部門長に話を聞いた。 ...

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