スイス連邦内閣は28日、男女同一賃金やキャリアと家庭の両立促進、女性への暴力根絶を目指す初の国家戦略「男女共同参画戦略2030外部リンク」を閣議決定した。
このコンテンツが公開されたのは、
同戦略は職場での男女平等推進、ワークライフバランスの改善、暴力防止、反差別の4つの柱から成り、2030年までに真のジェンダー平等を目指す。
1981年、連邦憲法第8条に盛り込まれた平等権は「男女は平等の権利を有する。法の下で、法や現実において、とりわけ家族、教育、職場における平等を保障する。男女は同じ価値の仕事に対し、同じ賃金を受け取る権利がある」と規定する。関連法は96年に施行された。
しかし、世界経済フォーラム(WEF)や経済協力開発機構(OECD)などの統計や国際ランキングを見ると、スイスはまだジェンダー平等を達成したとは言えない。連邦内閣は「私たちはこれを改善できる。また改善しなければならない」としている。
政府は2023年までに実施する具体的な措置を全14ページの報告書にまとめた。これには優れた賃金平等分析ツールを開発・発信するほか、州と協力し実際のワークライフバランス改善に国家戦略を適用させることなどが含まれる。家族、特にひとり親世帯の貧困撲滅も目指す。
暴力防止では、政府は11年に欧州評議会で採択された「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止に関する欧州評議会条約」(イスタンブール条約)に、アクションプランを提示する。女性への暴力、家庭内暴力の統計調査や調査結果の活用方法を改善し、被害者の保護を強化する。
連邦政府は州や地方自治体と協働して戦略を進め、NGOを中心とした市民社会、経済界、研究界とも緊密な対話を図る。25年末に戦略の中間レビューを実施する。
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
おすすめの記事
スイスのサマータイム廃止はいつ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで夏時間(サマータイム)が始まった。3月31日午前2時にすべての時計の針が1時間ジャンプし、午前3時を指した。だが夏時間制はとうの昔に廃止されるはずではなかったのか?
もっと読む スイスのサマータイム廃止はいつ?
続きを読む
おすすめの記事
女性議員比率17位のスイス 目標はまだ道半ば
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで女性参政権が導入されたのは今からちょうど50年前。現在は連邦議会の女性議員の割合が過去最高に達し、世界の女性国会議員比率ランキングで191カ国中17位だ。一見順調に見えるが、地方レベルでは改善の歩みが非常に遅い。
もっと読む 女性議員比率17位のスイス 目標はまだ道半ば
おすすめの記事
「同意なき性交」は犯罪 世界の流れにスイスは?
このコンテンツが公開されたのは、
暴力を伴わなくとも、相手からの同意がない性行為を「強制性交」と定める国が増えている。こうした流れを受け、スイスでも刑法改定の機運が高まっている。
もっと読む 「同意なき性交」は犯罪 世界の流れにスイスは?
おすすめの記事
女性管理職、スイスでは依然道険しく
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで働く女性の数は、昇進のチャンスが最も多い30代になると急激に減少する。伝統的な家庭観と「管理職はフルタイム勤務」という慣例が、依然として女性のキャリアを阻んでいる現状が最新の調査で分かった。
もっと読む 女性管理職、スイスでは依然道険しく
おすすめの記事
女性ストライキの長い歴史 闘いはまだ終わっていない
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで初めて女性ストライキが起こったのは、1991年6月14日。何十万人もの女性がこの運動に参加した。あれから30年近く経った今年6月14日、再び大規模な女性ストライキがスイスで予定されている。
もっと読む 女性ストライキの長い歴史 闘いはまだ終わっていない
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。