
スイス、核廃棄物最終処分場に北部レーゲルン地方を選出

連邦エネルギー省エネルギー局(BFE/OFEN)は放射性廃棄物を深層地層に埋蔵して処分する施設の建設候補地として、スイス北部レーゲルン地方を提案した。アールガウ州とチューリヒ州にまたがり、ドイツ国境からもそう遠くない場所だ。
BFE広報担当者マリアンネ・ズュンド氏によると、核廃棄物処分場はアールガウ州ヴューレンリンゲンにある既存の中間貯蔵施設の近郊に建設予定。スイスの通信社Keystone-SDAが10日報じた。
スイスではこれまで、放射性廃棄物を中間貯蔵施設や原子力発電所に保管してきた。放射性廃棄物管理協同組合ナグラ(NAGRA外部リンク)は、放射性廃棄物の処分には、地下深部における地層処分場が最も安全な解決策であると世界中の専門家も認めていると述べた。
レーゲルン地域の住民は10日に同決定に関する通知を受理。地質調査と処分場の建設を担当するナグラは、12日に詳細を発表する。
最終決定にはなお曲折も
スイスにおける放射性廃棄物最終処分場の選定は、既に約半世紀前から続いている。候補地として、スイス北部のレーゲルン地方、チューリヒ州ヴァインラント地方、アールガウ州ジュラ東部の3地域が挙がっていた。
処理場では、低・中・高レベルの核廃棄物を受け入れる。深い地層内に埋め、放射性がなくなるまで何十年、何百年、何万年と貯蔵される。
だがこの決定は、長い認可手続きのほんの始まりに過ぎない。ナグラは2024年末に連邦政府当局に申請書を提出するが、政府が最終的な決定を下すのは29年になる見込み。申請は国会の承認を必要とする上、議会決定に異を唱えるレファレンダムが提起され国民投票にかけられる可能性も高い。
そのため、45年より前に処分場の建設が開始するとは考えにくい。ナグラの計画によると、初回の廃棄物処分は50年頃を予定。その後50年間は「観察段階」に入り、処分場は2115年に閉鎖される予定だ。
英語からの翻訳:シュミット一恵

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