既に高額なチューリヒの家賃はさらに上昇する可能性が出ている
© Keystone / Christian Beutler
スイスで家賃設定の参考指標として国が発表する参照金利が史上初めて上昇に転じた。これにより、家主は賃料を3%引き上げることができる。インフレを抑えるための利上げが、さらなるインフレを招きかねないとの指摘が出ている。
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連邦経済省住宅局は1日、参照金利がこれまでの1.25%から1.5%に上昇したと発表外部リンクした。借家法上、家主は0.25%の上昇を根拠に家賃を3%引き上げる権利を持つ。参照金利は2日から適用される。
スイスでは2008年以降、参照金利を四半期ごとに算出している。フラン建ての国内住宅ローン金利の加重平均を基に、0.25%単位で設定される。08年の3.5%から低下し続け、2020年3月以降は1.25%に張り付いていた。
参照金利が上昇に転じた背景は、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がインフレ封じ込めのために政策金利を引き上げたことがある。だが経済学者からは、家賃が値上げされればそれ自体がインフレの火種になるとの警告が出ている。
エコノミストらは、年内に少なくとももう1回、参照金利が引き上げられると予測している。
家賃は右肩上がりだが、不動産価格は下落の兆しが出ている。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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