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真珠湾、筋肉女子、東京生活…スイスのメディアが報じた日本のニュース

高市早苗首相、ドナルド・トランプ大統領を取り囲む報道陣
日米首脳会談では、報道陣からの質問がドナルド・トランプ大統領の真珠湾発言を引き出した EPA/Aaron Schwartz /POOL

スイスの主要報道機関が3月18日~24日に伝えた日本関連のニュースから、①日米首脳会談「真珠湾」発言におけるスイスメディアの反応②日本の「女性」像破る筋肉女子③在住20年のスイス人俳優が見る東京、の3件を要約して紹介します。

日米首脳会談の見出しをさらったトランプ米大統領の真珠湾発言。ドイツ語圏スイス公共放送(SRF)がインスタグラム外部リンクに掲載したショート動画には500件を超えるコメントが寄せられるなど、スイス人にとっても衝撃的な一幕だったようです。なお、動画で最も共感を得たコメントは「面白いです、大統領。政権から下りてスタンドアップ・コメディーでも始めたら?」というものでした。

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日米首脳会談での「真珠湾」発言 スイスメディアはどう報じた?

高市早苗首相が19日訪米し、ドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行いました。イラン戦争により同盟国間にも緊張が高まる中での会談となり、スイスでも各紙が報じました。なかでも、トランプ氏がイラン攻撃に関連して真珠湾攻撃を引き合いに出したことに注目があつまりました。

ドイツ語圏の大手紙NZZは、高市氏の「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」との発言を見出しに取りました。トランプ氏を称賛しまくるのは「これまで多くの国賓と同じ」戦術だと示唆。米国の求めるホルムズ海峡支援について日本は具体案を示さなかったものの、トランプ氏は日本の対応に一定の評価を示したことを伝えました。真珠湾発言については「普段はいつも温かい笑顔を浮かべている高市氏が、明らかに居心地悪そうに唇をきゅっと引き締めた」と描いています。

SRFは、トランプ氏が衆院選の勝利を称えるなど「2国関係は良好に見えた」と伝えました。、また、いつものように記者会見と首脳会談が入り混じった形式について言及し、高市首相が「傍観者」にならざるを得ない側面もあったと指摘。しかし、「過去にこうした会談がエスカレートした経緯を考えると、これは日本側にとって都合が良いかもしれない」と評しました。真珠湾発言について、高市氏は「緊張した様子で椅子に背筋を伸ばし、代表団をじっと見つめた」との表現にとどめました。

ベルンの地域紙デア・ブントなどは、「トランプ氏が真珠湾ジョークで日本の首相をいらだたせた」と紹介。発言を受け「部屋にいた何人かは笑ったが、高市氏が代表団をじっと見つめると、すぐに静まり返った。明らかに緊張した様子で、高市氏は背筋を伸ばし、歴史的にデリケートな比較については何も語らなかった」と詳しく描写しました。そして昨年フリードリヒ・メルツ独首相が会談でトランプ氏にノルマンディー作戦を持ち出された際、「大統領、長い目で見れば、あれは我が国をナチス独裁政権から解放した日だった」と反論したことも引き合いに出しました。

ドイツ語圏の金融紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは「トランプ氏の隣に座っていた高市氏は明らかに苛立ちを見せ、混雑した大統領執務室には気まずい沈黙が訪れた」と描きました。第二次大戦で日米合わせて300万人が命を落したこと、足元のイラン戦争でも多くの被害が出ていることを指摘し「いいえ大統領閣下、今は日本もその他の国々も、今は笑っている状況ではありません」とたしなめました。

ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、「トランプ氏が国賓を辱める方法」と称し、高市氏のほか、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領などの会談でトランプ氏が相手を公然と侮辱した数々の歴史を紹介しました。

フランス語圏の大手紙ル・タンは、発言の瞬間を「大統領執務室の金箔張りの天井の下、膝の上で手を組んだ高市早苗首相は、目を大きく見開き、深く息を吸い込んだ」と描写しました。その後、部屋にはかすかな笑い声も起こったものの、「すぐに気まずい沈黙に変わった」と伝えたうえで、各国際メディアの論評を紹介しました。

(出典:NZZ外部リンクSRF外部リンクフィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンクターゲス・アンツァイガー外部リンクデア・ブント外部リンク/ドイツ語、ル・タン外部リンク/フランス語)

日本の「女性」像破る筋肉女子

女性は「きゃしゃでかわいらしく、やせている」べきという固定観念を打ち破る――東京・池袋のバー「筋肉女子 マッスルガールズ外部リンク」を、フリージャーナリストのフェリックス・リル氏が取材。日本における従来の女性像に対する問題提起の店として紹介しました。ドイツ語圏のオンラインメディアGMXに掲載されています。

マッスルガールズではボディビルダーなど筋骨隆々とした女性たちが客をもてなし、時には男性客を蹴りつけます。記事は「このようなバーは日本において社会政治的な意義を持っている。なぜなら、この東アジアの国に根強く残る女性の理想像に対する、いわば反抗の意思表示として機能している」と位置付けます。

記事は「女性は特に就職市場において、男性優位の分野で成功することが非常に難しいと感じている」と続けます。女性はアシスタント職に追いやられることが多いこと、男性同僚に比べて専門能力開発への投資が少ないこと―― それらの根底にあるのは、女性は遅かれ早かれ結婚して子供を産み、その後は労働市場から離れるという思い込みだと説明しました。「女性はあらゆる種類の仕事に向いていない、つまり難しすぎる、体力的にきつすぎる、やりがいがありすぎる、といった主張もよく聞かれる」

リル記者はハイデルベルク大学の日本研究者で教育学を専門とするヴィンセント・レッシュ氏にも話を聞きました。レッシュ氏は日本で露骨な差別は減りつつあるものの、「教科書に出てくる女性は、伝統的な役割に追いやられている傾向がある。ドイツの教科書ほど多様性が反映されていない」と指摘しました。教師たちも女子生徒に性的役割分担を押し付けがちだといいます。

そうした中で、マッスルバーで働く女性たちは「突然、理想像に縛られる必要はないんだと気づいた」「ここではスタッフもお客さんはみんなとてもポジティブで、ありのままの自分を受け入れてくれる」と語ります。かつて水泳選手でオリンピックを目指していた女性は「女性の強い体は、メダルを獲得した時だけしか評価されない」と嘆き、評価軸の異なるマッスルバーの魅力を語りました。

とはいえ、マッスルバーでも結局は女性を「もの」として扱い、性を売り物にしているのではないか?そう疑問を投げるリル氏に、彼氏とバーを訪れていたフィリピン人女性は「もちろん女性たちは注目されているが、半裸ではなく、スポーツウエアを着ている」と反論。リル氏はバーを「タブーを破る楽しさが融合した場所」と総括しました。(出典:GMX外部リンク/ドイツ語)

在住歴20年のスイス人俳優が見る東京

SRFは世界各地で活躍する在外スイス人にロングインタビューするポッドキャスト「Die fünfte Schweiz(第5のスイス)」で、東京に住むマッシモ・ビオンディさん(54)に大都市での暮らしぶりや日本文化について話を聞きました。

一時はニューヨークに住んでいたというビオンディさん。地下鉄は清潔感を欠いていたりルート通りに走らなかったりと、多くのことがスイスと違って「好き勝手」に動いていたと言います。それに比べると、「東京はずっとスイスに似ている」。人々の振る舞いや倫理がスイス人に似ており、時間の正確性や道路の清潔さについてはスイスの上を行くといいます。

日本で俳優として活躍するビオンディさんですが、よくフランス人の役を演じると言います。日本ではスイス人=「アルプスの農夫」のイメージが強く、自分の雰囲気に合わないからだと説明します。スイス人に会ったことのある日本人が少ないからか、自分がスイス人だと明かすと驚かれることも多いそうです。とはいえ、スイス自体はハイジやチョコレート、時計などでよく知られ、「スイスに良いイメージを持っている」ため、スイス人であることには誇りを持っているとビオンディさんは語ります。

ビオンディさんはご飯にお箸を突き刺してはいけない理由、電車内で通話どころか着信音さえ鳴らしてはいけないことなど、日本の特異な文化について語ります。電車内など公共の場で極力会話しない理由について、たいていは1人で移動しており静けさを守りたいことのほか、「歴史的な首都であり、聞かれたくない内容を誰に何を聞かれるか分からない」ことを挙げました。(出典:SRF外部リンク/ドイツ語)

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