Society 5.0、地獄船、反時計回り… スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が6月16日~22日に伝えた日本関連のニュースから、①Society 5.0②地獄船③反時計回り、の3件を要約して紹介します。
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「Society 5.0」に見た、移民なき未来への示唆
独語圏スイスの主要紙NZZは大学教授による寄稿記事で、少子高齢化と人口構造の変化に対する独自の解決策として日本政府が提唱する「Society 5.0」を取り上げ、スイスが日本から何を学び得るかについて論じました。
記事はまず、人口構造の変化が21世紀における最大の経済的・社会政治的課題の1つだとし、「スイスを含む多くの西側諸国は、主に移民によって対応している。同時に、インフラ、住宅市場、交通機関はますます大きな圧力にさらされている」と説明。対して日本は「ロボット工学、AI、センサー、自動化プロセスに多額の投資を行っている。その目標は、労働人口が減少しても、長期的には同等またはそれ以上の経済的成果を達成することだ」とし、それを体現するのがSociety 5.0だ、と続けました。
これは単なる「デジタル化の推進」ではなく、その核心は高齢化社会を技術的に安定化させる試みだ、と記事は続けます。すでに介護施設では介護ロボットが身体的な負担の大きい作業を支援し、AIシステムが医療スタッフの事務作業を軽減し、インテリジェントセンサーが高齢者のバイタルサインをモニタリングし、人口減少が進む農村部では自動配送サービスが物資を供給し、ロボット農業は労働力不足を補っている――という実例を挙げました。
また記事は「Society 5.0は、現状の問題を単純に将来に当てはめるのではなく、多様な将来のシナリオに対して現実的なアプローチを取る。繁栄は必ずしも持続的な人口増加を必要とするものではないことを示している」と評価しました。
スイスについては「今後も高資格の移民労働者に依存していくだろう。しかし、重要なのは、移民によって構造的な生産性問題を恒久的に補うべきなのか、それとも人口動態の変化に対応するために、スイスは技術革新能力を継続的に活用していくべきなのか、という点だ」と指摘。日本が目指す「高い技術生産性を備えたイノベーション国家」というビジョンが、スイスにとっても重要な示唆を与えることを強調しました。
(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)
「地獄船」豊福丸発見 戦争の記憶
第二次世界大戦中に約1200人の連合軍捕虜を乗せ、1944年にフィリピン沖で米軍機の攻撃を受けて沈没した日本の「地獄船」豊福丸の残骸が研究者によって発見されたことを、バーゼルの地域紙バーズラー・ツァイトゥングが報じました。
記事は、第二次世界大戦中の日本の捕虜輸送の実態について、「日本は数万人規模の捕虜を劣悪な環境で輸送した。そのような船の一つが豊福丸であり、1944年9月21日、米国の魚雷攻撃を受けて捕虜の多くが死亡した」と説明しました。
記事は「人々が船で運ばれた状況は劣悪で、そのため捕虜輸送船は『地獄船』とも呼ばれた」と指摘。歴史家、ティム・ベッケンソール氏は米CNNに「暗い金属製の船倉は悪臭が漂い、灼熱の暑さだった。捕虜たちはまともな食事も与えられず、水もほとんどなかった。想像できる限り最悪の状況だった」と語っています。
オランダ国立文化遺産庁と米ディスカバリーチャンネルの支援を受け、調査を行うヘルシップス記念財団が沈没場所の特定に成功。水中写真を基に沈没船の3Dモデルを作成し、沈没船の特定に至りました。潜水調査中、人の遺骨とみられる遺骸も確認されたといいます。
記事によると、オランダの文化遺産庁はこの残骸を戦争墓地に指定。犠牲者とその家族への敬意から、発掘調査は行わない見通しだとしています。
(出典:バーズラー・ツァイトゥング外部リンク/ドイツ語)
人間が無意識に選ぶ「反時計回り」の謎
オンラインメディアwatsonは、早稲田大学の研究者らが発見した、人間が空間を自由に移動する際に無意識に反時計回りに旋回するという行動パターンに関する研究について報じました。
早稲田大学のクラウディオ・フェリチアーニ氏率いる研究者チームは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中の人のソーシャルディスタンス行動を調査している最中に、偶然このパターンを発見したといいます。被験者グループの動きを映像で分析した結果、被験者は33回の試行のうち32回で反時計回りに移動する傾向を示しました。
このパターンの一貫性を調べるため、研究チームはスペインと日本で異なる空間構成やグループ規模で実験を行ったところ、あらゆる環境において驚くほど一貫していたといいます。一方で、なぜこのような現象が起きるのか、その根源は依然として謎に包まれており、その解明は今後の研究課題だとしています。
ただ、この行動パターンは私たちの日常生活と無縁ではありません。記事では「例えば、スーパーマーケットが顧客を意図的に反時計回りに店内を誘導していることがよくある。この配置は買い物体験に影響を与え、人々が店内に長く留まることに貢献する可能性がある」と具体例を挙げて説明しました。スポーツにおいても「陸上競技、競馬など多くのランニングやレース競技は、伝統的に反時計回りで行われる」としています。
(出典:watson外部リンク/ドイツ語)
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