トランプとプーチン、軍事化するシリコンバレー、パランティア拒否…スイスのメディアが報じた米国のニュース
14日~22日にスイスのメディアが報じた米国のニュースから、今週はトランプとプーチン、軍事化するシリコンバレ、パランティア拒否、の3件を要約してお届けします。
今週のスイス各紙を席巻したテーマは「戦争」だ。ウクライナ戦争への米国の介入、シリコンバレーで台頭する軍事企業化の動き、そして米企業パランティアをスイス軍が繰り返し拒絶――この3つが主な話題となった。
ドナルド・トランプ米大統領がロシアへの制裁を解除し、ウクライナではなくウラジーミル・プーチン露大統領の側に立ったとみられる姿勢を示したことに対し、スイスメディアは即座に批判の声を上げた。
米露首脳の一度の電話会談が、勢力均衡をウクライナに著しく不利な方向へ傾けた。ウクライナ側はロシアの石油精製施設への攻撃を停止するよう求められた一方、ロシアはウクライナのエネルギーインフラへの爆撃を続けている。
スイス・ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー(TA)は「トランプ政権下の米国は苦境に立たされたウクライナを繰り返し裏切ってきた」と論じる。「この誤った政策はモスクワを和平交渉に向かわせるどころか、戦争を長引かせるだけだ。国際社会はこの状況を注視すべきであり、米国民は愚弄されることを拒否すべきだ」
スイス・フランス語圏の日刊紙ル・タンは、プーチン氏を優位に立たせることでトランプ氏が何を得ようとしているのかと問う。同紙は、ロシアがハッキングやトロール活動、世論操作の「専門的サービス」を提供できると示唆する。過去の米国内の選挙で、ロシアの機関が影響力を行使しようとした事例を複数挙げ、いずれも標的は民主党だったとした。「民主主義的な制度を失墜させる目的で、ロシアの偽情報工作の専門知識が再び活用される可能性がある」
かつてコンピューター、ソーシャルメディア、アプリの産地だったシリコンバレーが、軍需産業へと急速に軸足を移しつつある――。そう論じたのはターゲス・アンツァイガーだ。
ロッキード・マーティンやノースロップ・グラマンといった従来の軍需大手に代わり、メタやオープンAIが軍事力の担い手となる時代が来るかもしれないという。「問題は、国家安全保障の技術的基盤を誰が掌握するかだ」と同紙は指摘する。
これはシリコンバレーがかつて掲げた理想とはかけ離れた姿だ。Tシャツ姿のテック系起業家たちは、カリフォルニアのヒッピー文化に近く、軍の文化とは無縁だった。「ビッグテックは強大な力を持ちながらも、平和主義的なイメージを打ち出していた」と同紙は振り返る。
しかし時代は変わった。その象徴がイーロン・マスク氏だ。米国防総省から「戦争の未来」について助言を求められている。「業界の主要人物たちは、米軍をはじめ世界各国の軍隊を自分たちに依存させようとする、国家主義的な復興運動の一翼を担っている」とターゲス・アンツァイガーは断言する。「まさにこの瞬間、欧州は自国の安全保障インフラの構築を誰に委ねるかについて、極めて慎重でなければならない」
米データ企業パランティアにとって、スイスは「狩り場」ではない。
雑誌レプブリークはかつてスイス軍がパランティアを排除したことを報じた。
今回は調査報道集団WAVリサーチ・コレクティブとの共同取材で新たな詳細が明らかになった。2020年から今年にかけて、スイス軍当局はパランティアのサービスを5度にわたって拒否したという。
スイス軍が懸念したのは主にデータの管理権限の所在、パランティアのエンジニアによるデータへのアクセス、そして機密性の高い軍事情報の守秘保証をめぐるものだった。現時点でスイス軍はこれらの点でパランティアへの信頼を持てずにいる。
ただし、将来的な契約の可能性が完全に排除されたわけではない。マルティン・プフィスター国防相は、一部の連邦議会議員からの圧力にもかかわらず、同社との将来的な協力を否定することを拒んでいる。
「パランティアへの『裏口』は依然として開いたままだ」とレプブリークは記している。
次回の「スイスが報じた米国のニュース」は10月29日(木)に配信します。
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英語からの翻訳・校正:宇田薫
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