努力が報われたドゥレモン市
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ジュラ州の首都ドゥレモン市(Delémont)は明確な都市整備のコンセプトを実現し、ヴァッカール賞を受賞した。
この賞は毎年、スイス文化遺産財団が授与するもので、特に建築遺産保存に努力した市町村与えられる。
音楽祭がちょうど開催された日、ドゥレモン市はヴァッカール賞を受賞し喜びに沸いた。都市整備の明確なコンセプトが今回の受賞につながった。人口減少に悩むドゥレモン市はこの受賞が人口流出を食い止めるきっかけになったらと願う。
受賞の理由
1972年来、スイス文化遺産財団は町の発展と町の外観の保存に努力した市町村にヴァッカール賞を授与してきた。ドゥレモン市が受賞することはすでに今年1月から決まっていた。ドゥレモン市の都市計画は、建築的観点からも、都市整備の観点からもコンセプトがはっきりしていたからだ。
駅前広場を「出会いの場」に変えたことが、特に今回の受賞の主な理由。全くなおざりにされていた場所を魅力ある「出会いの場」に変ぼうさせ、またそこを歩行者空間に変えることで、交通量を徹底的に減らした。
受賞の効果
「授賞式の今日だけ騒がれるのではなく、ヴァッカール賞の余韻がいつまでも続いて、たくさんの人がこの町を訪れてくれることを祈っています」と市長のジル・フロワドゥヴォ氏。そのために彼は特別予算を組んだ。
実は今回の受賞はこの町にとって象徴的な出来事でもあった。ドゥレモン市は過去25年間でおよそ1000人もの人口流出を見、2005年末には、1万1266人を数えるだけになった。市中心部からの人口流出を逆転させようと、市長は市内の建設用地をもっと増やす約束をした。「今回の受賞も人口の流れを逆流させるきっかけになって欲しい」と市長は願う。
また工業地域を拡張する都市計画も進行中で、それは隣のバーゼル市に近づくことで、経済的発展を見越している。いずれにせよ、ドゥレモン市の発展がジュラ州全域の利益につながることは確かなようだ。
swissinfo、 里信邦子(さとのぶ くにこ)意訳
- スイス文化遺産財団は1905年に創設された。当時スイスは都市圏の工業化の悪影響を感じ始めた時だった。
- それ以降、財団は都市整備、建築物の修復、再建の資金援助をすることで文化遺産的な建築物やそれらの外観を保存する努力をしてきた。
- スイス文化遺産財団は毎年、以下のような3つの賞を授与している。
- 「ヴァッカール賞」は特に、建築遺産の保存に努めた市町村に対して、「シュルツ賞」は公園や庭園の価値を高めた計画に対して、そして「ハイマットシュッツ賞」は生活空間を守り、生活の質を向上させた計画に対して授与される。
- 賞金2万スイスフラン(約186万円)の「ヴァッカール賞」は1972年にジュネーブの実業家アンリ・ルイ・ヴァッカール氏の寄贈金で作られた。
- この賞は、1988年は同じジュラ州のポラントゥルイ市に授与された。その後、2000年はジュネーブ市、2001年はチューリヒ州のウスタール市、2002年はアールガウ州のトゥールゼー市、2003年はルツェルン州のスールゼー市、2004年はビール/ビエンヌ市に授与された。2005年は例外として、スイス連邦鉄道(SBB/CFF)に授与された。
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