洪水の後 通勤客への影響 引き続き
洪水のため鉄道も被害にあい、1週間経った現在も、復旧作業が続いている。通常のダイヤに戻るまではまだ時間がかかりそうだ。
チューリヒから南下するゴッタルド路線は26日、復旧したと発表されたが、実は迂回路を使っており、列車は通常のルートを通っているわけではない。しかも、迂回路は毎日変わり、乗り換え駅が異なるため、通勤客は朝夕ともに混乱している。
現在、国内で不通となっているのは、スタンツ〜エンゲルベルク(Stans-Engelberg)、ヘルギスヴィル〜ブリューニク〜インターラーケン・オスト(Hergiswil-Brünig-Interlaken Ost)、ヴィミス〜ツヴァイシンメン(Wimmis-Zweisimmen)の3カ所。ほか、洪水とは関係なくトンネル整備のために不通となっているのが、シャヘン〜マルタース〜ルツェルン(Schachen-Malters-Luzern)。
混乱する通勤客
「本日(26日)から、ゴッタルド路線は列車が運行されています」という発表がスイス連邦鉄道(SBB/CFF/FFS)から出た。しかし、チューリヒからシュヴィーツ(Schwyz)へ通勤する人たちは、先週の月曜日から引き続き混乱している。
普段はチューリヒからまっすぐ南下しツーク(Zug)、アルト・ゴルダウ(Arth-Goldau)を通ってシュヴィーツまで行くが現在は、チューリヒから東のルートを取りプフェフィコン(Pfäffikon SZ) ローテントゥルム(Rothenthurm)を迂回したり、西側ルートでレンツブルク(Lenzburg)まで大きく回りロートクロイツ(Rotkreuz)まで行き電車を乗り換え職場にたどり着く。
毎日迂回路が変わるため、毎晩ルートをチェックしたいところ。連邦鉄道のサイトには、チューリヒからルツェルンまで行き、そこからロートクロイツまで逆戻りしてシュヴィーツへ行くルートが提案されていたが、通常よりおよそ30分余計に時間がかかる。
「直近の情報はなに一つ得られない。情報を統一して管理していないのではないか」と語るのは、スイス東北部シャフハウゼン(Schaffhausen)からシュヴィーツ(Schwyz)に通う高校教師、ハンス・ガッティさん。ガッティさんは地理の先生で、スイスの地理を熟知していることもあり「自分でルートを組み合わせたほうがよっぽど良い」と言う。無料のホットラインもつながらなければ、メールも混雑状態。乗車前に駅員に聞いて、停まるだろうと思った場所に停まらないと分かったのは電車が出発する直前。あわててその電車から飛び降りた人もいる。
「鉄道だけがホットラインを敷いた」
乗客が情報不足で混乱しているという批難に対し、連邦鉄道のロラント・ビンツ広報担当官は「われわれは豪雨のあった22日にはすでに、どの機関にも先駆けて情報提供のための無料ホットラインを開設した。現在も30人を投入して対応している」と反論する。また、主要駅のプラットホームにはオレンジ色のジャケットを着た駅員を全部で100人置き、直近の情報を乗客に提供しているともいう。
「毎日16万人が利用する中で、考えられる最高の対応をしている」とビンツ氏は語る。しかし、電車でチューリヒからブルンネン(Brunnen)の蓄電池製造会社に通っているマルチェロ・ジョルジョーネさんは、通常の通勤時間は1時間なのに、2倍の時間がかかり、毎日のように遅刻する。駅員に状況を聞こうとしたら、その駅員に逆ギレされたという。
不通となっている3カ所の復旧には、まだ数日かかる見込みだ。
swissinfo、 佐藤夕美(さとうゆうみ)
洪水被害の募金のお願い
洪水被害者を援助する募金がすでに始まっています。8月31日(水)には全国一斉に募金活動をします。早朝6時から深夜零時まで電話による募金の受付をします。集まった募金は、被害の大きさに比例して、各地に援助金として渡されます。
募金にはこの日以外でも参加できます。
<郵便支払いの場合>
Postkonto 10-15 000-6
Unwetter Schweiz / Intempéries Suisse
<インターネットの場合>
www.glueckskette.ch (ドイツ語)
www.bonheur.ch (フランス語)
スイステレビ局(ドイツ語)の番組「Quer」では、26日からすでに電話による募金を開始しました。また、スイステレビ局(イタリア語)でも25日洪水の特集を組みました。
募金に関するお問い合わせは、電話番号 +41 31 398 41 11までお寄せください。
<スイス連邦鉄道列車運行状況>
無料サービス電話 0800 99 66 33
<募金のお願い>
<郵便支払いの場合> Postkonto 10-15 000-6 Unwetter Schweiz / Intempéries Suisse
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