スイスの移民規制案「人口1000万人に反対」イニシアチブ、世論調査で賛否拮抗
6月14日の国民投票に向けた世論調査で、保守政党の新たな移民制限案「人口1000万人のスイスに反対」案は賛否が拮抗している。兵役逃れをしにくくするための法改正案は、僅差で可決される可能性が高い。
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保守右派・国民党(SVP/UDC)が提起したイニシアチブ(国民発議)「人口1000万人のスイスに反対」は、投票意向が拮抗した状態で論戦の火ぶたが切られた。第1回世論調査で賛成(またはどちらかといえば賛成)が47%、反対(またはどちらかといえば反対)が47%だった。6%が未定と回答した。
世論調査はスイス公共放送協会(SRG SSR、スイスインフォの親会社)の委託で世論調査機関gfs.bernが実施。調査担当者のルーカス・ゴルダー氏は「あらゆる属性で横一線となっている」と指摘する。
回答者の8割がすでに賛否を固め、二極化の激しさを浮き彫りにしている。ゴルダー氏は、年齢、性別、所得による投票傾向の差はあるものの軽微で、主に政治的な対立軸が賛否を分けていると分析する。
国民党支持者の間では、圧倒的多数が賛成の意向を示す一方、左派支持者は明確に反対している。中道派支持層では依然、意見が分かれる。
投票の行方を左右しそうなのが、未定と回答した6%の有権者だ。賛成・反対両陣営の投票所への動員力も鍵となる。投票率予想は50%で、これまでの平均の47.1%を上回る見込みだ。
在外スイス人は55%が反対、賛成は38%と、スイス国内在住者と投票傾向が明らかに異なる。ゴルダー氏は「典型的なパターンで、在外スイス人コミュニテイは移民問題に寛容だ」と説明する。だが在外スイス人の間でも、スイス国内者とほぼ同程度の割合で、態度未定の有権者がいる。
イニシアチブ賛成派は主に、人口増加によってインフラが過負荷状態に陥っているという主張を展開。自然環境などを守るためには人口増加を抑制する必要があると訴える。
反対派は、移民を制限すれば欧州連合(EU)との二国間協定、特に人の自由な移動に関する協定が損なわれるリスクがあると主張する。人口制限によって高資格労働者の確保やスイスの繁栄が脅かされるとも懸念する。
賛成派と反対派はともに過去最高額となる1500万フランを論戦・広報活動に投じているとの試算がある。このうち、反対派の方が若干多くの額を投じるとみられる。反対派では経済団体、労働組合、社会民主党(SP/PS)が最も資金力のある勢力である一方、賛成派では国民党が主に資金を提供している。
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兵役を拒否しにくくする法改正案は僅差で賛成多数
兵役逃れを防ぐ規則を盛り込んだ法改正案も6月14日の国民投票にかけられる。世論調査では賛成が52%となった。政治的左派が法改正案に反対するレファレンダム(国民表決)を提起したため、反対票を投じる人に左派支持層が多いのは当然といえる。「しかし、この件に関する投票傾向は、1000万人イニシアチブほど明確ではない」と、gfs.bernのマルティナ・ムーソン氏は指摘する。
連邦内閣(政府)と議会の過半数は、兵役よりも代替役である社会奉仕を選ぶ男性が多すぎると懸念する。
連邦大統領兼国防相のギー・パルメラン氏は法改正に先立ち、社会奉仕について「軍役か社会奉仕かを自由に選べるものだと考える人もいるかもしれない」と前置きした上で、社会奉仕はあくまで例外であり、代替手段ではないと強調した。
調査によると、社会奉仕に転属しにくくするこの法改正案を支持する勢力は、人員を確保することで軍の長期的な安定を図ることが目的だと主張する。ムーソン氏は「現在の地政学的な状況が当然、論戦に影響を与えている」と話す。
在外スイス人の間ではスイス国内と同様、反対意見が強い。賛成派は43%にとどまる。未定と答えた人は16%と、国内よりもかなり高い。
国民投票にかけられる政策が政府の提案したものである場合、投票日までに賛成派が増加する傾向があるが、結果は依然として不透明だ。賛成がリードする現状は限定的で、世論形成はまだ初期段階にある。投票日までに状況が変化する可能性は十分にある。
焦点は、1000万人イニシアチブの動員効果にある。同案への論戦が生み出す勢いと議論は、代替役の法改正に関する世論に影響を与える可能性がある。
第2回世論調査の結果は6月3日に発表される。
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編集:Pauline Turuban、独語からの翻訳:宇田薫、校正:ムートゥ朋子
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