スイス経済、2026年は1%成長に 原油高騰踏まえ下方修正
スイス政府は18日、2026年の国の成長率予想を1%と、12月時点の見通し1.1%から引き下げた。イラン戦争に伴う原油価格の高騰を踏まえ、平均を下回る成長率にとどまるとみる。
連邦工科大学チューリヒ校景気調査機関(KOF)が同日発表外部リンクした成長率予想も1%だが、これは近く原油価格が落ち着くことを前提にしている。原油高騰が長引けば、成長率はわずか0.7%に押し下げられる。KOFは2027年成長率を基本シナリオで1.7%、原油上昇なら1.5%と予想する。
原油価格はインフレ率にも大きく影響する。KOFによると、原油が高止まりすればインフレ率が2026年に0.6%、27年に0.8%に上昇する。一方、原油が値下がりすればインフレ率は今年0.3%、27年は0.6%にとどまると予想される。
個人消費が下支え
原油価格やイラン戦争を脇においても、現在緩やかな成長にとどまる世界経済が、スイスの2026年の見通しを暗くしている。ユーロ圏、特にドイツでは少なくとも改善の兆しが見られ、2027年予測値は上方修正された。
「スイスは脆弱性が低い」
ドイツ語圏スイス公共放送(SRF)の経済担当ヤン・バウマン記者の総括
スイス政府とKOFの予測によると、スイスはイラン戦争下でも経済危機を免れる可能性が高い。スイス経済は、国際的な原油・天然ガス価格の上昇に対する脆弱性が低いことが強みとなっている。
その理由は、スイスの産業は他国と比べエネルギー集約度が低く、サービス部門(金融、貿易、IT、観光など)の存在が大きいことにある。さらに、フラン高が輸入インフレを防ぐ効果がある。
それでもリスクは存在する。例えば、米中貿易摩擦が再び激化する可能性がある。そうなれば、スイスは輸出依存度の高さから大きな影響を受けるだろう。
スイス経済で重要な役割を果たす個人消費は、近年力強い成長が続いている。KOFによると、労働市場の弱さが続くものの、低インフレと安定した賃金上昇が個人消費を下支えするとみられる。失業率は2026年半ばまで若干上昇し、その後やや低下すると予測されている。
だが連邦政府の緊縮財政計画と企業投資の低迷が経済成長を抑え込んでいる。企業は収益性の低さと経済政策の不確実性から、投資を手控えている。
アメリカからの関税が15%に落ち着く見通しとなり、一部の業界にとって出発点が改善したことは確かだ。しかし、地政学的な不確実性の高まりによって、その効果は一部相殺されている。
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米国からの圧力
KOFは、先行きリスクは概して高く、「主に」下方向のリスクであるとみる。特に、アメリカ政府による医薬品価格引き下げ圧力は、スイスの製薬業界に深刻な影響を与える恐れがあると警告する。
またスイス企業が対米投資を約束したことが、企業の国外移転を招き、ひいてはスイスへの投資活動がさらに抑制されるリスクもある。
イラン戦争は原油・ガス価格の高騰だけでなく、サプライチェーンの混乱など様々なリスクをもたらしている。KOFによると、イラン戦争によってフラン相場がさらに上昇すれば、スイスの輸出部門は一層弱体化する恐れがある。
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独語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
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