昨年プロを引退したロジャー・フェデラーさんは、スイス政府観光局の公式大使に就いた(写真は引退前の2022年3月撮影)
© Keystone / Jean-christophe Bott
スイス政府観光局は2年以上にわたる渡航制限が解かれた中国からの観光客誘致キャンペーンで、元テニス世界王者のロジャー・フェデラーさんを公式大使に任命した。
このコンテンツが公開されたのは、
フェデラーさんはプロ引退前から、ロバート・デ・ニーロさんやアン・ハサウェイさんら著名人とともに、コロナで激減したスイスへの旅行者を増やす活動に携わっていた。今回着任したスイス政府観光局の公式大使は、中国市場に的を絞った活動となる。
ドイツ語圏の週刊紙NZZ外部リンクマガジンが14日報じた観光局のマーケティング計画によると、フェデラーさんは中国人観光客をスイスに呼び戻すための新年キャンペーンで重要な役割を果たしている。フェデラー効果で、今年は中国人観光客の宿泊が約80万人泊に回復すると見積もられている。これはパンデミック前の2019年の半分以下だ。2025年までに170万人泊に増やすことを目標に据える。
中国人観光客はホテルだけではなく小売業界にとっても重要な顧客だ。1日あたりの消費額は約380フラン(約5万4千円)で、多くは土産品の購入だ。スイスにとっては中東からの訪問者に次ぎ2番目に消費額の多い客層となっている。ちなみにスイス人の休暇中の消費額は1日あたり約160フランだ。
業界関係者の多くが観光客の再来を歓迎するが、国外からの団体観光客呼び込みに焦点を当てた観光戦略には疑念の声もある。中国人観光客は大型バスで周遊することが多く、地元のインフラがひっ迫する可能性がある。
政府観光局はNZZに対し、中国人観光客が引き続き中心的な役割を果たし続けると述べた。富裕層だけでなく、アウトドアや文化に関心のある個人旅行者も重視している。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
おすすめの記事
スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。
もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
おすすめの記事
スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
このコンテンツが公開されたのは、
パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。
もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
おすすめの記事
スイスで放射能測定の合同演習
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。
もっと読む スイスで放射能測定の合同演習
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
このコンテンツが公開されたのは、
自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
おすすめの記事
スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。
もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
おすすめの記事
クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦最高裁判所は23日、スイス政府の「誤った情報」によりクレディ・スイス株で損失を被ったとして損害賠償を求めた夫婦の訴えを棄却した。
もっと読む クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
おすすめの記事
移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
このコンテンツが公開されたのは、
東日本大震災の被災者を勇気づけようと建設された移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」がこの秋、親元のスイスに初めて登場する。
もっと読む 移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
おすすめの記事
スイス、メートル法準拠から150年
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは150年前にメートル条約に調印し、メートルやキログラムを導入した。それまでスイスの測定単位は地域や使途によって大きく異なっていた。
もっと読む スイス、メートル法準拠から150年
おすすめの記事
中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン州警察は19日、大規模な人身取引事件を摘発したとい発表した。容疑者は中国籍の5人で、146人の中国人女性をスイスに誘い出し、性労働に就かせていた。
もっと読む 中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
続きを読む
おすすめの記事
静寂のオアシスに押し寄せる「愛の不時着」ファン
このコンテンツが公開されたのは、
アジア諸国を中心に一大ブームとなった韓国ドラマ「愛の不時着」のファンが、スイスのロケ地に押し寄せている。ただ静けさを売りに観光客を魅了してきたイゼルトヴァルトでは、思いがけないブームに戸惑いの声も上がっている。
もっと読む 静寂のオアシスに押し寄せる「愛の不時着」ファン
おすすめの記事
ロジャー・フェデラーの引退、世界から惜しむ声
このコンテンツが公開されたのは、
男子テニスの一時代を築いたロジャー・フェデラー(スイス)の引退発表に、各界から惜しむ声が寄せられている。
もっと読む ロジャー・フェデラーの引退、世界から惜しむ声
おすすめの記事
「この危機はスイス観光業界のメリットとなりうる」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス出身のダーフィット・リュッツ氏(51)は、2003年からベルリン国際ツーリズム・マーケット展(ITB)のディレクターを務めている。世界最大の観光見本市として知られるITBは、新型コロナウイルス危機では観光産業の景気観測の場ともなった。リュッツ氏に話を聞いた。
もっと読む 「この危機はスイス観光業界のメリットとなりうる」
おすすめの記事
消えた外国人観光客、スイス観光業へのダメージ深刻
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスの影響でスイスの観光業は悲鳴を上げている。今夏に向けて様々なアイデアで地元客の掘り起こしを図ってはいるが、国内客だけでは外国人観光客の穴埋めはできない見通しだ。平常に戻るまでには数年かかるとされる。
もっと読む 消えた外国人観光客、スイス観光業へのダメージ深刻
おすすめの記事
冬のスイス山岳リゾートの魅力を売り込む ターゲットはアジア
このコンテンツが公開されたのは、
スイスに駐在する外交官に観光大使としてスイスの魅力をアピールしてもらうためにはどうすればいいだろうか。先日、ユングフラウ地方のヴェンゲンでは、数十カ国の外交団が丁重にもてなされた。招待客はすっかりこの山岳リゾートに魅了されたようだ。
もっと読む 冬のスイス山岳リゾートの魅力を売り込む ターゲットはアジア
おすすめの記事
スイスにやってきた1万2千人の中国人団体観光客はどんな人たち?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス史上最大規模の観光団体が中国から押し寄せている。ツアーを主催した米ジュネス・グローバルはなぜこんな大盤振る舞いが可能なのか。ツアー参加者にとって何が魅力なのか。ツアー客に突撃取材した。
もっと読む スイスにやってきた1万2千人の中国人団体観光客はどんな人たち?
おすすめの記事
チョコレート博物館に秘められたリンツの野心
このコンテンツが公開されたのは、
2020年にオープンしたリンツ・アンド・シュプルングリ社の博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」。スイスチョコレートの存在感をアピールし、外国人観光客を増やす狙いがある。博物館を実際に見学した。
もっと読む チョコレート博物館に秘められたリンツの野心
おすすめの記事
フェデラーの「ステマ」はOK?公正委が見解
このコンテンツが公開されたのは、
スイス広告業界の自主規制機関は、男子テニスのロジャー・フェデラー選手、インフルエンサーのセニア・チュミチェワさんがインスタグラムにアップした投稿はいずれも「ステルスマーケティング」に当たらないとして、消費者団体の苦情を却下した。
もっと読む フェデラーの「ステマ」はOK?公正委が見解
おすすめの記事
フェデラーの軌跡 テニスのレジェンドが育った場所
このコンテンツが公開されたのは、
ひざの手術で戦線を離脱していた男子テニスのロジャー・フェデラー選手が、3月のカタール・オープン(ドーハ)でツアー復帰を果たした。ちょうどそのころ、同選手ゆかりの母国スイスの地や、少年時代の所属クラブを紹介する本が発売された。
もっと読む フェデラーの軌跡 テニスのレジェンドが育った場所
おすすめの記事
アスリートのキャリア問題 スイスで新しい試み
このコンテンツが公開されたのは、
平昌(ピョンチャン)五輪が9日、韓国で開幕し、スイスからは史上最多の171選手が出場した。だが、スポーツだけで食べていける選手はほんの一握り。そうでない選手たちは、両立が可能な仕事、トレーニングや遠征に理解のある勤め先が必要だ。そんなアスリートに優しい会社はどこだろうか。
もっと読む アスリートのキャリア問題 スイスで新しい試み
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。