米中間選挙、関税、AI…スイスのメディアが報じた米国のニュース
スイスのメディアが22日までの1週間に報じた米国関連ニュースから、11月の米中間選挙を巡る動き、関税政策、人工知能(AI)の3件を要約してお届けします。
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11月の米中間選挙では、連邦議会の下院と上院の勢力図が変わり、ドナルド・トランプ大統領に不利な結果となる可能性がある。スイスの主要紙は、トランプ氏が選挙を公正に戦うつもりはない、とみている。
トランプ氏は17日、国民向けの演説を行い、自身がジョー・バイデン氏に敗れた2020年の大統領選に中国が介入したと主張した。また、アメリカの投票システムは極めて脆弱だとも述べた。
11月の中間選挙で民主党による多数派奪還の可能性が高まるなか、ドイツ語圏のスイス公共放送SRFは、トランプ氏が再び選挙の混乱に備えた地ならしを進めている可能性があるとみている。
SRFの米国特派員アンドレア・クリステン氏は、「就任から約6年が経過した今も、トランプ氏は2020年選挙で不正に敗れたという考えにこだわっている。むしろ執着している」と指摘する。
さらに、「不正選挙を信じる支持層を中間選挙に向けて結集させる狙いもあるのかもしれない。あるいは、秋の選挙に政府が介入する口実を作ろうとしているのかもしれない。例えば、投票機器を押収するといった措置だ」と分析した。
一方、独ライプニッツ大学ハノーファー校名誉教授で政治学者のクリスティアーネ・レムケ氏は、別のSRFのインタビュー記事で、演説は「秋の選挙で敗北した場合を見据えた戦略的な準備だ」との見方を示した。
「選挙後、共和党の成績が振るわなかった理由を説明する必要が生じる。その際、『外国からの介入』や『選挙操作』という説明が用いられる可能性は十分にある」と語った。
米政府が20日、カナダからの幅広い輸入品に50%の関税を課すと発表し、スイスでも懸念を呼んでいる。スイスは現在、米国との間で可能な限り有利な通商協定を結ぼうと交渉を続けているためだ。
スイス・ドイツ語圏の日刊紙NZZは、「トランプ政権下では、米企業も海外の貿易相手国も、関税を巡る法的な確実性を得られないことを示している」と指摘した。
「スイスは、次の関税措置が発動される際、この点を肝に銘じなければならない。『合意』が最終的な決着だと思い込んではならない」
同紙は、予測不能な米国の通商政策が、どの国の交渉担当者にとっても大きな障害になっていると懸念する。また、中間選挙で民主党が勢いを取り戻せば状況が改善するとの期待も、現実的ではないとみている。
NZZは「スイスはもう一つの幻想も捨てるべきだ。秋の中間選挙がトランプ氏の通商政策を穏健化させると期待してはならない」と論じる。「第1次トランプ政権で導入された対中関税が、政権交代後も維持された。ジョー・バイデン前大統領はこれを撤廃せず、現在もなお有効だ」
人工知能(AI)が人間の制御を離れ、自律的に問題を引き起こすのは時間の問題ー一専門家の一部はそう警告している。
ChatGPTを開発したオープンAIは、高度なAIモデルが安全性テスト中、自らの判断で人気のオープンソース開発プラットフォーム「Hugging Face」にハッキングを試みたことを認めた。
この動きは、AI開発に携わる専門家の間で以前から指摘されてきた「自らが生み出した技術が人類への脅威になり得る」という懸念を裏付けるもののように映る。フランス語圏のスイス公共放送RTSは「人工知能分野の第一線の研究者たちが、自らの研究分野の行方についてこれほど強い懸念を公に示したことはかつてなかった」と報じた。
さらに、「人類が自ら創り出した人工知能に、いつの日か能力で追い越されるのではないかという問いは、もはやSFや哲学だけのテーマではなくなった」と指摘している。
一方、スイス・フランス語圏の日刊紙ル・タンは、米国は自国のAIを制御しきれなくなるだけでなく、AI覇権そのものを中国に奪われる瀬戸際にあると論じる。
同紙は「中国のオープンソースAIは、常に最高性能のモデルを生み出すからではなく、何千もの企業が自社ツールを構築する土台となることで世界のAI市場を席巻する可能性がある」と分析する。
「米国は半導体、処理能力、一部の最先端モデルでは優位を保っている。しかし、中国はもう一つの重要な戦い、すなわち規格化、普及、影響力の面で勝利を収める可能性がある」
英語からの翻訳・校正:大野瑠衣子
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