スイスの管理体制に穴? 肥料や輸入食品から基準値を超えるカドミウム
フランス当局が食品に高濃度のカドミウムが含まれていたと発表したことを受け、重金属への懸念が再び高まっている。スイス当局のコメントどおり、消費者の安全は確保されているのだろうか?
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カドミウムが再び話題だ。スイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプルングリのダークチョコレートを含むチョコレートから許容レベルを超えるカドミウムが検出されたのは約3年前。今再び、食品に含まれるカドミウムに対し警鐘が鳴らされている。
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フランス当局は、高濃度の重金属を含む肥料を使って栽培された穀物の摂取にはカドミウム曝露のリスクがあると訴えている。フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が今年3月に公表した分析によると、フランス国民のほぼ2人に1人が基準値を超えるカドミウムに曝露している。カドミウムには腎不全、骨の脱灰、がんなどを引き起こすリスクがある。
ANSESはカドミウムのさまざまな曝露源・曝露経路をまとめ、カドミウムが生涯にわたり体内に蓄積されることを考慮した上で、フランス在住者の現在のカドミウム汚染レベルをシミュレートすることに成功した。その結果、人口の大部分がANSESが定めた基準値を超えるカドミウムに曝露していることが判明した。突出した曝露源であり、非喫煙者のカドミウム汚染源の98%を占めるのは食品だった。
ANSESは「カドミウムへの曝露は、カドミウムに汚染されている食品を日常的に摂取することで引き起こされる」とし、「特に特定の穀物製品(朝食用シリアル、パンおよび乾燥パン製品、クロワッサン、パイ、タルトなどの焼き菓子、ケーキ、ビスケット、パスタ、米、小麦)、イモ類、特定の野菜」に注意するよう呼びかけている。
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カドミウムが消費者の体内に蓄積されるのは、バイオモニタリング調査の結果からも明らかだ。ANSESによると、フランスの成人の47.6%は尿中のカドミウム濃度が安全基準値を超えていた。これに対し、スイス健康研究パイロットフェーズ(SHeS-pilot)の血液検査で基準値を超えたのはわずか3.1%だった。対象を非喫煙者に絞ると、この割合は0.3%まで下がり、喫煙がカドミウム摂取に及ぼす影響の大きさが浮き彫りとなった。
尿検査は長期的な曝露状況の有力な指標となるのに対し、血液検査では直近の曝露量しか判定できないため、フランスとスイスの調査結果は必ずしも比較可能とは言い難い。しかしスイス当局は依然として、スイス住民のほうがより良い状況にあると自負している。
連邦内務省保健庁(BAG/OFSP)の担当者はスイスインフォに対し、「入手可能なデータを基に国際比較すると、スイス住民はフランス住民よりも概してカドミウム曝露が少ない」とコメントした。
スイス独自の厳格な基準が奏功したか?
ANSESは、北アフリカなどのカドミウム濃度が高い地域原産のリン酸肥料を農地へ多用することで、食品のカドミウム濃度が高くなると分析している。欧州連合(EU)の対策状況とスイスの土壌への影響についてまとめた。
EUがリン酸肥料中のカドミウム含有量に制限を設けたのは2019年。五酸化リン(P₂O₅)1kg当たりのカドミウム含有量の上限を60mgとし、2022年7月に規制を施行した。フランスはEUのガイドラインに従いつつも、国内の流通規制はEUの基準よりも緩く、肥料1kg当たりのカドミウム含有量の上限を90mgとしている。
フランスとは対照的に、スイスは欧州全域で最も早い1986年から、P₂O₅ 1kg当たりのカドミウムの上限を21mgとする厳しい基準を採用していた。早期からこのように対策を講じたことが功を奏したためか、スイスの土壌中のカドミニウム濃度は国連食糧農業機関(FAO)が定める乾燥土壌1kg当たりのカドミウム含有量1mgという安全基準値を超えていない。
万全ではない管理体制
土壌中のカドミニウム濃度が低いからといって、スイス住民にカドミウム曝露のリスクがないわけではない。現在の管理体制には穴があるからだ。2021年にベルン州が公表した検査結果を例に挙げると、肥料製品の6分の1に法的許容レベルを超えるカドミウムが含まれていた。
スイスの輸入食品への依存度の高さも懸念材料だ。スイス住民は摂取カロリーの半分を輸入品に頼っている。穀物などのカドミウムリスクが高い製品は、輸入品の割合が特に多い。
しかもフランスは2025年のスイスの穀物輸入における最大の相手国であり、全穀物輸入のうち36%を占める供給国だ。パン、ペストリー、ケーキ、ビスケット、パスタなど、カドミウムリスクの高い穀物製品の輸入に関しても、ドイツ、イタリアに次いでフランスは第三の相手国であり、輸入シェアの10%を占めている。「欧州ヒト・バイオモニタリング・プロジェクト(HBM4EU)」のアライメント調査の結果、各国住民の尿中カドミウム濃度が安全基準値の1μg/Lを超えた割合はポーランド(33%)、フランス(43%)、ドイツ(36%)などの国で高く、デンマークは1.4%、チェコ共和国は8.7%に留まった。
スイスの法令は食品中のカドミウムの最大含有量をベビーフードで0.02mg/kg、海藻を含むサプリメントでは3mg/kgと定めている。しかし実際には、食品業界の自主規制と当局による抜き取り検査しか行われていない。
連邦内務省食品安全・獣医局(BLV/OSAV)の広報担当者は、スイスインフォに対し次のように説明した。「検査は州化学者の指示の下、各州の執行当局が実施している。当局は食品業界が責務を果たしていることを確認するとともに、リスクベースの抜き取り検査を公式に実施している」
こうした検査には輸入業者、小売業者、飲食店に対する定期的な市場監視や、魚介類、穀物、ベリー類などカドミウム含有量の多い食品を対象とした重点的モニタリングも含まれる。過去5年間にカドミウム含有量の超過を原因としてスイスで起きたリコールは、2025年10月のセルビア産冷凍ラズベリーと、2026年3月のポルトガル産冷凍イカの2件のみだった。
編集:Virginie Mangin/sb、英語からの翻訳:鈴木寿枝、校正:宇田薫
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