スイスの視点を10言語で

世界から旅人が集まるスイスの「崖っぷちホテル」  新しい経営者を募集

アルプシュタインのゲストハウス「Äscher-Wildkirchli」
アルプシュタインのゲストハウス「Äscher-Wildkirchli」 Keystone

スイス北東部アッペンツェル・インナーローデン準州の切り立った崖に立つゲストハウス「Äscher-Wildkirchli」が、新しい経営者の募集手続きを始めた。

 経営者のベルンハルト・クネヒテル・フリッチェさんと妻の二コールさんは、2018年夏の観光シーズンを最後に、アッペンツェル・インナーローデン準州アルプシュタインにあるゲストハウス「Äscher-Wildkirchli外部リンク」の経営権を手放す。

決してアクセスの良い場所ではない
決してアクセスの良い場所ではない Keystone

 「Äscher-Wildkirchli外部リンク」はスイスドイツ語で「エッシャーの野外教会」という意味。スイスで最も古いゲストハウスの一つで、1800年に放浪者や農家が峠越えの旅人に飲み物や食べ物を売ったのが始まり。19世紀初めにゲストハウスに変わり、1987年からクネヒテル・フリッチェさんの両親が経営していた。2014年5月に息子のベルンハルトさんと妻の二コールさんが引き継いだ。

 夫婦は地元メディアの取材に対し、標高1450メートルの崖際に立っている建物の改装工事をするには制限が多く、対応しきれなくなったと理由を述べた。スペースが足りず、水や電気の供給も限られているため、たびたびホテルの運営に支障が生じていた。またトイレも古びているという。

ゲストハウスのテラス
高まる人気がかえって仇となった Keystone

 ゲストハウスは2015年、ナショナルジオグラフィック監修の世界の名所を紹介する本「Destinations of a Lifetime: 225 of the world’s most amazing places(仮訳:生涯に一度は訪れたい 世界の名所225選)」で紹介され、本の表紙にも写真が採用された。

ゲストハウスのSt. Martins教会。1621年に建てられた
ゲストハウスのSt. Martins教会。1621年に建てられた Keystone

 ナショナルジオフラフィックの本で紹介されたことがさらに人気を押し上げ予約が殺到。1年先しか予約が取れない状態になり、観光客が多く訪れる有名スポットとなった。

 アッペンツェル・インナーローデン準州の州政府は20日、ゲストハウスの人気は過去30年間にわたり全く衰えず、スイス国内外から多くの客が訪れたと話した。

おすすめの記事

おすすめの記事

スイスのちょっと変わった家15軒

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの一般的な住宅事情は、3人に2人が借家住まいで、住宅の57.4%が一戸建て住宅、共同住宅の世帯数は平均5~6戸だ。しかし例外はある。スイスで一風変わった15軒の住まいを紹介する。

もっと読む スイスのちょっと変わった家15軒

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
ポイ捨てされた空き缶と小鳥

おすすめの記事

スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。

もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
鉄道の時刻表

おすすめの記事

スイス国鉄、夜間列車を増発

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB/CFF)は27日、新ダイヤを発表した。長距離・地域間の夜行列車が増える。12月15日に発効する。

もっと読む スイス国鉄、夜間列車を増発
ロレックスの本社ロゴ

おすすめの記事

2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート

このコンテンツが公開されたのは、 高級品市場は中国での需要減退により、2025年は米国が成長のエンジンとなる――スイスの銀行UBSが25日発表したレポートでこんな見通しを示した。

もっと読む 2025年の高級品市場、米国が牽引役に UBSレポート
兵士

おすすめの記事

スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。

もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
取材に応えるナグラのマティアス・ブラウンCEO

おすすめの記事

核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」 

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画をめぐり、計画主である放射性廃棄物管理協同組合NAGRA(ナグラ)は、国民投票による決着を歓迎する姿勢を示す。

もっと読む 核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」 

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部