スイス上院がUBSの自己資本規制強化を可決、その意味とは
銀行大手UBSをめぐる綱引きが23日、スイス上院(全州議会)で一つの決定に至った。UBSは今後、海外子会社をより多くの自己資本で支えることを求められる。
おすすめの記事
ニュースレターへの登録
スイス上院は何を決めたのか
UBSは現在よりも大幅に自己資本を強化しなければならない。具体的には、海外子会社に対して90%の「硬い自己資本」で支えることを求められる。この決定は数カ月にわたる議論の末に下された。投票結果は賛成29票、反対16票だった。
これは何を意味するのか
UBSにとって、これは資本金の倍増を意味する。現在、海外子会社に適用されている中核資本は45%だ。UBSには、追加資本を調達する複数の選択肢がある。新株発行、利益の内部留保、あるいは子会社の規模縮小などが含まれる。
この結果を歓迎しているのは?
カリン・ケラー・ズッター財務相は、おおむね満足しているとみられる。
連邦政府が提示した最も厳しい案が採用されたわけではない。しかし、全州議会の経済委員会が推奨していた、かなり緩やかな代替案も採用されなかった。
採決を前に、カリン・ケラー・ズッター氏は全州議会でこう述べた。「2008年の金融危機後にすでに犯した過ちを、繰り返すべきではない」
おすすめの記事
UBSの牙を抜かずに飼いならすには?
自身が提案した100%案については、すでに妥協案だと説明していた。そのうえで、「最終的には」90%案を支持するよう求めた。
却下された案とは?
全州議会には3つの案が提示されていた。
海外子会社を100%、中核資本で支える案、90%を中核資本で支える案、そして50対50の案である。
3番目の案では、残りの50%をAT1債で補うことになっていた。
AT1債は、危機が発生した場合、あらかじめ定められた基準に達すると、自己資本に転換されたり、場合によっては元本が削減されたりすることがある。これによって銀行を安定させることができる。
UBSの反応は?
UBSにとって、この決定は敗北だ。同行は声明で、「今回の政治的な結果は妥協ではなく、クレディ・スイスの破綻につながった本当の原因にも対処していない」と述べている。
また、今回の案が実施された場合、UBSは約160億ドルの追加の硬い自己資本を保有しなければならないとしている。
UBSのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)はここ数カ月、連邦政府案に自ら反対してきた。直近では22日、ケラー・ズッター財務相と同じ「スイス・ファイナンス・フォーラム」に出席。現在の規制で十分に強いとの考えを示した。
さらに、感情にも訴えた。「われわれはスイスにとってのリスクだけではない。われわれについてそのように語るのは、敬意を欠いている」
おすすめの記事
モンスター銀行UBSがスイスを襲う?
UBSは今、財務上の問題を抱えているのか?
UBSは自己資本の積み増しに対応できる。同行は昨年78億ドルの利益を上げ、2026年上半期にはさらに58億ドルの利益を計上した。利益を内部留保し、配当を支払わなければ、自己資本の積み増しは比較的早く完了する。
UBSが懸念しているのは、競争力だ。規制強化により株主から見放されることを恐れている。
今後どうなるのか?
全州議会に続き、国民議会(下院)がこの案を審議する。審議は早くても12月になる。
また、反対派がレファレンダム(国民表決)を起こす可能性もある。
このため、新しいルールが仮に施行されるまでには、数カ月から数年かかる可能性がある。
英語からの翻訳・校正:宇田薫
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。