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インスタント麺、屋久島、草間彌生…スイスのメディアが報じた日本のニュース

草間彌生氏死去のニュースはスイスでも大きく報じられた
草間彌生氏死去のニュースはスイスでも大きく報じられた keystone

スイスで25日から31日までに報じられた日本のニュースから、今回はインスタント麺、屋久島、草間彌生氏の3本を要約してお届けします。

草間彌生氏の訃報はスイスでも大きく報じられ、その世界的な存在感を改めて印象づけました。スイスでは2025年にバーゼルで大規模な回顧展が開催され、多くの人々がその圧倒的な世界観に酔いしれました。彼女が遺したいくつもの作品たちは、スイスの人々の心にも消えない光として残り続けるに違いありません。

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気候変動と防災が生んだ「冷やし即席麺」

日清食品が7月、冷水専用の新しいインスタント麺「冷しカップヌードル」を発売し、わずか数日で完売する大ヒットを記録しました。スイス・ドイツ語圏の日刊紙NZZは、これが単なる一過性のヒット商品にとどまらず、気候変動、そして防災意識と深く結びついたイノベーションだと伝えています。

同紙は現在もなお業界のトップを走る日清食品の強さについて、1971年に調理器具の要らない世界初のカップヌードルを開発するなど「革新的なアイデアとフレーバーによって競合他社を寄せ付けない」と紹介。過去数十年にわたり既存の枠組みを壊し続けてきた同社の姿勢が、今回の冷水技術という新たなイノベーションの土台にあると分析しています。

さらに記事は、この新商品が爆発的に受け入れられた背景について、連日40℃を超える「極暑日(Kokushobi)」が続いた日本の厳しい夏があったと指摘します。また、この画期的な商品は若者たちのデジタル文化をも刺激し「インフルエンサーたちはインスタグラムやTikTokで、カップヌードルに豆乳やお茶などを注いで試すことを面白がっている」と紹介しました。

最後に同紙は、この技術が持つもう一つの重要な側面に光を当てました。お湯を必要としない即席麺は災害時の非常食として極めて有効であり、「定期的に大地震に見舞われるこの島国において、極めて説得力のある論拠となる」と結んでいます。

スイス学者が見た屋久島、欧州が学べることとは

スイスを代表する森林科学者で映画監督でもあるエルンスト・ツュルヒャー氏が、屋久島を舞台にした新作ドキュメンタリー映画「姫の森ーー見えるものと見えないものの間(仮題)」を制作し、スイス・フランス語圏の日刊紙ル・タンのインタビューに応じました。同氏は、数千年の歴史を紡ぐ縄文杉や豊かな原生林が放つ圧倒的な生命力に感銘を受けたと語り、気候変動による環境崩壊が叫ばれる現代において、私たちが地球との調和を取り戻すための手がかりが見出せるのではないかと論じています。ツュルヒャー氏は、屋久島に足を踏み入れた瞬間に「人間によって植えられた、比較的退屈な森林とは全くの別物だ。退屈というのは、その森自体が退屈しているからだ。そこには異なる植物種の間、あるいは植物と動物の間の相互作用がもう存在しない。だが、屋久島はまさに『エネルギーがフル充電されたバッテリー』のような場所だ」と自信の感銘を表現しました。

その一方で、縄文杉の最も古い中心部については保護のため未調査であり、正確な樹齢は現在も解明されていないことについて「科学者としてであっても、私たちはその謎(エニグマ)を受け入れるのだ」と語り、解明を急ぐのではなく、木に触れずにその神秘を尊重する姿勢を示しています。

ツュルヒャー氏は、地球規模の環境危機に対し「私たちは今、引き返せない限界点(ポイント・オブ・ノーリターン)の瀬戸際にいる」と強い危機感を表しました。同氏は、周囲の森林伐採によって毒化した海を、植林活動によって蘇らせた日本の牡蠣養殖業者の事例を挙げ、「政府が単独で対処してくれるのを待つことなく、これからは草の根から行動を起こさなければならない」と強調しました。

さらに同氏は、近年の猛暑で頻発する欧州の森林火災の背景に、人間の都合で造られた人工林の構造的欠陥があると分析します。欧州では、本来は自然発火しない広葉樹の原生林を切り開き、乾燥しやすい針葉樹の単一林へと変貌させてきました。この人為的な改変は高温乾燥期に火花一つで燃え広がる「時限爆弾」と化しただけでなく、森林を脆弱にした、と同氏は説きます。それを克服するには針葉樹に十分な割合の広葉樹を混ぜた「混交林」へと戻し、野生のスペースを再生していくべきだと呼びかけています。

草間彌生死去、スイス紙がたどる創作と人生

世界的な前衛芸術家である草間彌生の訃報はスイス全国で報じられ、各メディアはそれぞれの切り口から、彼女の特異な生涯と遺された芸術の本質に迫りました。

スイス・ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー(TA)は、かつて保守的な日本社会が彼女の急進的な表現を「恥」として受け入れなかった一方で「世界の残りの国々はすでに彼女の足元にひれ伏していた」として、草間の芸術の偉大さを表現しました。渡米後のニューヨークなどで先駆的な表現を展開した草間は、米国のアート界にこそ名を広めたものの、当時の保守的な日本で「富や敬意をもたらすには至らなかった」と振り返りました。

NZZは、「芸術は草間彌生にとって命を救うものだった」とし、彼女の創作活動が極めて個人的な精神の救済システムだったと分析しました。同紙は草間氏の幼少期のトラウマや精神科病院に自ら入所した過去に触れ、「通常、芸術家は自らのコンプレックスについて語らないが、私はコンプレックスや不安を芸術作品の対象にしている」という本人の言葉を引用し、草間が「自らの不安を芸術へと昇華させた」プロセスを論じました。そして「現実世界を点(ドット)で覆い、そのようにして粉砕しようとする草間の強迫観念は、彼女の『自己消滅の哲学』に特徴づけられている」と分析しています。

スイス・ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は、現代のデジタル社会と草間の作品の親和性に着目しました。草間について「ソーシャルメディアにこれほど適した存在は、アート界に他にいなかった」と評し、没入型インスタレーションや水玉模様が世界中の観客を惹きつけたと紹介しました。。また、ルイ・ヴィトンなど高級ブランドとのコラボレーションに見る彼女の「ビジネスセンス」を例に、商業的成功にも光を当てました。

フランス語圏の公共放送RTSやイタリア語圏のRSIも大きく報じ、幼少期からの幻覚体験を創作の原動力へと転換した芸術家として、その国際的な功績を振り返りました。

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校閲:上原亜紀子

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