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カルビー、貴族、チーズ修行… スイスのメディアが報じた日本のニュース

ポテトチップスのパッケージ
AP Photo/Eugene Hoshiko

スイスの主要報道機関が5月20日~26日に伝えた日本関連のニュースから、①カルビーの白黒印刷が映す危機意識②最もスイス的な日本の貴族③日本人チーズ職人がスイスで修行、の3件を要約して紹介します。

スイスでは、ホルムズ海峡が実質封鎖されるとほぼ同時にガソリンやディーゼル価格が上がり始めました。一部政党はガソリン減税を主張していますが、政府は「価格は市場で調整されるべき」との立場を崩していません。なんでも時間をかけて決めるスイスなので、減税・補助金が決まるころには中東紛争も終わっているかもしれません。

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カルビーの白黒印刷が映す危機意識

食品大手のカルビーが12日、インク不足を理由に、主力商品14種類のパッケージをカラフルなデザインから銀と黒を基調としたシンプルなものに変更すると発表外部リンクしました。ドイツ語圏の大手紙NZZは、カルビーの発表は「イランとの戦争が日本の供給状況をどの程度脅かすのかについて、日本国内で議論を巻き起こした」と伝えています。

記事は、日本が原油の95%を湾岸地域に依存していることを説明し、イラン戦争は本来であれば深刻な危機を引き起こしているはずだと示唆します。政府が危機を過小評価しようとする中で、ポテトチップスという日常品のパッケージ変更という一企業の決断が、戦争の影響をめぐる国民的議論の引き金になったと位置付けました。

NZZによると、高市早苗首相は「供給は十分」と強調し、巨額の補助金でガソリン価格を支えています。こうした中、カルビーがパッケージ変更に踏み切ったことで、「同社はたちまち政府と対立することになった」。官邸幹部が「売名行為だろう」と述べたとする朝日新聞の報道外部リンクを引用しました。

こうした対立において、NZZは政府の対応をやや批判的にみています。高市首相が就任時に「高額な経済刺激策を控える」と表明していたにもかかわらず、ガソリン補助金維持のために補正予算を組む意向を示していることについて「税金の無駄遣いだと経済学者は批判し、金融市場では高市首相の財政支出増加によって高債務国の安定性を危険にさらしているという懸念が高まっている」と報じました。

また同紙は、日本と韓国のリーダーシップの違いにも触れました。韓国の李在明大統領が戦時体制的な資源管理の可能性まで言及していることを紹介し、「韓国の大統領は、公然とした危機意識をリーダーシップの強さと見なしている」と位置付けました。危機への不安を抑え込もうとする日本と、現実を直視する韓国という対比は、日本の危機管理の在り方への根本的な問いかけとなっています。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)

最もスイス的な日本の貴族

「最もスイス的な日本の貴族」――平安時代の貴族・近衛家の第33代当主、近衛忠大氏(55)は、幼少期と青年期をジュネーブで過ごしました。スイス・フランス語圏の週刊誌リリュストレがこの「最もスイス的な日本の貴族」にインタビューした記事が、無料紙ブリックに転載されています。

「私の最も古い記憶はジュネーブにあります」。近衛氏は父・忠煇氏が国際赤十字・赤新月社連盟の本部に赴任したため、2歳でジュネーブに移住し、プティ・サコネ地区のビュデ公園近くで幼少期を過ごしました。「果物や野菜を買っていたビュデ農園を覚えています。一番印象に残っているのは、秋の落ち葉や、プティ・サコネ広場のパン屋さんで買った大好きなチーズケーキなど、公園の香りや光、雰囲気です」

5歳でいったん帰国したものの、11歳で再びジュネーブへ。入学したインターナショナルスクールでは、英語に苦労したといいます。「学部長は美術の先生でした。彼女は私が英語に苦労している一方で、絵を描く才能があることに気づいて、励ましてくれました」。学校の広報資料のイラストを依頼されるなどの経験は、近衛氏が現在クリエイティブ・ディレクターを務める広告代理店キュリオスイッチでの仕事にも活きているといいます。

ジュネーブ時代の最も大切な思い出はジュネーブ国際モーターショーだといいます。1984年にはホンダがF1に、マツダがル・マン24時間レースに初参加し、華々しいデビューを飾っていました。日々の生活では「戦後もなおアジア人に対する差別意識が根強く残っている」ことを痛感していただけに、「モータースポーツでのこれらの成功は、私たちに誇りを与え、差別に立ち向かう勇気を与えてくれました」と近衛氏は語ります。

記事によると、15歳で本帰国となったときは、「ジュネーブでの生活に愛着を感じていた近衛氏は、両親にスイスで暮らすことを許してほしいと説得を試みた」。しかし両親の同意は得られず、最後の数カ月は「少し反抗的になり、授業には出ず、街を歩き回ってあらゆるものを見て、記憶に刻み込もうとしました」。その後は出張や休暇でスイスに短期間滞在するだけですが、「ジュネーブを今でも大切にしている」と記事は伝えました。(出典:ブリック外部リンク/フランス語)

日本人チーズ職人がスイスで修行

北海道でチーズ工房「TAKAra(タカラ)外部リンク」を営む斉藤愛三さん(44)が、ラクレットチーズの製造技術を磨くためスイス南西部ヴァレー州で数週間の研修を行いました。スイス・フランス語圏の日刊紙ル・ヌーヴェリストは、研修の様子を詳しく取材し、日本とスイスの共通点などを伝えています。

「私は技術を学ぶためだけに来たのではありません。土地とともに生きる方法も学びたかった」。斉藤さんは同紙に、研修の目的をこう語りました。ヴァル・ディリエの農場で2週間、シャトーヌフの農業学校付属チーズ工房で4日間を過ごし、スイス各地を訪問してモン・ドールの木製ベルトなども視察したといいます。

斉藤さんはまた、「私がヴァレー州に来たのは、ヴァレー州の人々の情熱を学ぶためです。私は生き方と、チーズの背後にある思想を学びました。私も北海道で、100年後も存在できる農業とチーズを築きたい」と語っています。単なる技術移転ではなく、持続可能な地域文化の継承という視点を映し出しています。

記事は斉藤さんの言葉を借り、日本とスイスの類似性についても紹介しました。「北海道は寒冷で雪深い土地で、ヴァレー州に少し似ています。冬は厳しい。だからこそ住民は自然とともに生き、自然を尊重することを学ぶのです」。両地域の気候的・文化的共通点が、チーズ作りの哲学にも通じていると説明しました。

一方で、斉藤さんはヴァレー州のチーズ作りをそのまま踏襲したいわけではありません。「アルプスの石灰質の土壌と北海道の黒い火山性土壌は違います。草も水も空気も異なり、牛の品種も異なる。だからチーズも異なる」からです。

真似したいのはヴァレー流の「チーズの削り方」と「働き方」だといいます。「ここヴァレーでは、仕事のやり方がとても柔軟で、それが本当に気に入りました」。2027年10月にモルジャンで開かれる次回ラクレット世界選手権に出場するため、再びヴァレー州を訪れる予定です。(出典:ル・ヌーヴェリスト外部リンク/フランス語)

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