夏のオリンピック、スイス代表団はこじんまりと
北京オリンピック開幕を間近に控え、スイスオリンピック委員会はスイス代表団の最終メンバーを発表した。
スイスを代表する選手団は総勢82人。中でもメダルを期待されているのは、タイムトライアルを得意とする自転車のファビアン・カンチェラーラ、マラソンのヴィクトル・ロスリン、水泳のフラヴィア・リガモンティ、テニススターのロジャー・フェデラー、そして柔道のセルゲイ・アシュヴァンデンの5人だ。
健康問題
スイスの代表選手はそのほか、陸上、バドミントン、障害馬術、セーリング、テコンドー、トライアスロンなど合わせて17競技に出場する。今回の代表団は1976年のモントリオール大会以来最小のチームだ。
各選手にはスイスオリンピック ( Swiss Olympic ) から特別な備品が手渡された。大気汚染から身を守るマスクや下痢を抑えるワクチンなども含まれている。代表団のチーフ医師を務めるベアト・フィリガー氏は、
「まずまずの環境で試合に臨めるとよいのですが」
と少々心配そうだ。
フィリガー氏は、中国が2割削減を約束したにもかかわらず、空中のオゾンや微粒子の濃度がまだまだ高いことを懸念している。
「公式の計測局すらまだ作られていない状態です」
そのためスイスは、アメリカ代表団と共同で民間の測定ネットワークを利用することにした。
また、薬品や食品を扱う企業とも特別な契約を結び、スイスの選手にできる限りのメディカルケアを施せるように配慮した。フィリガー氏によると、中国では選手の5人に2人が胃に問題を起こすと予想されているのだ。
小さくとも望みは多し
30年以上前にカナダで開かれたモントリオール大会には、わずか57人の選手を送るだけにとどまった。今回はそれに次ぐ小さな代表団だ。最も多くメダルを獲得した最近の夏のオリンピックは、8年前にオーストラリアで開催されたシドニー大会。スイス代表団はこのとき、合計9個のメダルと18の入賞を持ち帰った。
1996年のアトランタ大会でも、スイスは金が4個に銀が3個と大健闘した。北京オリンピック代表団の指揮を取るヴェルナー・アウグスブルガー氏は、選手たちにプレッシャーをかけるつもりはないと言う。
「目標は4年前のアテネと同じくらいの成績を残すこと。金メダル1個を含むメダル5個です」
そして、毎日のようにメダルを期待するのは非現実的だと付け加える。
「選手がそれぞれの自己ベストを更新することができれば非常に満足」
パラリンピック
8月24日のオリンピック閉幕の2週間後、スイスからは再び18人の選手が北京を訪れる。身体障害、精神障害、そして感覚障害を持つ選手の国際スポーツ大会「パラリンピック ( Paralympic ) 」に出場するためだ。
パラリンピックには144カ国からおよそ4000人が20競技に参加。430個近いメダルが準備されている。スイスが参加する競技は、アーチェリー、陸上、自転車、射撃、水泳、車椅子テニスの6つだ。スイス代表団を率いるルエディ・シュピッツリ氏は、合計11個のメダルを獲得できると期待している。これは4年前のアテネ大会で得たメダルの数よりも5個少ない。
「わたしたちはこの目標を必ず達成できると信じています。アテネでメダルを取った選手が今回も8人参加するのですから」
期待されている選手の中には、すでに7つの金メダルを獲得している走幅跳のウルス・コリーや車椅子走者のエディット・フンケラー、そして同じく車椅子走者のハインツ・フライなどの選手がいる。
swissinfo、外電
夏季オリンピック北京大会は8月8日から24日まで開催される。
28競技、302種目で1万人以上の選手が能力を競う。
パラリンピックの開催は9月6日から17日まで。
スイスオリンピック ( Swiss Olympic ) はスイスのオリンピック委員会であり、各分野のスポーツの上部組織である。
スイスオリンピックには「航空クラブ」から「武術協会」に至る82の協会が属している。
スイスオリンピックは2万2600のスポーツクラブに属するおよそ280万人を間接的に代表している。
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