心配事バロメーター
好景気に後押しされ、スイス人の幸福度は近年になく高い。心配事として挙げられるのは相変わらず失業、老後の蓄え、健康問題だという。大手銀行クレディ・スイス ( Credit Suisse ) が、1976年から毎年行っている「心配事バロメーター」の調査で分かった。
スイス人が心配だと思う項目で今年上昇したのは、環境問題と暴力だ。暴力は外国人と関連付けて見られているという。
2.6%という低い失業率にもかかわらず、イタリア語圏のスイスでは7割、ドイツ語圏では5割が、失業を心配事項として挙げた。調査に答えた人たちは、自分が失業することへの不安を持ち、失業が社会に対する脅威の原因であると見ている。
心配事は少なくなった
失業の次に来るのは老後の蓄えと健康問題だが、心配度は一般に前年より低い。理由は景気の上昇にあると見られる。
経済に対しては、楽観する人が多くなっている。個人の経済状態を「大変良い」と答えた人は昨年の8%から15%に上昇 、「良い」と答えた人は44%と昨年とほぼ同じだった。また、「悪い」と答えた人は、昨年とほぼ同じで7%だった。32%の人が経済状態が良くなったと答え、答えた人の3分の1が、今後12カ月間で状況は好転すると見ており、悪化すると答えた人は11%にとどまった。
心配事のバロメーターとして高かったのは、環境汚染と生活の安全だ。外国人や難民といった項目も昨年同様、それぞれ4位と6位と高い位置にランキングされた。以前はランキングが高かった麻薬、テロ、欧州連合 ( EU ) といった項目は大幅に下がった。
信頼度
スイス国民は官僚と銀行に高い信頼を寄せている。裁判所、連邦議会、行政についても、その信頼度は昨年並み、もしくはより高くなった。国民がもっとも信頼を寄せているのは連邦裁判所 ( 66% ) で、警察 ( 63% ) 、銀行 ( 60%) と続く。内閣に対する信頼度は51%で、全州議会に対しては47%。一方、不信感が高いのはEU ( 26% ) 、マスコミ ( 32% ) 、政党 ( 34% ) 、国際連合 ( UNO ) ( 36% ) だった。
また、スイス人であることに誇りを持っている人は約90%にも上った。まったく、もしくは、あまり誇りに思わないと答えた人は12%で、昨年の22%から大幅に減少した。
swissinfo、外電
1976年からクレディ・スイスが行ってきた心配バロメーター
2007年の不安項目
失業 57%
老後の蓄え 45%
健康問題 38%
外国人 35%
生活の安全 30%
難民 26%
環境汚染 25%
JTI基準に準拠
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