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デルポンテ主任検察官がルワンダ法廷から退官

デルポンテ氏、兼任を主張したがルワンダは失う Keystone

国連安全保障理事会は、ルワンダの戦犯法廷主任検査官に新しく、ハッサン・ブバカ・ジャロ氏を任命した。これにより、スイス人のカルラ・デルポンテ氏はルワンダ法廷を退任し、旧ユーゴスラビア法廷の主任検察官に専念することになった。ユーゴスラビア戦争、ルワンダ大殺戮などで国際人道法に違反した戦争犯罪人を裁く裁判所として国連は、国際犯罪特別法廷(戦犯法廷)が設置され、現在も戦犯裁判が行われている。

麻薬やマネーロンダリングの犯人の追及では冷酷で妥協を許さないことから恨みを買うことも多く、連邦検事官長として活躍した時代から「最もボディーガードが必要なスイス人」として有名なデルポンテ氏はルワンダのほか、旧ユーゴスラビアの戦犯法廷の主任検査官として兼任していた。二つの法廷を担当しつづけることを希望していたが、希望はかなえられなかった。

旧ユーゴスラビア戦犯法廷(オランダのハーク)とルワンダの戦犯法廷(タンザニアのアルーシャ)の主任検査官を務めたカルラ・デルポンテ氏だが、9月15日付けでルワンダ法廷は退任することになった。4年の任期終了に際し、後任の任命が安全保障理事会で検討されていたところ、同氏はこれまでどおり2つの法廷の主任検査官の再任を希望していた。

しかし、コフィ・アナン国連事務総長は7月、安全保障理事会に対し、兼任には反対で、旧ユーゴスラビアの主任検査官の任期の4年の延長のみを推薦していた。28日、国連安全保障理事会では全員一致で、ルワンダの主任検査官にガンビアの元司法大臣ハッサン・ブバカ・ジャロ氏を任命した。 

やはり多少は落胆 

「カルラ・デルポンテ氏は多少がっかりしているが、安保理の決定は受け入れる」とフローレンス・ハルトマン報道官はデルポンテ氏の現在の心境を代弁した。
「同氏は、ほっとしているという部分もある。国連の決議は主任検査官の権限を認める内容で、主権が侵されなかった」
とハルトマン報道官。デルポンテ氏のアドバイザーであるドミニック・レモン氏は、
「安保理の決議の評価される点は、たとえば各国が、戦犯の身柄引き渡しに努力し、法廷と協力するよう呼びかけたこと」
と語った。しかし、デルポンテ氏とその部下たちは今回の決議に落胆していると、レモン氏は明かした。

ルワンダは手抜きか?

 カルラ・デルポンテ氏が2つの法廷を兼任することに反対する人たちは、旧ユーゴスラビアと比較しルワンダの戦犯逮捕や捜査はゆっくりとしか進んでいないことを理由として挙げている。在ベルンルワンダ大使は
「デルポンテ主任審査官は、タンザニアに法廷があるアルーシャには1年のうち30日滞在したか、しなかった」
と批判した。
一方、デルポンテ氏は、ルワンダ政府が裁判を遅らせていると非難している。
「政界からの影響はなるべく少なくあるべきだ。裁判が始まれば判決は裁判官が下すのであり、政治家が審判するのではない」
と7月末のスイスドイツ語放送のニュースで語った。

ルワンダ政府は歓迎

 ルワンダ政府は、国連安全保障理事会の決議を歓迎している。デルポンテ氏の訴訟件数も逮捕者の人数もあまりにも少ないという理由を挙げ国連に対し、即刻にも新しい主任審査官の任命を要求していた。

 デルポンテ氏は3週間前、ツチ族が大半を占める政府が同氏をボイコットしようとしていることについて、フツ族による大殺戮の仕返しにツチ族のルワンダ愛国戦線が3万人を殺戮した事件を検査する提案をしたことに反発するものであると安全保障理事会に対して説明していた。 

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳

国際犯罪特別法廷(戦犯法廷)
旧ユーゴスラビア戦犯法廷 オランダのハークに1993年5月設置される。
ルワンダ戦犯法廷 1994年11月 タンザニアのアルーシャに設置される。

カルラ・デルポンテ
スイス人 1947年生まれ ティチーノ州出身1999年から旧ユーゴスラビアおよびルワンダの戦犯法廷の主任検査官に就任兼任の妥当性は就任直後から疑問視されていた。

デルポンテ氏は旧ユーゴスラビアの大統領スロボダン・ミロセビッチを告訴したことで国際的に一躍有名になる。

現在も旧ユーゴスラビア戦犯法廷では、ラドバン・カラジッチ容疑者やラトコ・ムラディッチ容疑者などを訴訟中。2人とも、未検挙のまま姿をくらましている。

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