スイスの視点を10言語で

戦争と日常の狭間で

Marc Leutenegger

読者の皆様へ

スイスアルプスがウクライナから避難していた小さな家族に一時の安息を与える傍らで、スイスは地中奥深くにエネルギー問題の解決策を求め、連邦大統領はスイス南部ルガーノの地でウクライナ復興計画のたたき台を練ろうとしています。

「彼女たちは自由意志でここにいるのではない。2人は観光客ではない」。元swissinfo.ch記者のガビー・オクセンバイン氏は、ウクライナ避難民のビクトリアとポリーナを自宅に受け入れています。彼女たちとの暮らしを綴った同氏のブログ記事第3回では、2人がスイスを「発見」していく様子について触れました。マッターホルンやエッシネン湖、ベルンにあるジップラインパーク。2人を写した写真は、背後にある悲惨な状況を覆い隠します。しかし戦争の恐怖は2人の生活に容赦なく付きまとっているのです。

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ビクトリアとポリーナ、スイスを発見する

このコンテンツが公開されたのは、 ウクライナからの難民は、スイスの公共交通機関を5月末まで無料で利用することができた。ビクトリア・ビリチェンコと娘のポリーナも、このサービスを利用した。非日常圏への遠足は、願ってもない気分転換だ。

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感情面ではなくスイスへの経済・政治的な影響に関して、もう1つの記事をご紹介します。フリーランスのフェデリコ・フランキーニ記者は、スイスの多国籍企業にとってなぜロシア撤退が難しいかを解説しました。

撤退か残留か、業務縮小か。それはモラルよりも業績の問題であることを、この記事は示唆しています。世間の評価を落とすか、実行済みの投資を無駄にするか。善悪を示す白黒ではなく、決算書の黒か赤を分ける問題に企業は直面しているということです。

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残留か撤退か ロシアに進出したスイス企業のジレンマ

このコンテンツが公開されたのは、 ロシアによるウクライナ侵攻後、複数のスイス企業がロシア国内での活動を停止した。完全撤退を表明する企業もあれば、なかにはこれまで通り事業を継続している企業もある。

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スイスにとって最大の問題はエネルギー供給です。国内の埋蔵ガスの利用、脱原発の見直しや地熱発電など、あらゆる解決策が議論されています。英語編集部のサイモン・ブラッドリー記者は、地中深くから温泉水を汲み上げ約900世帯に電力を供給する深層地熱発電の掘削現場を訪問しました。現在はスイス南西部ラヴェイ・レ・バンの高級スパで、健康療法として利用されているエネルギー源です。

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政界では、早くも100日を超えたウクライナでの戦争で、スイスが指導的役割を果たすべきだとの声が上がっています。中でもイグナツィオ・カシス大統領は大きな野心を持ち、7月にルガーノで予定されていたウクライナの改革会議の看板を復興会議へとすげ替えました。

会議に関しては未定の部分が多いなか、ドイツ語編集部のバルツ・リゲンディンガー記者は記事の中である問題に注目しました。スイスがウクライナ復興で主導権を握ろうとすることで、欧州委員会の縄張りに足を踏み入れているのではないか、ということです。

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スイス、7月にウクライナ復興会議を主催

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは7月初め、ウクライナの復興をテーマとする国際会議を主催する。議題と参加者リストの選定が進行中だ。だがうまく国際合意を得られるかどうかは未知数だ。

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国際交渉の舞台が中立国スイスに置かれることは許されるのでしょうか?そもそもスイスは中立国と言えるのでしょうか?こうした議論が国内外で高まっています。誤解がないわけではありません。ドイツ語編集部のシビラ・ボンドルフィ記者は、swissinfo.chの豊富な過去記事を引用しながら、中立の法的基盤、スイスの中立性に関する歴史と立場を1つの記事にまとめました。

Illustration Aussenpolitik

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スイスはどれくらい中立なのか?

他国が伝統的中立に別れを告げる一方、スイスは自身の特別な役割に強くこだわる。だがそのスイスもまた、伝統的中立の概念から遠ざかり、新たな課題に直面している。

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スイスがドイツやデンマークに対し、スイス製兵器のウクライナへの提供を差し止めたことについても、法的な背景を解説しました。スイスの抱えるジレンマを読み解くには最適の記事となっています。

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スイス製兵器をウクライナに輸出できないワケ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスはスイス製兵器を輸入した国に対し、ウクライナへの譲渡を許さないという方針に固執している。国際的には批判も強いが、中立国家としてのジレンマに縛られている状態だ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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