スイスで家賃設定の参考指標として国が発表する参照金利が史上初めて上昇に転じた。これにより、家主は賃料を3%引き上げることができる。インフレを抑えるための利上げが、さらなるインフレを招きかねないとの指摘が出ている。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦経済省住宅局は1日、参照金利がこれまでの1.25%から1.5%に上昇したと発表外部リンクした。借家法上、家主は0.25%の上昇を根拠に家賃を3%引き上げる権利を持つ。参照金利は2日から適用される。
スイスでは2008年以降、参照金利を四半期ごとに算出している。フラン建ての国内住宅ローン金利の加重平均を基に、0.25%単位で設定される。08年の3.5%から低下し続け、2020年3月以降は1.25%に張り付いていた。
参照金利が上昇に転じた背景は、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がインフレ封じ込めのために政策金利を引き上げたことがある。だが経済学者からは、家賃が値上げされればそれ自体がインフレの火種になるとの警告が出ている。
エコノミストらは、年内に少なくとももう1回、参照金利が引き上げられると予測している。
家賃は右肩上がりだが、不動産価格は下落の兆しが出ている。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの自由緑の党(GPL/PVL)チューリヒ支部に所属するサニヤ・アメティ氏(32)は9日、党の役職を辞すると発表した。自身のインスタグラムでキリストと聖母マリアを描いた絵画を的に射撃の練習をする写真を投稿し、大きな批判を浴びていた。
もっと読む キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
おすすめの記事
スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。
もっと読む スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
おすすめの記事
1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのニトヴァルデン準州クレヴェンアルプで31日、1000人以上のアルプホルン奏者が集まり、「アルプホルンを合奏する人数」の世界記録を更新した。
もっと読む 1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
おすすめの記事
社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦監査院(SFAO)が30日、2023年の政治資金報告書を発表した。
もっと読む 社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
おすすめの記事
スイス政府、原発の新設解禁に前向き
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は28日、「すべての人にいつでも電気を:ブラックアウト(全域停電)を止めよ」と題するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。ただ、新たな原子力発電所建設の解禁には原則として支持する考えを示した。
もっと読む スイス政府、原発の新設解禁に前向き
おすすめの記事
マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを代表する名峰マッターホルンの麓町ツェルマットは、日帰り観光客の多さに悩んでいる。 現在、入場料の徴収を検討中だ。
もっと読む マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
おすすめの記事
パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
このコンテンツが公開されたのは、
世界自然保護基金(WWF)スイスは27日、スイスの全ての州でパリ協定の目標達成に向けた十分な取り組みが行われていないとの分析結果を発表した。
もっと読む パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
おすすめの記事
スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ジュネーブ地方で10日にわたって行われたスーダン内戦の停戦協議が23日、停戦合意に達することなく終了した。
もっと読む スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
おすすめの記事
スイス観光地ブリエンツの土砂災害 予想より被害深刻で鉄道路線に影響
このコンテンツが公開されたのは、
12日にスイス・ベルン州を襲った嵐の影響で土砂崩れなどの被害を受けた人気観光地ブリエンツ村の一部では、依然として閉鎖が続いている。
もっと読む スイス観光地ブリエンツの土砂災害 予想より被害深刻で鉄道路線に影響
おすすめの記事
マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの名峰マッターホルンで16 日、登山者が下山中に800m下の氷河に滑落し死亡した。同じ山では14日にも、別の登山者2人が滑落死した。
もっと読む マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ
続きを読む
おすすめの記事
スイス中銀、マイナス金利政策から脱却
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)は22日、政策金利を0.75%引き上げ、プラス0.5%とすることを決めた。金利がプラスに転じたのは7年ぶり。
もっと読む スイス中銀、マイナス金利政策から脱却
おすすめの記事
スイス中銀のサプライズ利上げ 米欧に続く
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が2007年以来15年ぶりに利上げに踏み切った。米欧各国で金利に押し上げ圧力がかかっている。インフレを抑えるには利上げで十分なのか?
もっと読む スイス中銀のサプライズ利上げ 米欧に続く
おすすめの記事
インフレを見誤ったワケ スイス経済史家の場合
このコンテンツが公開されたのは、
米国でインフレ率が高止まりしていることが世界の注目を集めている。インフレの背景は何か?スイスのインフレの特徴は?チューリヒ大学の経済史学者トビアス・シュトラウマン氏に聞いた。
もっと読む インフレを見誤ったワケ スイス経済史家の場合
おすすめの記事
スイス中銀がフラン安政策をやめた理由
このコンテンツが公開されたのは、
1999年に欧州単一通貨(ユーロ)が発足して以来、スイスフランは対ユーロで60%超上昇。輸出業界では過剰なフラン高への対抗が長らく議論の的だったが、ここ数カ月で優先事項は根本的に変化した。
もっと読む スイス中銀がフラン安政策をやめた理由
おすすめの記事
スイス中銀、フラン売り介入を縮小 インフレ抑制に政策転換
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の外貨購入が衰えている。根強いフラン高は輸出企業にとって痛手だが、インフレ抑制には通貨高を容認するしかないためだ。
もっと読む スイス中銀、フラン売り介入を縮小 インフレ抑制に政策転換
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。