おすすめの記事 なぜスイス国民は、法人税改正法案に反対したのか? このコンテンツが公開されたのは、 2017/04/07 今年2月21日に行われた国民投票で、法人税改正案が否決された。これは、中間層が強く反対したからだといわれている。(RTS/swissinfo) この法案の一つの目的は、実質的には外国で事業を展開する持株会社や管理会社などに対する法人税の特別優遇措置を撤廃し、スイス国内の他の会社と同じ税率にすることだった。 反対派は、改正によって法人税収に生じる不足額の約30億フラン(約3300億円)を負担するのは結局、一般市民であり普通の納税者であると主張。これは特に中間層にショックを与え、法人税改正案の否決へとつながった。 もっと読む なぜスイス国民は、法人税改正法案に反対したのか?
おすすめの記事 スイスの政治 欧州の難民申請 その動向 このコンテンツが公開されたのは、 2017/04/05 2015年、欧州には大量の難民が押し寄せ、難民申請希望者の登録数は130万件を超えた。現在は若干の減少傾向にあるものの、申請件数は依然として14年の2倍となっている。 2016年、EUおよびEFTA諸国(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)で登録した難民申請希望者は123万人以上。シリア、アフガニスタン、イラクといった紛争地域の国からの出身者が半数以上を占めた。 もっと読む 欧州の難民申請 その動向
おすすめの記事 スイスの政治 マールアラーゴのスイス不動産王 このコンテンツが公開されたのは、 2017/04/03 物議をかもすスイスの不動産開発業者が最近、トランプ米大統領が所有する米フロリダ州パームビーチの高級会員制リゾート施設、マールアラーゴの会員になった。 ウルス・レーダーマン氏は、都市区を開発し高所得者層向けに変身させることで知られる、チューリヒ郊外出身のたたき上げの起業家だ。同氏に対する評価は賛否両論だ。メディアがレーダーマン氏の出世をつぶさに追ってきた一方で、住宅所有者たちは、同氏の成長中の会社に不動産を売るよう圧力をかけられたとして、そのやり方を批判している。そんなレーダーマン夫妻が、「冬のホワイトハウス」とも呼ばれるマールアラーゴの会員となった。 数年前から友人とマールアラーゴを訪れているレーダーマン氏は、近年夫婦ともに米国で過ごす時間が増えたため、昨年、会員になることに決めたと話す。 もっと読む マールアラーゴのスイス不動産王
おすすめの記事 スイスの政治 スイスの若者 政治に関する情報源は「自分の親」 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/29 若者の政治意識に関する世論調査で、スイスの若者は政治についての情報源としてネットメディアにあまり頼らないことが明らかになった。 世論調査機関gfs.bernがスイスに住む15~25歳の1477人を対象に行った世論調査で、若者の政治についての情報源は「自分の親」が最も多いことがわかった。一般のイメージとは反対に、スマホ用のアプリ、ソーシャル・ネットワークなどのネットメディアは政治問題の情報源としてあまり使われないという結果になった。 若者が最も関心を持つテーマは外国人政策や難民政策で、中高年齢層と比べて大きな違いはなかった。これについてgfs.bernは、2016年に行われたスイス人の不安を測る調査「不安バロメータ」では難民問題が全体でトップに挙がったと言及した。 若者の国民投票や選挙への参加度合いは国民全体に比べて低く、15年の連邦議会総選挙ではスイス全体の投票率が48.5%だったのに対し、18~24歳の投票率は30%だった。 若者が投票しないのは、政治的無関心からではない。政治家が話している内容や用語が複雑で理解するのが難しいことがその理由として最も多く挙げられた。 もっと読む スイスの若者 政治に関する情報源は「自分の親」
おすすめの記事 スイスの政治 イタリア人移民がエリトリア人移民を支援 ベルンで文化交流 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/29 スイスに住むイタリア人移民は、今でこそ現地の社会にすっかりなじんでいるが、異国での生活やよそ者扱いされるつらさを誰より良く知っているため、移民のお手本のような存在だ。そうしたことから、ベルンにあるイタリアのカトリック布教団が、近年増加するアフリカのエリトリア人難民の支援活動を始めた。同団体が開いたお祭りでは、料理とダンスで両国の移民が交流した。 もっと読む イタリア人移民がエリトリア人移民を支援 ベルンで文化交流
おすすめの記事 スイスの政治 過去へといざなう国連の片隅 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/25 この「外交の足跡」と題する写真シリーズには、人は誰も写っていない。その選択は、想像の世界や時間の旅への扉を開くために意図的になされたものだ。ヴェルモ氏外部リンクは次のように綴っている。 「訪問者は国連の建物内の多くの… もっと読む 過去へといざなう国連の片隅
おすすめの記事 スイスの政治 今EUが再び危うい だが「耐久性あり」とスイスの専門家 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/24 欧州連合(EU)の起源となったローマ条約。明日は、この条約が1957年3月25日に調印されてから、ちょうど60年目に当たる。ところが、EUが今ほど危ういときはないように見える。「だが、今よりもっと危機的な状況を何度も経験してきた」と、EUに詳しいルネ・シュヴォック教授は言う。 欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長は3月1日、欧州の将来についての白書を提出した。しかし彼の提案は、「息切れが感じられる」古い考え方を踏襲したものに過ぎないとの批判を浴びた。「EUは、ドイツとフランスを核にして周囲に加盟国が集まる、急速に変化する一つの共同体」という従来のものだったからだ。 だが、今の状況でユンケル氏に、より大胆な欧州計画を提案しながら連合維持の信念を宣言できただろうか?「おそらく彼は、オオカミに食われてしまう危険を犯す気はなかっただろう。まずEUの将来を決定するような総選挙がフランスとドイツで行われてからの話だと思ったのだろう」と、ジュネーブのグローバル研究所所長を務めるシュヴォック教授はコメントする。 黄金時代 ヘルムート・コール元独首相、フランソワ・ミッテラン元仏大統領、さらにジャック・ドロール元欧州委員会委員長の3人が20世紀末に、EUのために盛り上げた「勢い」は、今や完全に崩れ去ってしまった。 「この時代は、EU創設の黄金時代だった。この3人の政治家の人格に負うところが大きいが、同時にベルリンの壁崩壊によって生まれたEU創設にとって有利な文脈があったからだ」と、シュヴォック教授は当時を思い起こす。教授は「欧州の構築は平和に貢献するか?」と題された本を出版したばかりだ。 単一欧州議定書が1986年に調印され、次いで92年にマーストリヒト条約がヨーロッパ共同体(EC)加盟国によって調印されたことで、EUは経済と単一通貨ユーロを持つ共同体として誕生した。ユーロは現在、EU加盟国の28カ国(英国を除くと27カ国)中、19カ国で使われている。 危機の時代 EUが共同体としてのダイナミズムを失ったのは2000年代に入ってからだ。まず、EU憲法は04年に調印されたにもかかわらず発効には至っておらず、08年の金融危機はEUを強く揺さぶった、とシュヴォック教授は指摘する。そしてギリシャ危機に次ぐユーロ危機、最近の難民危機がEUを襲う。英国のEU離脱や幾つかの加盟国で起きている反EUを掲げる政党の台頭も続く。 「ポピュリズムが、今後もEUにとって一番危険なものになるだろう」と教授は言う。たとえ最近のオランダの総選挙で極右政党が伸び悩んだ例があるとしてもだ。 「歴史が教えているのだが、(欧州が一つになったように)あらゆることが可能なのだ。しかし、(EU本部の)ブリュッセルにとって困難は続くだろう。ただ、EUが危機的状況だといった誇張された議論は何年も前から繰り返されている。EU内で問題が起こる度に、ジャーナリストや専門家、そして政治家がEUの終焉を宣言してきた。EU憲法がいくつかの国によって批准されなかったときやギリシャ危機、ユーロ危機、そして難民危機のときがそうだった。だが、彼らの予測はいつも外れた」 こうした危機に加え、最近の危機的要因には、ロシアのプーチン大統領が欧州の反EU政党を支援し、プロパガンダ的手法を使って欧州の大統領選に介入していることがある。 シュヴォック教授はこう言う。「これは新しい現象だ。だが、こうした介入の効果を客観的に見るために取るべき距離を我々が知らないことが問題だ。プーチン氏による操作は、内部からEUを弱体化させる。しかし、これは逆効果を生み出す可能性も秘めている。特にこうした政党が、実はプーチン氏の駒だと分かったときには政党そのものがマージナルになっていく」 ウルトラリベラリズムに支配されているのか? 繰り返し現れるEUに対する批判の中に、ブリュッセルの経済政策を非難するものがある。つまり、左派や、右派の国家主義の人たちの目には、この経済政策があまりにリベラルだと映るのだ。 だが、シュヴォック教授にとってこれは過度の批判に見える。「よく耳にする批判に反して、EUは(米国やアジア、ないしは世界の多くの国が採用している)純粋なネオリベラリズム(新自由主義)の政策を行ってはいない。むしろ、EU構築当初から、ソーシャルリベラリズム(社会自由主義)の路線をとってきた。EUは競争原理を尊重して自由主義を選び、保護主義を排除してきた。しかし、この市場原理に基づく市場の解放は、いつも環境やセキュリティー、健康分野における法的規制を伴った政策のもとに実行されてきた。従って、完全に自由なタイプのリベラリズムではない。欧州は、世界でもっとも社会保障が発達している国が集まっているということを思い出す必要がある」 民主主義が不足するEU もう一つよく耳にするEUに対する批判は、ブリュセルで定められた政策に関してEU市民が投票できないことや、EUのさまざまな機関をより合法的にするための汎欧州の選挙が行われないことだ。 シュヴォック教授は声を落として、この批判は確かに正当性があるとコメントする。「参加型の民主主義、つまり欧州議会を通過した法律に反対して欧州市民がレファレンダム、つまり国民投票を要求すれば、それは欧州全体に大きな政治的議論を巻き起こすことだろう。しかし、こうした形で市民の意見を聞くことは、欧州では想像できない。なぜなら、EU加盟国にはこうした制度が存在しないからだ。たとえ加盟国がそれぞれの国民の意見を聞くために国民投票を起こすにしても、それはあくまで政府側が提案する国民投票であって、市民側から要求された国民投票ではない」 これに対し、EUメンバーではなく直接民主制を取るスイスでは、政府からは決してレファレンダム(国民投票)を提起しない。憲法改正の際は自動的にレファレンダムが行われ、市民が議会を通過した法律に反対を唱えた際は市民がレファレンダムを起こす。 ただ、欧州市民にはイニシアチブ(発議)の権利がある。だが、これもむしろ多くの市民の署名を添えた誓願書の形をとることが多い、とシュヴォック教授は言う。「EUで市民が参加できるたった一つの可能性は、EU市民が100万人分の署名を集めて欧州委員会に法律を作成するよう要求することだ。ただし、欧州委員会は、これを拒否できる。今まで何度もこうしたことが繰り返されてきた。そして、たとえこうした市民からの提案が再度取り上げられることがあるとしても、それは欧州議会か欧州連合理事会が行う。ところがスイスでは、たとえ連邦議会や政府が反対しても市民が提案を行う」 こうシュヴォック教授が解説するように、直接民主制のお陰で、スイス市民の方が法律の成立過程にEU市民よりもより直接に参加できることは確かだ。 しかし、だからといって、スイス市民が拒否や疑い、感情的判断などはしない、常に理性的な市民であるというわけではない。ポピュリズムの台頭はスイスにもある。ただ、スイスの方が年に4回決まって行われる国民投票などがあるために、混乱を引き起こす問題を早期にテーブルの上に載せることで、国が危機的な状況に陥ることを避けられているのは確かなのだ。 もっと読む 今EUが再び危うい だが「耐久性あり」とスイスの専門家
おすすめの記事 スイスの政治 スイスの銃器所持擁護派、EUの銃規制に反対 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/22 欧州議会は今月14日、銃規制案を可決した。スイスは欧州連合(EU)に加盟していないが、シェンゲン協定加盟国としてこの新規制を適用する必要がある。これに対して、スイスの銃器所持擁護のロビー団体が異議を唱えている。 欧州議会が可決した新規則は、武器登録の導入や半自動銃のカードリッジ(薬包)の上限を20発から10発に制限するなど、銃器の所持をより制限する内容となっている。 スイス国内で同規則を適用するには議会の承認が必要となる。スイススポーツ射撃協会(FST-SSV)は、議会がこれを承認した場合、レファレンダムを視野に入れていると話す。 同協会のドラ・アンドレス会長は「新銃規制はテロ攻撃を阻止することはできないし、スイスの現行法は武器の違法取引に十分対応している」と話す。さらに同氏は、「スイスは銃器の所持において、とりわけ猟師、射手、コレクターの間で長い歴史がある」と付け加えた。 右派・国民党のヴェルナー・ザルツマン議員も同じく、新規制の導入に異議を唱えている。 しかし、左派・社会民主党のシャンタル・ガラデ議員は、「射手も警察官も、従来どおり銃器を使用できる」とドイツ語圏のスイス公共ラジオに対して話した。 スイス、適用外となるか? シモネッタ・ソマルガ司法警察相は昨年3月、EUが計画する銃規制は、軍隊で使う武器を家庭で保管するという、スイスの伝統には影響しないだろうと話していた。 スイスでは1割以上の徴集兵が公務を終えた後、軍隊で使用した銃器を家庭に持ち帰っている。そのため、EUの半自動銃に関する規制案は当時から、スイスで大きな議論を引き起こしていた。 今回の新規制の導入に対する反対派は、銃登録データの統括を求める案件が2011年の国民投票で否決されたことを反対理由の一つに挙げている。 もっと読む スイスの銃器所持擁護派、EUの銃規制に反対
おすすめの記事 スイスの政治 なぜグラウビュンデン州の住民は五輪招致を拒否し続けるのか このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/17 スイス東部グラウビュンデン州でオリンピックの聖火が燃え上がる可能性が消えた。2026年冬季五輪のさらなる招致計画は、先日の住民投票で反対6割に達した。住民の反対により同州が冬季五輪の候補地にならなかったのは、この4年間でこれが2度目だ。13年の住民投票では、22年冬季五輪の招致計画が否決された。 グラウビュンデン州政府は26年冬季五輪の招致を目指し、野心的な計画を打ち立てていた。しかし、それに対する向かい風はとても強く、住民は住民投票でノーを突きつけ、計画は消えた。州政府は招致計画を強力に支えていたが、おそらくそれが強力すぎたのだろう。そしてそれはまた、あまりにも一方的だったのではないか。 少なくとも、スイスインフォが州都クールで行ったアンケートでは、この推測が当てはまる。「州政府の招致推進キャンペーンはうんざりだった」と、ある男性は反対に票を投じた理由を述べる。またある女性は、冬の暖かな日差しにまぶしそうにしながら「私には招致が押し付けられているように感じた」と言う。他の女性は「圧力が強すぎた」と語る。 五輪招致を巡る住民投票では、民主主義の観点からみると三つの問題点があった。一つ目は、「州政府が今回の投票を、他の、もっと州にとって重要な案件とは異なる扱いをした」点だと、民主主義研究機関「アーラウ民主主義センター(ZDA)」の所長で、法学教授のアンドレアス・グラーザー氏は言う。州政府がどの住民投票でも今回のように攻勢的な態度を取っていれば、またそのような態度がグラウビュンデン州の政治文化として根付いていたならば、住民から理解が得られたかもしれない。「だが州政府は今回の案件を過度に重要視していた」(同氏) 出席者は賛成者のみ 二つ目の問題点は、招致の是非を巡るパネルディスカッションに州政府閣僚5人全員が参加し、招致反対派が誰も参加しなかった点だ。「こうした形は例にない」とグラーザー氏は言う。「これでは本当の意見形成はできない」 三つ目の問題点は、立候補ファイルの公開がかなり遅かったことだ。これは深刻な問題にあたる。住民投票に先駆けて州議会では招致に関する議論が行われたが、議員たちは招致計画がどういう内容のもので、どの競技をどの場所で開催するのか、また選手村の建設場所について詳しくは知らなかった。招致反対派のジョン・プルト州議会議員(社会民主党)は「これには言葉が出なかった。民主主義の観点からすると正しくない」と話す。立候補ファイルが公開されたのは、住民投票開催日のちょうど1カ月前だった。州の情報公開法に基づき公開請求が2件出されていたためだった。 「根本的なことが問われた」 立候補ファイルの責任者を務めるジョン・ドメニク・パロリーニ州経済大臣は、民主主義の欠落を指摘する批判を一蹴する。「住民投票で必要だった情報は全て公開されていた。なぜなら我々はまず根本的なことを問いたかったからだ」。「根本的なこと」とはつまり、グラウビュンデン州で冬季五輪を開催することに、住民はそもそも賛成かそうでないか、ということだ。 州政府はその次の段階として、詳細な計画について議論を行う予定にしていたという。「こうして2段階で進めようとしていたのは、民主主義を非常に重んじていたためだ」とパロリーニ氏は話す。詳細な計画の作成に巨額を投資したのに、結局誰も五輪開催を望んでいなかったという結果にならないために、州政府はまずは民意を取り付けたかったという。 また、大まかな計画が公開されてこなかった理由は、山岳地方のヴァレー州も冬季五輪の開催地に立候補する可能性があったからだと話す(囲み欄参照)。「我々が入念に作成した情報を他の候補地に流したくなかった」(パロリーニ氏)。 スイス国内で候補地が選定されるのは12月中旬で、この期日以降は開催計画を変更できなくなる。「私は以前から立候補ファイルを公開する意志はあった。それは、情報公開請求が出される前からだ」 「州政府全閣僚が一致団結」 州政府が五輪開催に力を注いでいたことに対し、パロリーニ氏はこう答える。「我々が熱心に取り組んでいた理由は、それがグラウビュンデン州にとって大きなチャンスだと思えたからだ」。州政府全閣僚は招致に向けて一致団結していたと、同氏は言う。同様のことは前出のパネルディスカッションにも当てはまる。同氏に言わせれば、それは特に例外的なことではなかった。「州政府はこれまでも閣僚全員でそのような催しに出席したことがある。州政府に対する批判は、司会者や聴衆が州政府に質問を投げかけるという形で行われた」。それに加え、州政府は意見が対立するパネルディスカッションにも数多く参加してきたという。 州政府が五輪招致に力を入れすぎていたかどうかは見方次第だと、パロリーニ氏は話す。「私はやりすぎだとは思わなかった。なぜなら、我々はいつも住民と対話してきたからだ。住民は投票で意思表示をした。我々は当然、その意思を完全に受け入れる」 法学教授のグラーザー氏も同様の意見だ。「住民投票があったからこそ、州政府の政策が適時に修正され、住民から広く受け入れられているとはいえない計画にお金と時間が費やされることを防いだ」。この結果から言えるのは、グラウビュンデン州では住民たちが意思決定に直接関わることで、露出度があまりにも高かった招致賛成派の意見や経済的利益を帳消しにできるということだ。 しかし、グラーザー氏によれば、ここでまた別の問題が浮上する。それは「政治家が住民をきちんと代表していない」(同氏)という点だ。住民は、選挙で選ばれた州政府閣僚や州議会議員が自分たちを代表しているようには思えなかった。なぜなら、州議会は賛成大多数で立候補ファイルを承認したからだ。また、州政府はこれまで述べてきたように、常に招致に賛成の立場を表明していた。 なぜこのように住民と政治家との間に溝ができたのだろうか?「それはおそらく、州議会議員が小選挙区制で選出されることと関係しているからだ」とグラーザー氏は言う。この選挙制度は1票の格差を生み、少数政党が議席を獲得しにくくなる可能性があるとして、グラウビュンデン州では以前から批判の的になっている。シオンが冬季五輪候補地 グラウビュンデン州は2026年冬季五輪の招致を住民投票の結果で断念することになったが、スイスの山岳地帯で2番目に大きい州が「シオン2026」という標語を掲げて候補地に名乗りを上げている。第一関門であるスイス・オリンピック委員会らの承認を先日取り付けたのは、ヴァレー州の州都シオン。競技は全アルプス地域とスイス高原の一部の地域(ヴォー州、フリブール州、ベルン州)で開催される予定。 スイス・オリンピック委員会は4月に、シオンを国内候補都市として正式に指名できる。指名が決定された場合、ヴァレー州でも招致の是非を巡る住民投票が行われる。 住民投票で立候補が承認された場合、ヴァレー州が冬季五輪の候補地に立候補するのは1976年、2002年、06年に続きこれで4回目となる。これまでは国際オリンピック委員会(IOC)の投票でいずれも落選した。 もっと読む なぜグラウビュンデン州の住民は五輪招致を拒否し続けるのか
おすすめの記事 スイスの政治 五輪招致を巡る住民投票 街頭調査 このコンテンツが公開されたのは、 2017/03/17 (映像・Stephanie Hess, swissinfo.ch 独語からの翻訳・鹿島田芙美) もっと読む 五輪招致を巡る住民投票 街頭調査