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ナチス口座めぐる過去の和解、援用されず 米裁判所判決

UBS、ナチス関連口座をめぐる責任制限で敗訴
UBS、ナチス関連口座をめぐる責任制限で敗訴 Keystone-SDA

スイスの銀行がナチス資産を預かっていたことの新たな証拠が見つかった場合、銀行は改めて償う必要があるのか――米連邦地方裁判所がこのほど下した判決は、この論点に明確な結論は出さなかったものの、過去の和解案で全てが決着したとするUBSの主張を退けた。

UBSは裁判で、1998年にホロコースト遺族らと結んだ和解が援用され、新たな証拠が見つかってもUBSはこの和解に保護されると主張した。

これに対し、ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所は7日、UBSの申し立てを却下した。スイスの通信社AWPが入手した判決文によると、エドワード・コーマン判事はUBSが事実上「仮定の」訴訟について裁判所に判断を求めていると述べた。具体的な法的紛争が存在しない以上、裁判所が司法解釈を下す根拠はないとした。

「司法解釈を必要とするような実際の法的紛争が生じない限り、合意は合意通りの効力を持つ」

つまり、今後アメリカで新たにホロコースト関連の訴訟が起こされた場合の対応は、未解決のままとなった。

新たなナチス関連口座

この問題が争点に上がったのは、旧クレディ・スイス(2023年にUBSに統合)やその前身企業がナチス政権下の口座と関連を持っていたことを示す新たな証拠が出てきたためだ。

米上院は2月3日、クレディ・スイスの口座の中に独ナチス政権と関連があった可能性のあるものが890件あったとの調査結果を発表した。その中には新たに発覚した口座もあり、中には2020年まで開設されていたものもあったと報じられている。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)外部リンクによると、米上院は口座の名義人についてドイツ外務省や兵器メーカー、ドイツ赤十字社などの機関だったと分析した。

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上院司法委員会のチャック・グラスリー委員長は、今回の調査結果はクレディ・スイスとナチス政権の純軍事組織「親衛隊(SS)」との関係がこれまで考えられていたよりも広範囲に及んでいたことを示唆していると指摘した。SSの経済局が戦時中、クレディ・スイスに口座を保有していたという。クレディ・スイスはナチス関係者のアルゼンチンへの逃亡を支援する計画にも関与していた疑いも浮上している。

ブルームバーグによると、スイスの首都ベルンのマルクトガッセ49番地の建物は1940年代後半、ナチス高官が司法の手から逃れて南米へ逃亡する際に利用した秘密の逃亡ルート「ラットライン」の重要拠点だった。この建物の当時の持ち主はクレディ・スイスの前身企業だった。

約12億5000万ドルの和解金

1995年、世界中のユダヤ人社会・組織を代表する国際組織「世界ユダヤ人会議(The World Jewish Congress)」ニューヨークで集団訴訟を起こし、ホロコーストの生き残りや相続人がスイスにある休眠口座の資産を引き出せずにいると訴えた。

1998年8月、UBSとクレディスイスが共同で遺族らに対し12億5000万ドルを支払う和解案が合意に至った。

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今回新たに訴訟を起こしたのはユダヤ人人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon-Wiesenthal-Center、本部・ロサンゼルス)だ。元ナチス関係者の追跡活動で知られる同センターは、戦時中のUBS・ドイツ間の金融取引をめぐり、数十億ドル規模の賠償金をさらに請求できるのかどうかを争っている。

同センターは、UBSは1998年の和解を拡大解釈しすぎており、これによりUBSとナチス政権とのつながりを示す新たな証拠が出てきても、古い和解に覆い隠されてしまうと主張した。

UBSはある声明で、米裁判所が争点を審理したことを歓迎すると述べた。「判事の判断には、1998年の和解に関するUBSの解釈と矛盾する点は1つもない」

UBSはかつて、将来起こりうる法的措置を回避するため、裁判所に合意内容の明確化を求めたと述べていた。UBSは、財務への影響についてはコメントを控えた。

ナチスの金塊

フランス語圏の日刊紙ル・タン外部リンクによると、スイスの銀行とスイス国立銀行(中央銀行、SNB)は1940~45年にかけて、独帝国銀行(ライヒスバンク)から金を購入した。購入総額は13億~14億5000万フランに上ると見積もられる。同時に、約25億フランが連合国に売却または貸し出されたとという。

ドイツの金塊の問題点は、それが違法に取得されたものだったという点にある。オランダとベルギーの中央銀行準備金や強制収容所の犠牲者から奪われたものであることが戦後に明らかになった。

英語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子

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