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大阪万博閉幕 スイス館はラクレットとハイジで盛況に終わる

関西・大阪万博のスイス館外観
大阪・関西万博スイス館ではハイジとラクレットが人気を博した Keystone-SDA

2025年大阪・関西万博が13日、最終日を迎えた。万博史上最軽量を売りにしたスイス館は訪問者数こそ見込みを下回ったものの、充実度は高かった。

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スイス館にはスイスのチーズ料理ラクレットとハイジの姿を目的に、大勢の人が行列を為した。

スイス通信Keystone-ATSの記者が訪れた9月中旬はまだ残暑が厳しく、気温は32℃にも上がった。湿度も高く、数分で汗がしたたり落ちる。それでも万博会場に足を運ぶ人の波は絶えることがなかった。

大規模な他国のパビリオンに挟まれたスイス館は小規模ながら大きな存在感を放った。通常、入館には1時間ほど列に並ぶ必要がある。中に入った人々は、伝説の空手家アンディ・フグのモザイク絵を探し、スイス発の革新技術を体験し、アニメ版ハイジと写真を撮ることができる。

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建設中のスイス館

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超軽量スイス館 大阪・関西万博の「成功」に向け完成間近

このコンテンツが公開されたのは、 4月13日に開幕する大阪・関西万博に向け、スイス館が完成間近だ。日本国内では万博に冷めた視線も注がれるなか、スイスは環境負荷を抑えたパビリオンで存在感をアピール。「万博の成功」を目指す。

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どこもかしこも行列だった。サンドイッチを買うのに30分、多くのパビリオンには1時間、日本館には最大2時間並ぶ。4月13日の開幕から9月末までの来場者は2650万人に達した。

万博のテーマは「いのち輝く未来社会(Designing Future Society for Our Lives)」。閉幕2週間前にチケット販売が終了したが、気温の低下も追い風となり、来場者数は減らなかった。

滞在時間20分

スイス館には約100万人、1日平均では5500人が訪れた。事前の見込みより少なく、2021年ドバイ万博の170万人を大幅に下回った。だがスイス館広報のベアトリス・ブロイラー氏は、「来場の質はずっと高い。滞在時間は約20分にのぼり、参加し、展示内容に深い興味を示した」と話す。

スイス館の建設・運営にスイス政府は1320万フラン(約25億円)を拠出し、寄付金も集まった。日本の建設費はアラブ首長国連邦(UAE)より大幅に高いが予算はドバイと変わらなかったため、大阪・関西万博のスイス館は小規模になった。

スイス館はサービス棟と5つの球体展示スペースで構成。訪問者を迎えるのは、スイスの風景や都市、商業・産業を描いた巨大なパノラマ壁画だ。デザイン全体に散りばめられた小さな人物像には、若くして亡くなったにもかかわらず日本で今も称賛される空手家アンディ・フグや、もちろんハイジの姿もあった。

館内では応用科学大学や研究機関、企業による25のプロジェクトが展示され、テーマは自然科学、健康と栄養、持続可能性、気候、エネルギー、ロボット工学、人工知能(AI)などに及んだ。来場者は実際に触れて体験したり、クイズに参加したりした。インタラクティブな形式は日本人来場者に好評を博したが、最大の目玉は「アルプスの少女ハイジ」との記念写真撮影だ。ヨハンナ・シュピリが生んだキャラクターを世界的なアイコンへと押し上げたのは、日本のアニメ化作品だからだ。

万博史上最軽量

2階にある小さなレストラン(待ち時間が1時間にも及ぶこともある)は、まさに「ハイジカフェ」と呼ぶにふさわしい。最も人気のある料理はラクレットで、ジャガイモ、ネギ、ピクルスを添えた伝統的なスタイルで提供される。9月中旬までに、すでに2万100食以上を販売した。

スイス館は日本人来場者から高い評価を得た。日本国際博覧会協会の対外広報担当・中井めぐみ氏は「テーマの構想が練られ、デザインが真に人間中心である。持続可能性と独創性を新鮮で魅力的な方法で強調している」と語った。

スイス館は重量わずか400㎏と、万博史上最も軽量なパビリオンとなった。イベント終了後、外殻は家具として再利用される。一方、各博覧会で再利用されるサービス棟は、スイス外務省内の担当組織「プレゼンス・スイス」が所有する。

オーストリア館の陰に

視覚的には、スイスは万博会場でも隣国オーストリアの陰に隠れた存在となった。とはいえ、この蒸し暑い中では、必ずしも悪いことではない。高さ16.5mのオーストリア館はニーダーエスターライヒ州産の無垢材の板で造られ、ベートーヴェンの「歓喜の歌」の冒頭部分が刻まれている。

ドイツ館も大規模な出展となったが、アプローチは異なる。約5000万ユーロ(約88億円)を投じ、ほぼ全てに日本製の資材を使用し、万博終了後も現地に残す計画だ。情報提供と体験型の展示で絶妙なバランスを取った。

各国は独自のアプローチを取った。イタリアはカラヴァッジョやティントレットの絵画に加え、レオナルド・ダ・ヴィンチの未公開原稿を展示。フランスは博覧会の科学テーマから離れ、スポンサーである有名ファッションブランドの豪華なスーツケースやイブニングドレスを展示した。欧州からの来場者は眉をひそめたが、日本人ゲストには好評だった。ある来場者は「まさに私たちが想像するフランスそのものです」と語った。

トランプ礼賛

日本では、スイスは異なる視点で捉えられているが、概ね好感されている。両国とも経済力の高さで知られ、伝統と革新が共存している。万博協会の中井氏は「スイスは信頼、品質、精密さ、革新を象徴すると同時に、自然と環境への深い敬意も体現している」と語る。

米国とカナダのパビリオンもこのテーマを取り入れ、その景観や都市の素晴らしい眺めで見物客を魅了した。米国パビリオンでは、ロケット打ち上げの最前列の席と、ドナルド・トランプ氏によるビデオによる歓迎の挨拶が披露された。ビデオの中でトランプ氏は「アメリカの黄金時代がついに到来した」と述べており、このセリフは英語圏の団体客から拍手喝采を浴びた。

パビリオン群を取り囲むのは、高さ20m、全長2㎞の木製リングで、この種の構造物としては世界最大級の木造建築となった。外側にはイベントホール、テーマ別パビリオン、広大な土産物店が並ぶ。だが入場には最大3時間にも及ぶ行列ができ、多くの欧州人観光客は代わりにオンラインでお土産を購入した。

中井氏は「できるだけ列が短くなるように努力している。だが日本では、興味を持ったものには喜んで並ぶのが当たり前だ」と話す。主催者らは売り上げや来場者の感想を喜んでいるという。欧州からの来場者は全体の1割とどまり、平均的な日本人来場者は欧州人よりも忍耐力がある。

帰路の地下鉄はいつも通り混雑していた。乗客に指を挟まれないよう注意する安全動画に登場する少女キャラクターは、ハイジにそっくりだった。

英語からのDeepL翻訳:ムートゥ朋子

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