トランプ氏の個人外交、アップルの新CEO、メタ和解…スイスが報じた米国のニュース
スイスのメディアが27日~1日に報じた米国関連のニュースから、①トランプ氏の個人外交②アップル新CEO③メタ和解、の3件を要約してお届けします。
ソーシャルメディア大手のメタは、フェイスブックやインスタグラムを含む同社のソーシャルメディアプラットフォームが子どもたちに悪影響を及ぼしているとして米国の複数の州・地域が起こした訴訟をめぐり、計180億ドル(約2兆8700億円)の和解金を支払うことで合意した。あるスイスの新聞は、これが「強いメッセージを送った」ものであり、若者への「朗報」だと報じた。一方、別のメディアは、メタが「軽い処分で済んだ」と指摘した。
仏語圏のスイス公共放送(RTS)は、ドナルド・トランプ米大統領がソーシャルメディアと外交経験のない特使を通じた「個人外交」を展開し、国務省を脇に追いやることで、米国外交に革命的な変化をもたらすと同時に、その弱体化も招いているーーと報じた。
RTSは31日付の分析記事で、ウクライナとの和平交渉再開に向けてCIA長官のジョン・ラトクリフ氏がモスクワを訪問したことを「異例の出来事」として取り上げた。「ホワイトハウスに返り咲いて以来、トランプ氏はこうした多少なりとも伝統的な外交手法を放棄したように見える」と指摘した。
「専門家を不要と考えるトランプ氏は、自身のSNS『トゥルース・ソーシャル』と、義理の息子ジャレッド・クシュナー氏やビジネスマンのスティーブ・ウィトコフ氏といった外交経験のない側近による少数の特使グループを通じて、米国の外交政策を自ら取り仕切っている。かつて国際的な専門知識で名をはせた国務省は、明らかに後景に退かされている」
RTSはまた、米国が複数の外交課題に取り組む一方、外交要員の削減を続けていると指摘した。過去18カ月間で3000以上のポストが削減された。国務省の職員の5分の1に相当する数だ。
「100カ所を超える米国大使館が大使不在で、それは特にアフリカや中南米で顕著だ。イランとの紛争が続く中東も例外ではなく、同地域の大使館の半数が人員不足に陥っている。サウジアラビアやペルシャ湾岸の複数の国には、正式に認定された外交官すらいない」とRTSは説明した。欧州も例外ではなく、対ロシア紛争において要衝となるドイツとウクライナにも、いまだ大使が任命されていないという。
「大使不在の大使館は現在、臨時代理が運営しているが、駐在国での影響力や権限、ワシントンとの連絡窓口のいずれも限られる。この状況は、特に中国やロシアとの関係において、世界各地での米国のリーダーシップを弱体化させている」
RTSによると、トランプ氏が行った大使任命101件のうち、職業外交官はわずか9人で、90%以上が政治的任命だった。歴代の大統領が同盟者や支持者に充てたポストは25〜30%にとどまった。「基準はもはや専門性や能力ではなく、大統領への忠誠心と『アメリカ・ファースト』路線の推進だ」
こうした状況の結果として、RTSは欧州外交問題評議会(ECFR)パリ事務所長の言葉を引用し、米国は今や「非専門的な大使とトランプ支持者を抱え、欧州の同盟国との緊張を高めている」と結論付けた。
ジョン・ターナス氏が1日、ティム・クック氏の後任としてアップルの最高経営責任者(CEO)に就任した。独語圏の主要日刊紙NZZは「アップルは絶頂期にあるが、予見できる問題も抱えている」と評した。スイスメディア各社はターナス新CEOの人物像と、同氏が直面する課題を詳しく伝えている。
独語圏の主要日刊紙ターゲス・アンツァイガー(TA)は「51歳の(ターナス氏の)私生活はほとんど知られていない」と報じた。カリフォルニア州生まれで、ペンシルベニア州で機械工学を学び、アップルに25年間勤務。直近ではインダストリアルデザインチームの責任者を務めた。「ターナス氏は有能で集中力があり、創造的な問題解決者として知られている」という。
その資質が求められる場面は多そうだ。NZZは「ターナス氏にはいくつかの未解決の問題が待ち受けている」と指摘する。まずはAI時代への移行だ。「アップルは大手テック企業では唯一、独自の先端AI研究チームを持たず、AI基盤への数百億ドル規模の投資も行っていない」とNZZは述べ、「ターナス氏はAIにおけるアップルの役割を定義しなければならない」と論じた。
しかし新CEOにとって最大の課題は、iPhoneの後継製品を見つけることだとNZZは指摘する。iPhoneは「大家族を支える裕福な祖母のように、グループ全体を支え続けている20年選手の製品」だ。「アップルが稼ぐ1ドルのうち2分の1はiPhoneから生まれている。今や新たな大ヒット製品が急務だ。10年前のAirPods以来、顧客を獲得した真に新しいデバイスを同社は発売していない」とNZZは指摘した。
その答えが、早ければ来週9日のアップル年次製品発表会で示される可能性がある。テーマは「サプライズ・アンド・シャイン」だ。独語圏のスイス公共放送(SRF)は「アップルがどのような形で驚かせてくれるのかはまだ不明だ」としながらも、「専門家の間では、ターナス氏が初の折りたたみiPhoneと、自宅の機器を操作できるスーパースマートなタッチスクリーンを発表するとみられている。中期的にはカメラ搭載のヘッドフォンも投入される見込みだ」と伝えた。
クック氏とターナス氏の役割分担についてSRFは、ターナス氏がグループの日常的な経営を担う一方、クック氏は会長として戦略的なリーダーシップを担うと説明した。その中には政治的な関係の構築も含まれる。具体的にはトランプ米大統領との関係と、中国指導部との関係という「これまでのところうまく対処してきた、繊細なバランス感覚が求められる綱渡り」だ。
ソーシャルメディア大手メタが、同社のプラットフォームが子どもに害を与えるとして起こされた訴訟に対し、最大180億ドルの和解金を支払うことで合意した。スイスの各紙はこのニュースを慎重に受け止めている。
フェイスブックとインスタグラムを傘下に持つメタは、和解金の支払いに加え、1日の利用時間制限や夜間のアクセス遮断など、未成年者のオンライン保護を強化するための一連の措置も実施しなければならない。
NZZは「若い世代にとって朗報だ」と評した。一方、仏語圏の日刊紙ル・タンは明らかに慎重な姿勢で、「これらの措置が効果的である保証はないことを忘れてはならない」と警告した。
NZZは「メッセージはこれ以上ないほど明確だ。ソーシャルメディアプラットフォームはついに責任を問われた。他のプラットフォームや国々もこれに倣うべきだ」と主張した。「もちろん、実施にあたっては障壁もある。若者はルールを回避することに長けている」としながらも、この和解は強いシグナルを発していると論じた。
一方、ターゲス・アンツァイガー(TA)は、メタが「軽い処分で済んだ」と見る。「メタのソーシャルメディアプラットフォーム、特にフェイスブックとインスタグラムが依存性を持ち、精神的な害を引き起こすことが公式に認められた」としたが、問題は和解が法廷外で成立したことだと指摘する。これはメタが、実際にははるかに高額の賠償請求が争われる裁判を回避するための唯一の手段だった。4つの州は2000億ドルもの賠償を求めていたからだ。
「裁判になれば、メタは多くの企業秘密を開示せざるを得なかっただろう」とTAは続ける。「和解により、制裁金は同社時価総額の1.2%にとどまった。投資家や株価に長期的影響を与えることはほぼないだろう」。実際、和解発表後にメタの株価は一時4.1%上昇し、終値は1.1%高で取引を終えた。
ル・タンは「一見すると、常に無実を主張してきたマーク・ザッカーバーグ氏の会社(メタ)は、この件を非常にうまく乗り切った」と結論付けた。「これらの措置は義務的なものになるのか。具体的にどの若者が対象になるのか。保護者にはどのような負担がかかるのか。保護機能はどの程度回避できるのか。十分な対策と言えるのか。米国のユーザーにのみ適用されるのか。疑問は尽きない」
次回の「スイスが報じた米国のニュース」は9月10日に配信します。
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英語からの翻訳・校正:宇田薫
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