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ローザンヌ国際バレエコンクール、高田茜さん入賞

高田さんは、1年半前からボリショイバレエ学校で学んでいる Shunki Ogawa

第36回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝が2月3日行われ、東京都出身の高田茜 ( たかだあかね、17歳 ) さんが5位で入賞を決めた。1位は、スペインのアレックス・マルティネズさん、2位はハンガリーのリリ・フェルメリさんだった。

日本は高田さんの入賞で、3年連続入賞を飾ることになった。

 今年は予選を通過した75人の参加者のうち、17人が日本人だったが、高田さん1人が準決勝の21人に残り、決勝に臨んだ。昨年1位を飾った韓国勢も9人の参加者のうち、1人が決勝に出場したが入賞は果たせず、アジア勢の後退が目立ったコンクールとなった。また入賞者7 人に関しては、「同コンクールでは全員同じ入賞者と見なされ、同額の奨学金を得て希望するバレエ学校かカンパニーの研修生になる」と事務局長パトリシア・ルロワ氏は強調した。

ショパンの曲「ノクターン」の見事な感情表現

 高田さんが踊るたびにブラボーの声が会場に響き、大きな拍手が沸いた。
 「とても緊張していたので、大きな拍手が沸き起こった時、体中がぞっとして鳥肌が立った。本当にうれしかった」
 と喜びを語った。今後も観客に喜んでもらえるようなダンサーになりたいという。

 高田さんはクラシックのジゼルも優雅に踊りこなしたが、特にコンテンポラリーのショパンの曲「ノクターン」は、一つ一つの動作に感情がこもり、ためらう心、思い出を懐かしむ心などが見事に表現された。

 「この曲を知っていたし、好きだったので、すぐにこのバリエーションを選んだ。自分なりの解釈だったが、コーチによく理解していると言われうれしかった」
 と語った。模範のビデオが送られてきて2カ月で仕上げたのだという。観客も、高田さんの感情表現と優雅な踊りに感動し、今年の「観客賞」を贈った。

男子ダンサーのレベルが高い年

 今年は22人の男子参加者のうち、11人が決勝に参加し、入賞者も7人のうち4人が男子だった。

 ジョン・ノイマイヤー審査委員長は
「数学的に点を総合した結果こうなった。偶然男子ダンサーが多く残っただけだ」 
 と説明した。ただ男子ダンサーに与えられたコンテンポラリーのバリエーションは表現力に富んだ、インパクトを与えやすいものが多かったという声も聞かれた。

 なお事務局長のルロワ氏によれば、ジョン・ノイマイヤー氏作のコンテンポラリーバリエーションは今後2~3年は変わらないという。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) ローザンヌにて

1位アレックス・マルティネズさん ( スペイン ) 、2位リリ・フェルメリさん ( ハンガリー ) 、3位ダイラン・テドルディさん ( アメリカ ) 、4位キル・デイビスさん ( アメリカ ) 、5位高田茜さん ( 日本 ) 、6位イルラン・シルバさん ( ブラジル ) 、7位マルチェラ・デ・・パイバさん ( ブラジル )。以上の入賞者は、全員同額の奨学金1万6000フラン( 約160万円 ) を得て、バレエ学校かカンパニーで1年間の研修を行う。

なお、「コンテンポラリー賞」も1位のアレックス・マルティネズさん ( スペイン ) さんが受け取った。同賞では夏に希望するバレエスクールで研修する奨学金が与えられる。

5位高田茜さん ( 日本 ) は観客が選ぶ「観客賞」も受賞した。

今年はコンクール中の練習も準決勝も2つの年齢グループ、15~16歳と17~18歳に分けて行われた。

準決勝まで全員が残って指導を受けた。そのため決勝に臨んだダンサーは21人だった。昨年は準決勝に25人、決勝には12人が臨んだ。

コンテンポラリーのバリエーションがキリアンバリエーションから、今年審査委員長を務めるジョン・ノイマイヤー氏の作品に変わった。

決勝では従来3つのバリエーションを踊ってきたが、今年からクラシックとコンテンポラリーの2つのバリエーションを踊ることになった。クラシックとコンテンポラリーのバランスを取るのが今回の改革の目的だという。

2007年はローザンヌバレエ界にとって悲しい出来事が2つ重なった。「20世紀バレエ団」の創始者モーリス・ベジャール氏と「ローザンヌ国際バレエコンクール」の創始者ブランシュベッグ夫妻の一人、エルビール・クレミス・ブランシュベッグ氏が亡くなった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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