The Swiss voice in the world since 1935
パーソナルフィード

ログインしてフィードにトピックを追加しましょう。

今すぐ登録
お気に入りリスト

ログインして記事を保存リストに追加しましょう。

今すぐ登録

選挙監視員の排除、対中関税、急落する出生率…スイスが報じた米国のニュース

2024年、ニューハンプシャー州ナシュアで行われた予備選挙で、有権者が投票用紙に記入している
2024年、ニューハンプシャー州ナシュアで行われた予備選挙nの様子 keystone

スイスが23日~30日に報じた米国のニュースから、今週は選挙監視員の排除、対中関税、急落する出生率、の3件を要約してお届けします。

「民主主義とは投票することではなく、票を数えることだ」と英国の劇作家トム・ストッパードは書いた。ドナルド・トランプ米政権が11月の中間選挙からOSCE(欧州安全保障協力機構)の選挙監視員を締め出したことを受け、スイスの一部の論者は、選挙結果の操作への道を開くものだと懸念している。

有権者
2026年6月にニューヨークで行われた投票の様子 Keystone

米国は11月の中間選挙にOSCEの監視員を招待しなかった。約25年ぶりの事態で、複数のスイスメディアは、こうした動きはロシアのようだ、と指摘する。

「8月初め、OSCEはロシアが国家ドゥーマ(下院)選挙に監視員を招待しないと決定したことに『深刻な懸念』を表明した。23日、OSCEは米国が同様の決定を下したことを『遺憾』と表現した」と、スイスのフランス語圏にあるジュネーブの日刊紙ル・タンは報じた。

「2002年以来初めて、ワシントンは自国の選挙プロセスへの外部の『非党派的』監視員の受け入れを拒否した。これは自らのコミットメントに反する行為だ」と同紙は述べた。「モスクワの姿勢は驚くに値しない——これで3度目の拒否だ——しかし、ドナルド・トランプがウラジーミル・プーチンの後を追うという事実は、米国と欧州大陸の間で広がる亀裂の新たな段階を示している」

スイス・ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の外交担当記者にとって、トランプ大統領の決定は驚くべきことではない。24日付の報道で「舞台裏では、米国はジョー・バイデン氏が大統領に選出された2020年選挙に関するOSCEの報告書を撤回させようと、数カ月にわたって説得を試みていた」と書いた。「トランプ氏は今日に至るまで、バイデン氏はそもそも選出されていないと主張し続けている。しかしOSCEは、選挙は適正に実施されたという明確な結論に達した。それがトランプ氏とその支持者たちの気に入らないのだ」

では、米国の狙いは何か。現時点で、招待しなかった理由について米国側からの説明はない。

しかしSRFによれば、トランプ政権がOSCEの選挙監視員を排除することで、実際に選挙結果を操作する道を開こうとしているという見方は、あながち否定できない。「共和党が負けた場合、選挙が適正に実施されなかったと主張することもできる」と同局は述べ、もしOSCEが選挙の公正さを確認していれば、そうした主張をすることがはるかに難しくなると付け加えた。「OSCEの選挙監視は、いわば『ゴールドスタンダード』と見なされているのだから」

トランプと習近平
ワシントンの国立公文書館の外で、中国の習近平国家主席と米国のドナルド・トランプ大統領が、両国の夫人が見守る中、握手を交わした Keystone

電気かみそり、ラクダ、ウサギの毛皮への関税引き下げ——先週ワシントンで行われた米中首脳会談で、トランプ米大統領と習近平・中国国家主席は「主要な問題を先送りした」と、ドイツ語圏の日刊紙NZZは報じた。

ワシントンでの首脳会談への期待は当初から控えめだった、と28日付のNZZは指摘する。「それが正当だったことが今や明らかになった」

「唯一の具体的な成果は、米中が特定の『非機微』品目に対する関税を引き下げる意向に合意したことだ。北京は例えば、米国産のウサギの毛皮、イルカ、ラクダ、フォアグラへの関税を大幅に引き下げる方針だ。一方、米国政府は中国製の玩具、電気かみそりなどの電気製品、釣り針などへの関税を引き下げることを約束した」

NZZによれば、ワシントンは合計77品目の中国製品の関税を引き下げ、中国政府は米国産1619品目の関税を引き下げる。「最初は大幅な市場アクセス緩和のように聞こえるが、よく見れば、大海の一滴に過ぎない」とNZZは述べた。

その理由として同紙は、合意された関税引き下げが対象とする貿易額はわずか600億ドル—双方それぞれ300億ドル—に過ぎないと指摘した。昨年、米中間の総貿易額は4150億ドルに上っている。

米国通商代表部のジェイミソン・グリア代表は、米国は「米中間の公正で均衡のとれた互恵的な貿易」を引き続き推進すると述べた。米国が特に求めているのは、中国が米国産農産物の購入を大幅に増やすことだ。

「したがって、今や全ての視線は米中の次回会合に向けられている」とNZZは述べた。世界2大経済大国の首脳は、11月に深圳で開催されるAPECサミットで再び会談する見通しだ。G20サミットは12月にマイアミで開催される。

「両氏はそこでも膝を交え、未解決の懸案事項を協議する可能性がある」とNZZは述べた。「しかし、両国の相違点を解消する大きな突破口が開かれる見込みはほとんどない。これは先週の米国での2回の首脳会談と、5月の北京での会談が示した通りだ。両ライバルの接近は、一歩一歩の辛抱強いプロセスだ」

おむつ替えの様子。米ミシガン州で
おむつ替えの様子。米ミシガン州で Keystone

米国はスイスと同様、出生率危機に直面しているのか。スイスインフォは今週、米国の出生率が急落していると報じた。子どもを持つことがあまりにも高コストになっていることなどが背景にある。

2007〜2008年の金融危機以降、米国の女性1人当たりの子どもの数は着実に減少している。「20年足らずで、合計特殊出生率は女性1人当たり2.1人から1.6人へと低下し、歴史的な低水準となった」

これはトランプ政権の目にも留まっている。メディケア・メディケイド・サービスセンター長官のメフメット・オズ氏(元テレビ司会者)は5月、米国は「赤ちゃん不足」だと宣言した。

筆者のマーク・ロイテネッガー記者は、米国では生物学的な不妊が増加していると指摘しつつも、子どもを持たないことを選ぶ人々がはるかに大きな人口動態的要因だと述べた。

ワシントンの独立系シンクタンク、ピュー・リサーチセンターの分析によると、子どもを望まない20〜30歳の女性の割合は、2002年の7%から2023年には23%へと上昇した。20〜24歳の女性ではこの数字はさらに高く34%に達する。男性でも同様に高い数値が見られる。

この傾向には多くの要因がある。「人口学者たちはこの傾向を、社会的価値観の全般的な変化、生活費の上昇、特にいわゆる『マザーフッド・ペナルティ(母親であることによるキャリアへの不利益)』をはじめとするキャリアの妨げのほか、さらには孤独感の危機やライフスタイル・生活水準に対するソーシャルメディアの影響などが原因だとみている」とロイテネッガー記者は指摘する。

「米国が生活費の危機に早急に対処しなければ、スイスで起きたように、既存の傾向、特に第2子・第3子を持つことへの消極性の高まりが強まる可能性がある」と同記者は結論づけた。「すでに膨大な数の若い女性と男性が子どもを持つことを拒否しているなか、米国はスイスと同じジレンマに直面する可能性がある。女性1人当たり1.4人を下回るという事態だ。人口学者はこれを社会にとっての臨界点と見なしている」

次回のスイスが報じた米国のニュースは10月8日(木)に配信します。

スイスが報じた日本のニュースはこちらから登録お願いします。

おすすめの記事

英語からの翻訳・校正:宇田薫

人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部