スイス連邦鉄道(SBB)取締役会長のモニカ・リバー会長は、自社列車で国外に乗り入れないとする同社の決定を擁護した。
このコンテンツが公開されたのは、
リバー氏はドイツ語圏日刊紙NZZのインタビュー(12日付)で、国外で自社列車を運行をするよりも、近隣諸国と協力する方が良い選択肢だと語った。SBBは国外に乗り入れないことでより多くの旅客輸送を可能にし、欧州諸国へのダイレクトな接続をより多く提供することができるという。
国外で1日数本の列車を運行する体制を整えるには費用がかかり、SBBにとって起業リスクが高すぎると判断した。「大きな見込みのある路線をSBBが運行したとしても、我々のパートナーたちは他のケースは自分たちでやると言うだろう」
隣国ドイツでのSBB独自の接続については、現在のインフラを理由に否定した。リバー氏は「私が企業を通じてドイツで長距離輸送に関わることは絶対ないだろう」と話した。「賢明な」運行は難しいという。
道路と空路
ジュネーブ~フランス・リヨン間にはインフラ問題もある。リバー氏によると、リヨンには成長の余地があり、列車は道路輸送の良い代替手段になりうる。しかし電力供給などの課題に加え、補助金付きの鉄道はすでに存在していることから道路輸送と競争できないと述べた。
スイス~ロンドン間の路線では空路との競争がある。リバー氏は、喜んで接続を提供したいが、格安航空会社との競争を考えると成功するかどうかは疑わしいと話した。同路線で運行するには、SBBは英国とフランスに会社を設立し、スタッフを雇用する必要がある。さらに、英仏海峡トンネル用に承認された列車は、他の場所では使用できない。
パートナーシップを活用
南欧州への接続にも課題はある。ローマ行き運行路線の改善は課題の一つだ。しかし、イタリアの高速鉄道は車両が不足しているうえ、線路の使用率も高いことがネックになっている。
車両に関しては、SBBはオーストリア発着便からのサポートを頼みの綱としていた。例えば、夜行列車というニッチなサービスは、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)との協力により可能となっている。スイスは賃金水準が高いため、SBBが自社で夜行列車を運行すると財政的なハードルが高くなる。
独語からの翻訳:大野瑠衣子
おすすめの記事
重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部アールガウ州で、重度の障がいを持つ娘(3)を殺害したとして、地方裁判所は13日、両親を故意の殺人罪・殺人未遂罪でそれぞれ禁錮8年の実刑判決を言い渡した。
もっと読む 重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
おすすめの記事
キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの自由緑の党(GPL/PVL)チューリヒ支部に所属するサニヤ・アメティ氏(32)は9日、党の役職を辞すると発表した。自身のインスタグラムでキリストと聖母マリアを描いた絵画を的に射撃の練習をする写真を投稿し、大きな批判を浴びていた。
もっと読む キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
おすすめの記事
スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。
もっと読む スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
おすすめの記事
1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのニトヴァルデン準州クレヴェンアルプで31日、1000人以上のアルプホルン奏者が集まり、「アルプホルンを合奏する人数」の世界記録を更新した。
もっと読む 1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
おすすめの記事
社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦監査院(SFAO)が30日、2023年の政治資金報告書を発表した。
もっと読む 社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
おすすめの記事
スイス政府、原発の新設解禁に前向き
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は28日、「すべての人にいつでも電気を:ブラックアウト(全域停電)を止めよ」と題するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。ただ、新たな原子力発電所建設の解禁には原則として支持する考えを示した。
もっと読む スイス政府、原発の新設解禁に前向き
おすすめの記事
マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを代表する名峰マッターホルンの麓町ツェルマットは、日帰り観光客の多さに悩んでいる。 現在、入場料の徴収を検討中だ。
もっと読む マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
おすすめの記事
パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
このコンテンツが公開されたのは、
世界自然保護基金(WWF)スイスは27日、スイスの全ての州でパリ協定の目標達成に向けた十分な取り組みが行われていないとの分析結果を発表した。
もっと読む パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
おすすめの記事
スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ジュネーブ地方で10日にわたって行われたスーダン内戦の停戦協議が23日、停戦合意に達することなく終了した。
もっと読む スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
おすすめの記事
スイス観光地ブリエンツの土砂災害 予想より被害深刻で鉄道路線に影響
このコンテンツが公開されたのは、
12日にスイス・ベルン州を襲った嵐の影響で土砂崩れなどの被害を受けた人気観光地ブリエンツ村の一部では、依然として閉鎖が続いている。
もっと読む スイス観光地ブリエンツの土砂災害 予想より被害深刻で鉄道路線に影響
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。