
マルティン・フィスター氏が新閣僚に当選

スイス連邦議会は12日、今月末で辞任するヴィオラ・アムヘルト国防相の後任として、ドイツ語圏ツーク州出身のマルティン・フィスター氏(中央党、61歳)を選出した。

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元スイス軍大佐で歴史家のフィスター氏は現在、ツーク州保健相を務め、連邦議会での知名度は低い。だが国防省・スイス軍トップの辞任が相次ぐなか、国防に関する知識が買われたとみられる。
決選投票で246票中134票を獲得。対立候補で農業系族議員のマルクス・リッター上院議員(ザンクト・ガレン州出身、57歳)の110票を上回り当選した。非現役連邦議員が連邦閣僚に選出されるのは、2007年のエヴリン・ヴィドマー・シュルンプフ氏以来。
女性閣僚は2人に
7つの閣僚ポストは14日に閣僚内で割り振るが、フィスター氏はアムヘルト氏が担っていた国防・国民保護・スポーツ省担当閣僚の座を引き継ぐとみられる。
スイスでは7人の閣僚ポストは政党(主要4政党)や言語圏(ドイツ語圏から4人、フランス語圏から3人)のバランスを保つように選出する。フィスター氏の当選によりこの「マジック・フォーミュラー(魔法の法則)」は保たれたが、女性閣僚は3人から2人に減ることになる。
アムヘルト国防相の所属する中央党は、後任候補に男性しか推薦しなかった。11日のフィスター、リッター両候補の出馬演説を受け、社会民主党(SP/PS)と緑の党(GPS/Les Verts)は連邦閣僚の女性比率が下がることに落胆の意を表明した。スイス最大の助成団体「F同盟」も10日に同様に批判していた。
閣僚出身地の地域的なバランスは向上した。2003年のカスパー・フィリガー氏(ルツェルン州)の退任後、中央スイス出身の閣僚は不在だった。ツーク州出身者が閣僚に就くのは、キリスト教民主党(現中央党)のハンス・ヒュルリマン(1974~81年任)以来だ。
ウーリ、シュヴィーツ、ニトヴァルデン、シャフハウゼンの4州はいまだ連邦閣僚輩出歴がない。

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政治への信頼醸成
フィスター氏は閣僚選出後の演説で、連邦閣僚の中核的役割は政治に対する人々の信頼を醸成することだと強調した。
「選挙期間中何度も、『あなたは連邦議事堂より兵舎に詳しい人だ』と言われた」。しかし今後は連邦閣僚の一員として、他の閣僚と等しく任務を果たすことの重要さを強調した。
地政学的な変動を念頭に、「信頼や協力、安定というスイスにとって根本的な原則が今、揺らいでいる」と述べ、あらゆるレベルで協調が必要だと熱弁した。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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