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タリバン支配5年、飢餓と抑圧と「失われる世代」

少女を連れ、道端で施しを求めるブルカ姿の女性。アフガニスタン北東部バダフシャン州にて。2026年6月30日撮影
少女を連れ、道端で施しを求めるブルカ姿の女性。アフガニスタン北東部バダフシャン州にて。2026年6月30日撮影 Omer Abrar / AFP

アフガニスタンでイスラム強硬派のタリバンが復権してから5年が経った。同国の危機に対する世界の関心は薄れていたが、節目を機に人道・人権状況の悪化に再び注目が集まった。女子教育への制約は中等教育のほぼ全期間に匹敵する長さとなり、この世代の将来だけでなく、医療や教育を担う女性の不足も懸念されている。

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世界食糧計画(WFP)のアフガニスタン担当カントリーディレクター、ジョン・アイリエフ氏は、我が子の養育に苦心する現地女性ファリダさんの窮状をそう振り返った。国連がジュネーブで11日開いた記者会見に、アフガンの首都カブールから遠隔で出席した時のことだ。

「哺乳瓶と聞けば、普通はミルクで満たされているのを想像する。しかし、一家には単純にミルクを買うお金がなかった」

アフガニスタンでは2021年のタリバン政権復帰後、人道危機が深刻化し、こうした光景が常態化している。重度の援助資金不足も事態を悪化させた。WFPによると、同機関は栄養事業の縮小を余儀なくされ、今では差し迫った飢餓状態にある1400万人の1割余りにしか食料援助を届けられていない。保健所まで何時間も歩いた末、到着後に栄養支援が受けられないと知る女性も多い。

「つらい光景だ。衰弱した子どもを抱いて何時間も歩いてきた母親らに、職員がただ何もないと告げるのだから」。アイリエフ氏によると、国内の3分の1の州で子どもの消耗症(栄養不良のうち最も命の危険がある状態)が危機的水準にあり、特に2歳未満で状況が深刻だ。受診の時点で手遅れなことが「あまりに多い」という。

タリバン政権下の同国の人道危機は、イエメンやスーダンと並び世界でも特に深刻と考えられている。人権、特に女性・女子の権利も壊滅的状況にある。女子中等・高等教育が禁止されている国は、世界でアフガニスタンだけだ。女性の雇用に対する制約は、ただでさえ貧困と飢えに苦慮する家計を一段と逼迫させてきた。

ビデオ通話で取材に応じたナディアさん(仮名、22)は助産師で、1回の勤務で多ければ35人の新生児を取り上げる。食料不足の深刻化は自身が世話する妊産婦の間でも広がり、衰弱と栄養不足で母乳が出にくい女性も多いという。8月の暖かい晩、貧血の女性のお産を介助した際は、赤ん坊は生きて産まれたものの母親が危うく命を落としかけた。

「エネルギーと栄養が足りないせいで、母親が昏睡に陥った。妊娠前から妊娠中、産後を通じ、女性の栄養状態はどんどん悪化している」

アフガニスタンの人道危機の深刻さは、ほぼすべての指標にはっきり表れている。複数の国連機関の推計によると、同国で人道支援を必要とする人は子ども1160万人を含む2190万人に上り、総人口の半分近くに及ぶ。また、重度の飢餓に陥っている人は2026年時点で1400万人いると言われている。WFPの推計によれば、アフガニスタン国民の3人に1人が緊急の食料援助を必要としている。また、5歳未満の子ども約370万人が重度の栄養不良のリスクを抱え、妊娠中・授乳中の女性約120万人も栄養不良の影響を受けている。

アフガニスタンの首都カブールにあるインディラ・ガンジー小児病院の栄養不良病棟で、我が子の看病をする女性ら。2026年2月15日撮影
アフガニスタンの首都カブールにあるインディラ・ガンジー小児病院の栄養不良病棟で、我が子の看病をする女性ら。2026年2月15日撮影 Siddiqullah Alizai / Keystone

ナディアさんはスイスインフォに対し、「タリバンの支配が始まってから、国全体が焼き尽くされていくような状況だ。アフガニスタンの現状は誰にとっても地獄で、女性と少女にとっては特にそうだ。学ぶ機会も働く機会も奪われた」と話す。

重なる影響

タリバンの支配は、公共生活から女性・女子を組織的に消し去ることと同義になっている。例えば2021年8月の復権当初に出した一連の法令には、女子教育と女性の雇用を制限する規定があった。それ以降、タリバンは100件を超える女性・女子への規制を導入し、教育や労働、公共空間、基礎的サービスを受ける機会を奪った。さらに、女性は国連機関の敷地への立ち入りを禁じられ、一般的に厳格な服装規定の対象にもなっている。

ナディアさんは「(タリバンは)社会から女性を完全に排除するという目標を達成した」と述べ、女性は家庭内暴力を含む自宅内での抑圧に直面していると指摘する。

タリバンによる制約は女性の私生活にも入り込んでいる。2026年5月には司法手続きによる別居に関して新たな法令が定められ、女性・女子が婚姻から離脱できる条件が一段と狭まった。国連女性機関(UNウィメン)は新法令について、女性側にとって不当なほど複雑で、制約の強い手続きが確立されたと指摘。人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、一部の規定は強制結婚や児童婚に法的保障を与えかねないと警告した。

こうした制約はすべて、ナディアさん個人にも深く、しばしば重複して影響を及ぼす。まず、ナディアさんは家族によって強制的に結婚させられており、イランに逃れた夫とは別居していても離婚ができない。また、副収入のため自宅で美容室を開いていたが、業界自体がタリバンに禁止されたせいで地下営業だった。

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「2週間前までは助産師をしながら自宅で美容室を開いていた。でも、もう無理だ。タリバンが踏み込んできて捕まってしまい、5万アフガニ(約12万円)の罰金を科された。女性は仕事と経済的に自立した生活を望んでいる」

ナディアさんが何より恐れているのは、女性がこれまでの規制で奪われたものだけなく、次の世代が被る影響だ。自身はタリバン復権前に助産師の訓練を受けられたが、今の規制下で育つ少女らにそうした機会は訪れないかもしれない。

さらにナディアさんは、女子が初等教育しか受けられない以上、女性の助産師や看護師、医師は減少すると指摘する。世界保健機関(WHO)とUNウィメンは、女性の医療従事者が減れば、医療に助けを求める女性は減っていくとの見通しを示す。女性が男性に体を調べさせることなど、許されないからだ。

ナディアさんは「これは命の問題だ。単なる女性の課題でなく、すべての人の問題だ」と訴える。

自宅で父親から授業を受けるアフガニスタンの少女。首都カブールにて。2026年8月6日撮影
自宅で父親から授業を受けるアフガニスタンの少女。首都カブールにて。2026年8月6日撮影 AFP

失われる世代

国連教育科学文化機関(ユネスコ)など多くの機関が今、間近に迫る危機の大きさに目を向けるよう呼びかけている。ユネスコの試算によると、アフガニスタンで中等教育から排除された女子は2021年以降の累計で240万人に上る。直近の学年度だけでも20万人増加した。初等教育年代の児童の半数が学校に通わず、年齢相応の簡単な文章を読解できない10歳の子どもは男女合計で90%を超える。また、教員資格を持つ女性の不足は2030年までに1万1000人に達する見通しだ。

ユネスコで緊急時教育支援のプログラム・コーディネーターを務めるホダ・ジャベリアン氏は11日の国連記者会見で「アフガニスタンは今、アクセスの危機、ジェンダー平等の危機、学習の危機に同時に直面している。子どもの教育において5年は一時的な中断ではない。言うまでもなく、中等教育のほぼ全期間を占める」と語った。

インフラの脆弱性や災害、近隣諸国からの大量帰国も教育危機を助長している。まず、学校の約半分で清潔な水や衛生設備、暖房が足りていない。また、2021年以降の災害で閉鎖を強いられた学校は1000カ所を超えた。さらに、イラン、パキスタンでの送還政策もあり、2023年以降に帰国したか、帰国を余儀なくされたアフガニスタン国民は700万人を超えた。その過半を15歳以下の子どもが占めている。

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ユネスコによると、同機関はアフガニスタンの20州で識字・技能教育事業を実施している。参加者はコミュニティー講座2600件余りの累計で約7万人。このうち70%を女性・女子が占める。また、オンラインやチャットアプリで実施される課程など、対面以外の講座の参加者は1700万人を超える。しかしジャベリアン氏は、こうした取り組みで正規の学校教育を代替できるわけではないと強調する。

「ここに交渉の余地はない。基本的人権だ。代わりなどない」

アフガニスタン西部の不動産仲介業者、ハッジ・アフメドさんはビデオ通話でスイスインフォの取材に応じた。アフメドさんも娘たちは教育を受けるべきだと考え、私立の教育機関に通わせている。イスラム聖典コーランの学習を標榜する施設だが、教員らが副収入のために英語を教えているという。自宅近くにあるため送り迎えに問題はなく、法律の勉強をやめざるを得なかった最年長の娘には、わずかばかりの埋め合わせになる。ただし、アフメドさん一家が登下校以外で外出することはめったにない。

「女性が夫や親族の男性と外出すると、たちまち『なぜ外にいる?お前たちどういう関係だ?』と尋ねられる。不安が広がっている」

アフメドさんにとって、アフガニスタン国外で未来を築く日が娘らに来るかもしれないという希望だけで、リスクを冒して教育を受けさせ、国際語である英語を学べるようにする理由になる。アフメドさんは父として娘らの将来を案じながら、こう語る。「いつか国外でチャンスが来るかもしれない。準備はしておいた方がいい」

グラフィック: Pauline Turuban、画像調査:Vera Leysinger、編集:Imogen Foulkes/vdv/ts、英語からの翻訳:高取芳彦、校正:宇田薫

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